幻の『スター・ウォーズ』は別の映画のようだった:47年ぶりに“オリジナル版”が上映

『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977年)でレイア・オーガナを演じたキャリー・フィッシャー Courtesy Everett Collection
『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977年)でレイア・オーガナを演じたキャリー・フィッシャー Courtesy Everett Collection
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幻の『スター・ウォーズ』ついに上映

1977年に公開された映画『スター・ウォーズ』の、監督ジョージ・ルーカスが長年封印し続けてきた「オリジナル版」が、イギリスの映画保存機関で特別上映された。

この「オリジナル版」とは、その後何度も修正や追加映像が加えられる前の、最初に映画館で上映された状態のことで、現在私たちが見ることのできる『スター・ウォーズ』は、すべて後から手を加えられた「特別編」なのである。

なぜ監督は封印し続けたのか?

ジョージ・ルーカス監督は長年「オリジナル版は未完成だった。今の特別編こそが本当に作りたかった映画だ」と主張してきた。2004年のインタビューでは「みんなが未完成の映画を好きになってしまったのは申し訳ないが、僕は自分が望む形にしたいんだ」と語っている。

実際に見た人の感想は?

47年ぶりに上映された、幻の『スター・ウォーズ』を鑑賞した映画評論家や熱狂的なファンは、さまざまな感想を述べた。

一部の映画評論家は、「現代の基準で見ると、正直ひどい出来に見える」 「まったく別の映画を見ているような感覚だった」 「壮大なSF映画というより、砂漠で行われた史上最高の仮装大会を見ているような感じ」と率直な感想を述べた。

100回以上『スター・ウォーズ』を見たという熱狂的なファンも「初めて見る映画のようだった」と語った。

彼らが「全く異なる」と感じた主な違和感は、R2-D2が岩の後ろに隠れるシーンがないこと、酒場でのシーンの細かな違い、ダース・ベイダーの声の処理が異なる点、デス・スターの操作パネルが「電球を貼った木の板」のように見えるという点だったそうだ。

手作り感が生み出す独特の魅力

オリジナル版の特徴は、なんといってもその「手作り感」であった。現在のようなCGI技術がなかった時代、すべてのセットや小道具は実際に作られ、キャストはリアルなセットの中で演技をしていた。

ある評論家は「実際にのこぎりで切って接着剤で固定したセットがすべてのシーンに使われていて、本物の人間が本物で撮影しているという生々しさがあった」と表現している。

皮肉な結果:監督への理解が深まった

興味深いことに、監督が「見せたくない」と思っていたオリジナル版を見ることで、観客は逆にジョージ・ルーカス監督の膨大な努力を理解する結果となった。初期版と現在版を比較することで、監督がいかに細部まで気を配って作品を磨き上げてきたか、彼の努力を認識することができたのだ。

ファンが愛する「あのシーン」

上映中、観客が最も盛り上がったのは、ハン・ソロ(演:ハリソン・フォード)と悪役グリードの撃ち合いのシーンだ。

ファンの間では比較的有名な変更点だが、なんとオリジナル版では「ハンが先に撃った」のだ。後の特別編では「グリードが先に撃つ」よう変更されているため、オリジナル版でのハン・ソロの行動に劇場は拍手喝采に包まれた。

創作者の想いと観客の愛情

この上映は、映画における重要な問題を浮き彫りにした。創作者が「完璧」だと思う作品と、観客が愛する「未完成」な作品、どちらが正しいのか- その問いに答えはないであろう。

しかし、47年という時を経て初めて実現したこの上映は、『スター・ウォーズ』シリーズの持つ複雑で豊かな魅力を再認識させてくれる。技術が進歩した現代でも、古い手作りの温かさには他にはない特別な価値があるのかもしれない。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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