『Highest 2 Lowest』レビュー:デンゼル・ワシントンとスパイク・リーが豪華NYスリラーで再タッグ

デンゼル・ワシントン主演、『Highest 2 Lowest(原題)』写真:David Lee/A24
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スパイク・リーの新作犯罪スリラー『Highest 2 Lowest(原題)』は、黒澤明の1963年の名作『天国と地獄』を現代のニューヨークに舞台を移して再解釈した作品。リーと脚本家アラン・フォックスは原作に敬意を払いながらも、リーが親密に知る環境に物語を移し、独自の機知、高いスタイル、エネルギッシュな演出で作品を仕上げている。
華麗なNYを舞台に展開する誘拐劇
音楽業界の大物デイビッド・キング(デンゼル・ワシントン)の息子トレイ(オーブリー・ジョセフ)が誘拐される。1750万ドルの身代金を要求された時点では支払いに同意するデイビッドだが、実際に誘拐されたのは息子ではなく、運転手ポール(ジェフリー・ライト)の息子カイルだったことが発覚。誘拐犯は条件を変えず、デイビッドは他人の子供のために全財産を失うかという難しい選択を迫られる。
技術的に卓越した映像美と演技の饗宴
映画の見どころは、マシュー・リバティークによる豪華な映像美と、マンハッタン行き4番列車での身代金受け渡しシーンだ。プエルトリコ・デーのお祭りとヤンキースタジアムから乗り込む野球ファンの混乱を背景に、誘拐犯との緊迫したやりとりが繰り広げられる。
デンゼル・ワシントンとスパイク・リーの5度目のコラボレーションは、2006年の『インサイド・マン』を彷彿とさせる精密な展開とエネルギーに満ちている。ジェフリー・ライトとA$APロッキーの演技も特筆すべきで、特にデイビッドと敵対者がレコーディングスタジオのガラス越しに即興ラップバトルを繰り広げるシーンは観客のお気に入りになるだろう。
リーの演出は黒澤明の複雑な階級構造の描写には及ばないものの、華やかなショーマンとしての役割を完璧に果たし、純粋に楽しめる洗練された映画体験を提供している。
作品情報
- タイトル:『Highest 2 Lowest(原題)』
- 会場:カンヌ映画祭(コンペティション外)
- 公開日: 8月22日(金)
- 出演:デンゼル・ワシントン、ジェフリー・ライト、イルフェネシュ・ハデラ、A$APロッキー、オーブリー・ジョセフ、ディーン・ウィンタース、ラ・チャンズ、ジョン・ダグラス・トンプソン
- 監督:スパイク・リー
- 脚本:アラン・フォックス(エド・マクベインの小説『キングの身代金』と黒澤明監督の映画『天国と地獄』に基づく
- 上映時間: 指定R、2時間14分
※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら。
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