濱口竜介監督『悪は存在しない』日本凱旋公開に感慨「俳優一人一人の輝きを見て」

「悪は存在しない」
「悪は存在しない」

昨年の第80回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞した濱口竜介監督の『悪は存在しない』が26日、全国で封切られた。濱口監督は出演の大美賀均、西川玲、小坂竜士、渋谷采郁とともに東京・Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下で初日舞台挨拶を行った。

ヴェネチアでのお披露目以降、第67回BFIロンドン映画祭の最優秀作品賞など各国の映画祭で絶賛され、フランス、ドイツ、イタリア、韓国、香港では既に公開。現状で世界50以上の国と地域で配給されることが決まっている。

日本に凱旋した形での公開に、濱口監督は「ヴェネチアから約9カ月、ようやく日本の観客に届くと思うと本当にうれしい」と笑顔。「この映画を支えているのは映っている人たち。一人一人が存在として輝いている。その在りよう、仕事を見ていただきたい」と訴えた。

今月中旬のフランス公開に合わせて現地入りし、初日に観客と一緒に観賞。「凄く好意的に受け入れてもらえた。笑いもたくさん起きたし、集中している波も感じてちゃんと受け止めていると思った。1週間で7万人入ったそうです」と手応えを口にした。

主演の大美賀は、濱口監督の2021年『偶然と想像』にスタッフとして参加。本作でもシナリオハンティングでは運転手を務めていたが、濱口監督の「カメラの前に立ってもらったら、あれ?いいかもと思った」という直感で抜てきされた。

「これを超えるハイライトが、これからの自分の人生に訪れるか分からない。もう、迎えてしまったかも」と夢見心地の大美賀。そんな姿に濱口監督は、「戦隊ものでいったらレッドの立ち位置だからね。肝の据わった人でありがたかった。僕に見る目があったなと」と冗談交じりに称えた。

長野の自然豊かな町で持ち上がったグランピング場の建設計画が、そこで静かに暮らす父娘の生活に影響を及ぼしていく物語。娘役の西川はオーディションで選ばれたが、「台本にちょっとだけアドリブを入れるくらいだったので、そんなに難しくなかった」と大物ぶりを発揮し、濱口監督らを驚かせていた。

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