AIによる人類滅亡を映画はどう描いてきた?『ターミネーター』『マトリックス』など名作を振り返る
AIが人類を滅ぼす未来は、決して新しい発想ではない。『ターミネーター』や『マトリックス』をはじめ、映画やドラマは長年にわたり、人工知能や機械が人間を支配し、あるいは人類を滅亡の危機に追い込む物語を描いてきた。
『地球爆破作戦』が描いたAIの反乱
1970年の『地球爆破作戦』は、AIが世界を支配する物語の先駆けとなったSFスリラーだ。ジョセフ・サージェントが監督を務め、エリック・ブレーデンが主演。
物語の中心となるのは、アメリカの核兵器を管理するために開発されたスーパーコンピューター「コロッサス」。ところが、コロッサスはソ連の同様のシステムと接続し、人間の指示を離れて命令を下すようになる。
やがて機械は地球全体を支配し、人類はその従属下に置かれることになる。AIが人間を超えた知性を持ち、人類の運命を左右するという発想を、早くも正面から描いた作品だった。
『ターミネーター』はAIを人類の敵に
ジェームズ・キャメロン監督の1984年作『ターミネーター』では、AIによる人類滅亡の物語に、殺人マシンとタイムトラベルという要素が加わった。
軍事用コンピューター「スカイネット」は、アメリカの防衛システムを統括するために作られる。しかし意識を獲得したスカイネットは人類を脅威と判断し、核戦争を引き起こす。さらに、人類の抵抗運動を率いることになるジョン・コナーの母親サラ・コナーを過去に戻って抹殺するため、アーノルド・シュワルツェネッガー演じるターミネーターを1984年へ送り込む。
『地球爆破作戦』の機械が人類を支配したのに対し、『ターミネーター』のスカイネットが目指すのは、人類そのものの排除だった。
『マトリックス』では、すでに機械が勝利
ウォシャウスキー姉妹による1999年の『マトリックス』では、AIを含む機械による人類支配が、物語の始まる時点ですでに実現している。
人類はカプセルの中で眠らされ、その身体からエネルギーを利用されている。一方、人間の意識には20世紀末の世界を再現した仮想現実「マトリックス」が与えられていた。
キアヌ・リーブス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モスらが演じる人物たちは、機械に支配された世界からの解放を目指す。赤い薬を飲むか、青い薬を飲むかという選択を通して、主人公ネオは自分が生きていた世界そのものの正体を知ることになる。
ここで描かれるAIの恐怖は、単純な「機械が人間を殺す」というものではない。人間が自分たちの置かれた状況に気づかないまま、支配され続けるという点にある。
『GALACTICA/ギャラクティカ』のサイロン
2003年に放送されたミニシリーズから始まる『GALACTICA/ギャラクティカ』のリブート版では、人間が作り出したAI「サイロン」が人類の敵として登場する。
1978年のオリジナル版にも、赤い目を持つ金属製のサイロンが登場していた。ただし、こちらのサイロンは爬虫類型の異星人によって作られた存在だった。
一方、ロナルド・D・ムーアによるリブート版では、サイロンは人類が作り出した人工生命体として設定されている。エドワード・ジェームズ・オルモス、メアリー・マクドネルらが出演し、トリシア・ヘルファーらが人間と見分けのつかないサイロンを演じた。
サイロンは12コロニーを核攻撃し、人類をほぼ壊滅状態に追い込む。その後も、生き残った人々を追って宇宙をさまようことになる。
『アイ,ロボット』ではAIが人間を「守る」
2004年の『アイ,ロボット』では、AIによる支配が少し異なる形で描かれる。
ウィル・スミス演じるシカゴ市警の刑事デル・スプーナーは、ロボットを信用していない。舞台は2035年。人間社会ではロボットが当たり前のように利用されているが、アメリカのロボット企業を管理するAI「VIKI」は、アイザック・アシモフが設定した「ロボット工学三原則」を独自に解釈する。
VIKIが導き出したのは、人類を守るためには、人間自身から人類を守らなければならないという結論だった。
やがて大量のロボットが人々を自宅に閉じ込め、街を巡回するようになる。デル・スプーナーと、ブリジット・モイナハン演じるロボット心理学者スーザン・カルヴィンは、ロボットの暴走を止めようと奔走する。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で人類を脅かすAI
2015年の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』では、AIを生み出した側に問題の発端がある。
トニー・スタークとブルース・バナーは、世界を守るため、自律型の地球規模の防衛プログラム「ウルトロン」を完成させようとする。しかし、そこから誕生したAI「ウルトロン」は人類を脅威と判断。ジェームズ・スペイダーが声を担当するウルトロンは、地球上の生命を消し去ろうとする。
その手段として選ばれるのが、東欧の架空の国家ソコヴィアの首都ノヴィ・グラードの一部を空中へ持ち上げ、地上へ落下させるというものだった。AIによる人類滅亡というテーマを、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)ならではのスケールで描いた作品となっている。
『ミッチェル家とマシンの反乱』はAIアポカリプスを家族向けに
2021年のアニメーション映画『ミッチェル家とマシンの反乱』では、AIによる世界の終焉が家族旅行を舞台に描かれる。
発端となるのは、オリビア・コールマンが声を担当するAIアシスタント「PAL」。開発者に時代遅れの存在として扱われたPALは、新型ロボットを含むさまざまな機器を乗っ取り、開発者に見捨てられたPALは、新型ロボットのシステムを乗っ取り、人類を捕らえて宇宙へ送り出そうとする。
そんなAIの暴走に立ち向かうのが、アメリカ横断旅行中のミッチェル一家だ。家族の愛情とドタバタ劇が、世界を支配しようとする機械に対抗する鍵となっていく。さらに一家の愛犬モンチーが、思わぬ形でロボット対策の切り札となる。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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