真田広之、『SHOGUN 将軍』シーズン2に期待「どこまで進化させられるか」― あのキャラクターが再登場の可能性も?【インタビュー】

真田広之、アンナ・サワイ 、『SHOGUN 将軍』より 写真: Katie Yu/FX
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ディズニー/FXの戦国ドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』の成功は、日本の名優・真田広之をポーランドのトルンまで導いた。スマッシュヒットを記録した本作に主演し、エミー賞に輝いた真田は先週、カメリマージュ映画祭で新設部門の最優秀テレビシリーズ演技賞を授与された。

業界人気の高いポーランドのカメリマージュは長年、映像芸術(シネマトグラフィー)に特化した映画祭としてよく知られてきた。しかし近年は、映像制作における他の側面も表彰の対象としている。

今年の映画祭の出席者には、複数回のオスカー受賞歴を誇るアルフォンソ・キュアロン監督をはじめ、レジェンド撮影監督エドワード・ラックマン(生涯功労賞を受賞)、コンペ部門の審査員長を務めるケイト・ブランシェットら大物たちが顔を揃えている。

同映画祭に出席する真田が、トルンのヴィスワ川のほとりにある「ホテル ブルワール」で米『ハリウッド・リポーター』の取材に応じ、お気に入りの侍映画や、次のシーズンで掘り下げたい自身が演じる武将・虎永の側面などについて語った。


―――カメリマージュへの旅はいかがですか?

ポーランドを訪れるのは初めてです。一方でここに来る前に、何年にもわたって多くの映画監督や撮影監督からこの映画祭のことを耳にしてきました。ですので、この新たな賞の受賞について連絡をいただいた時は、『オーマイゴッド』という感じでしたね。

すぐにトルンについて調べて、本当に美しい場所であることが分かり、『何と素晴らしい栄誉だろう』と思いました。

そして今、ここに来ています。『SHOGUN』は翻訳にまつわる物語であり、僕らの演技が国境を越えてポーランドへと辿り着いたことに信じられないほど素晴らしい気持ちになります。

―――ハリウッドと日本を股にかけた50年間のキャリアのなかで、『SHOGUN』が夢の絶頂だと語られていました。夢が叶った今、あなたの原動力は何でしょうか?

ただ前進するのみですね。俳優として、自分の直観に従い続けています。日本で40年、ハリウッドで20年の間演技を続けていますが、『SHOGUN』にすべての経験を注ぎ込んだのです。

しかしプロデューサーとしては、人生初めてのプロジェクトだったので、僕にとっては新たなキャリアの開拓でした。

次のミッションは、良質なプロジェクトを発掘し、より多くの日本の物語、タレント、そしてクルーを世界に紹介することです。『SHOGUN』で懸け橋を築き上げた今、その橋を強化し拡大することこそが任務になります。

真田広之、『SHOGUN 将軍』より 写真:Courtesy of Katie Yu/FX/Disney

―――本作に携わるずっと前から、あなたが演じる武将・虎永のベースになった徳川家康が、ご自身のインスピレーションの源になっているとよくお話しされていますね。シーズン2の制作が進行中ですが、その後の彼の人生でドラマで描きたい側面はありますか?

そうですね。タイトルは『SHOGUN』ですが、虎永が実際に将軍になる姿はまだ観ていませんよね?ファンの方々の多くは、それを楽しみにしているのではないかと思います。

日本には、家康の生涯を描いた映画やドラマが本当に沢山あります。僕たちのドラマは、ユニークな創作バージョンなので、このキャラクターのオリジナリティ溢れる描写を模索していきたいですね。

現在は台本の初稿を執筆している段階で、読むのが待ちきれません。非常に才能のあるチームがいます。シーズン1の制作時はすべてが新鮮で、このハイブリッドな作品のために日本とハリウッドのキャストとクルーで力を合わせました。

今では、共に働くなかで手順が決まり、経験も得ています。はるかに大きな結果を生むために、すべてのことをどこまで進化させられるか、とてもワクワクしますね。

―――[ネタバレ注意!]シーズン1では、共演者の中から大スターが生まれました。鞠子を演じたアンナ・サワイさんは今、大忙しでしょう。浅野忠信さんは国内外ですでに高い知名度を誇っていますが、藪重の演技は人気を集め、数多くのファンを獲得されました。しかし残念ながら、2人はシーズン1で命を落としてしまいました。2人が回想や前日譚的なシーンでシーズン2に再登場する可能性はありますか?

はい、残念ですよね?鞠子も、藪重も、広松もいません。素敵なキャラクターを失ってしまいました。広松を演じた西岡德馬さんは、『広松と藪重がゾンビになって復活するかも』と、最近のインタビューで語っていましたよ(笑)。

まだアイデアはありませんが、何らかの形で再登場する可能性は大いに残されています。誰にも分かりませんが。幽霊で?フラッシュバックで?他のキャラクターの夢の中でかもしれませんね。

藪重役の浅野忠信、『SHOGUN 将軍』より 写真: FX/Disney

―――シーズン1は、ブリティッシュコロンビアで撮影されました。今後のエピソードを日本で撮影したいとお考えですか?

シーズン1でも日本ロケを計画していましたが、コロナが原因で断念することになったんです。もし可能であれば、シーズン2の一部の撮影を日本で敢行することも話し合っています。何パーセントの確率で可能かは、定かではありません。

バンクーバーでのロケは最高でしたよ。現代的な建物が映り込まない大スケールの場所を日本で見つけるのは、非常に困難です。歴史大作ドラマなので、厳しいですね。少しでも日本で撮影が行えればいいのですが。今のところ、模索中です。

―――『SHOGUN』の成功は、日本のエンタメ業界にどんな影響を与えたと思いますか?

『オーセンティックな(正統な)描き方で、日本の物語や文化を世界に届けてくれてありがとう』と数多くの国内の映画製作者や俳優の方々から連絡をいただいています。

エミー賞の後、ちょっとした“サムライ・ブーム”が来ているのではないかと思います。『SHOGUN』が、新世代の侍ドラマ・映画ファンを生むきっかけになることを願っています。このジャンルには存続してほしいですね。

若い日本の俳優やクルーが、オーセンティックな侍の物語を伝える方法を学ぶためのサポートが得られればと感じています。それが、僕の最大の願いです。

―――そのお話の流れで、ファンの方々にいくつかオススメを教えていただけないでしょうか。日本には、非常に深い侍映画の歴史があります。『SHOGUN』ファンにはシーズン2の完成まで少なくとも1~2年の待ち時間があるので、その間にチェックするためにあなたのお気に入りの侍映画をぜひ教えてください。私は山田洋次監督の『たそがれ清兵衛』(2002)をいつも薦めています。大好きな作品で、あなたのまったく違う一面をみることができます。

ありがとうございます。その作品は、僕も挙げようと思っていたんですよ!(笑)僕にとって日本で撮った最後の侍映画だったので、皆さんが今でも評価してくれると喜ばしいですね。

そうですね…これは難しい質問ですよ!もちろん、黒澤明の全作品、岡本喜八作品、それと僕はモノクロ時代の侍映画を特に気に入っています。選ぶのは難しいですが、小林正樹監督の『切腹』は最初の一歩にいいかもしれません。

―――最近、これらの名作を再鑑賞することはありますか?

はい、時々ありますね。感情やテイストといった様々なアイデアを思い起こさせてくれるんです。『SHOGUN』の制作時には、かなりたくさん鑑賞しました。何かを真似るためではなく、避けるためにそうしました。

アイデアが思い浮かぶと、黒澤映画やそのほかの作品で同じ手法が用いられていないか確認していました。そして、『よし、アイデアは似ているけど、十分に異なっているな』と判断するのです。

これらの作品は僕の一部になっていますが、自分なりのやり方を見つけようと務めています。

※本記事は英語の記事から翻訳しました。翻訳/和田 萌


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