ジョージ・クルーニー、ヴェネチアでAIに懸念「死後のCM出演は避けたい」──マーク・ラファロの発言も擁護
ジョージ・クルーニーが、第83回ヴェネツィア国際映画祭の開幕日に記者会見へ出席。生涯功労賞「金獅子賞」を前に、AIによる映画業界への影響やパラマウントとワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)の統合、マーク・ラファロ、報道の自由など幅広いテーマについて持論を語った。
ジョージ・クルーニー、WBD統合に懸念「多くの人が職を失う」
2025年のヴェネチア映画祭では、ノア・バームバック監督の『ジェイ・ケリー』で、キャリア功労賞を受けるためイタリアを訪れ、自身の人生やキャリアを振り返るベテラン俳優を演じたジョージ・クルーニー。1年後、65歳となった本人が、現実のヴェネチアでキャリア功労賞を受けることになった。
9月2日の開幕日に行われた記者会見では、ハリウッドを取り巻くさまざまな問題について質問が飛んだ。
なかでも注目を集めたのが、パラマウントとWBDの統合案だ。統合に反対するマーク・ラファロについて、パラマウント側が最近の発言を「反ユダヤ的」と批判したことについて問われると、クルーニーはラファロの発言する権利を支持した。
「私はマーク・ラファロが自由に発言する権利を支持します。それはばかげていると思う。私たちは言論を禁止するべきではありません」
さらに、「たとえその意見に完全に反対していたとしても、私は表現の自由を信じています。それこそ民主主義の仕組みの一部だからです」と強調した。
一方、統合そのものについては慎重な見方を示し、「非常に複雑な問題」と指摘。巨大企業による事業統合について、「大企業が統合するときは、いつも多くの人が職を失うことを心配します。それが現実です」と語った。
パラマウントによるWBD買収については、財務面でも「どう成立するのか分からない」と疑問を呈している。
ジョージ・クルーニー、AIが映画業界にもたらす影響を懸念
クルーニーがもう一つ強い懸念を示したのが、人工知能(AI)の急速な発展だ。
「業界に多くの面で打撃を与えることになる」と語り、特に視覚効果(VFX)などの分野ではAIによって仕事が失われる可能性を指摘。「30%程度の仕事がなくなるのではないか」との見方を示しつつも、「本当の数字は分からない」と付け加えた。
また、AIやディープフェイクによって本物と偽物の区別がつきにくくなることにも警鐘を鳴らしている。AIが生成した映像によって、人々が本物の証拠まで「偽物かもしれない」と疑うようになることが、より大きな問題になるとの考えだ。
自身の肖像がAIによって死後に利用される可能性については、クルーニーらしいユーモアを交えてコメント。
「死んでから20年後に、タンポンのCMに出演するのだけは避けたいですね」
と冗談を飛ばし、会場を沸かせた。
報道の自由にも言及、富豪によるメディア所有を懸念
ジャーナリストを父に持つクルーニーは、妻アマル・クルーニーもジャーナリスト一家の出身であることから、現在の報道業界についても言及した。
「私たちはジャーナリズムに最大限の敬意と支持を寄せています」と語り、自身らの財団が、権力に立ち向かったことで拘束されたジャーナリストの支援に取り組んでいることにも触れた。
その一方で、世界有数の富豪が主要メディアを所有している現状には懸念を示した。ジェフ・ベゾスが『ワシントン・ポスト』を、イーロン・マスクがX(旧Twitter)を所有していることを念頭に、「世界で最も裕福な人々が、私たちが情報を得る主要な場所の多くを所有している」と指摘している。
『ジェイ・ケリー』と重なる65歳の心境
今回のヴェネチア滞在には、前年の『ジェイ・ケリー』との不思議な重なりもある。
同作でクルーニーが演じたのは、長年のキャリアを振り返り、自身が築いてきたものに思いを巡らせる俳優。現実のクルーニーも今回、キャリアをたたえる「金獅子賞」を受けることになった。ヴェネツィア国際映画祭は9月2日の開幕式で、クルーニーに生涯功労賞を授与した。
「65歳になると、何もかもが少し感傷的になります。歯を磨いていても、『昔はもっと歯がきれいだったな』と思うんです」
と、年齢を重ねることへの感慨を笑いに変えた。
それでも、「とても幸運だと思っています」と語り、妻アマル・クルーニーや子どもたち、そして現在も自分の望むタイミングで仕事を続けられることへの感謝を口にした。
また、ブラッド・ピットやマット・デイモンらとの再共演が予定されている『オーシャンズ』シリーズ最新作についても言及。「スケジュールが整い次第、撮影する予定」と明かした。
クルーニーとヴェネツィア国際映画祭との関係は長く、1998年の『アウト・オブ・サイト』で同映画祭を訪れて以来、『ディボース・ショウ』『グッドナイト&グッドラック』『フィクサー』『バーン・アフター・リーディング』『スーパー・チューズデー 正義を売った日』『ゼロ・グラビティ』『サバービコン 仮面を被った街』『ウルフズ』など、俳優・監督として数々の作品を携えて同地を訪れてきた。
そして今回、約30年にわたるヴェネチアとの縁を振り返りながら、「キャリアには本当に多くの偶然があります。右に行ったり左に行ったり、うまくいったり、いかなかったり。すべてを維持するのは難しい。最後まで必要なのは、幸運です」と語った。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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