【インタビュー】大ヒットイタリア映画『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』フェルザン・オズペテク監督、来日インタビュー! 「光・色・ディテール——すべてはそこにある」
6月19日から公開のイタリア映画『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』のフェルザン・オズペテク監督が11年ぶりに来日し、ハリウッド・リポーター・ジャパンは単独インタビューを実施した。
1970年代のローマ。姉妹が営む衣装工房を舞台に、そこに集う女性たちの人生を描いた映画『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』。華やかな衣装制作の裏側で、それぞれに葛藤や痛みを抱えながらも生きる女性たちの姿を、ユーモアと愛情をもって描き出す。
【動画】『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』本予告|6月19日(金)公開
本作を手がけたのは、『あしたのパスタはアルデンテ』などで知られるフェルザン・オズペテク監督。助監督時代に実際に通っていた衣装工房での経験が原点となっている。
世界104カ国で配給され、220万人を動員し2024年イタリア映画最大のヒットを記録した本作。来日したオズペテク監督に、本作の背景やこだわりについて話を聞いた。
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フェルザン・オズペテク監督、11年ぶりに来日!
ーーー日本に来ていただき、ありがとうございます。久しぶりの日本はいかがですか。今回、日本に来ようと思った理由とは。
フェルザン・オズペテク:本作が日本で公開されることになり、映画をプロモーションする機会があるなら、直接インタビューを受けることが一番良い宣伝になると思いました。この映画は104カ国で販売されており、そのうち25カ国には私自身が実際に足を運んでいます。それはとても有益なことでした。

久しぶりの日本について
フェルザン・オズペテク:日本に来るのは2015年以来です。到着してすぐに仕事とインタビューが始まったので、まだ日本がどう変わったかを見る時間はありませんでした。今日の午後と明日から、この数年でどのような変化があったのかを見てみたいと思っています。
イタリア大使館でのイベントについて
ーーー昨日はイタリア大使館でのイベントにも参加されましたね。こちらはいかがでしたか。
フェルザン・オズペテク:昨日の夜、イタリア大使館でのイベントがありました。とてもいい会でした。大使館の方々も、取材に来てくださった方々も、とても感じがよく、温かく迎えてくださいました。
本作『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』の原点について
ーーー本作の原点となった、衣装工房での実体験について詳しく教えてください。
フェルザン・オズペテク:もともとは、これまで私が一緒に仕事をしてきた女優たちと映画を作りたいという思いがありました。数えてみると18人ほどいました。ただ、その女優たちと何を描くべきかは決まっていませんでした。
最初は美容サロンの物語にしようかとも考えましたが、その時に、助監督や監督助手をしていた時代に通っていた衣装工房での経験を思い出しました。

衣装工房での経験を物語にしたことについて
ーーーなるほど。監督にとって自分の人生の集大成、経験が詰まった作品になってるのではないでしょうか。
フェルザン・オズペテク:脚本家の女性2人を実際に衣装工房へ連れて行きました。そこで、私がその場所で経験したことを彼女たちに話しました。私が実際に知っていた女性たちの話もありましたが、同時に創作も加えました。
女性には通常、二つの仕事があります。ひとつは外でしている仕事、もうひとつは家に帰ってから家庭の中で担う仕事です。そうしたことから、たくさんの物語が出てきました。それらをひとつにまとめていきました。とても心地よく、楽しい作業でした。
映画関係者からは、18人の女優が登場する映画を作るのは、イタリア映画では前例がなく、大変なことになると言われました。でも実際には、とても良い経験になりました。

女性たちの人生の描き方について
ーーー本作では多くの女性がそれぞれ困難を抱えていますが、その描き方で最も意識したことは何ですか。また、チャレンジングだったこともあれば教えてください。
フェルザン・オズペテク:長年の経験の中で、人々からいろいろな話を聞いてきました。暴力的な夫を持つ女性もいれば、とても寄り添ってくれる夫を持つ女性もいます。子どもとの問題を抱える人もいれば、さまざまな問題を抱える人もいます。孤独に苦しむ人もいれば、大家族を抱えて大変な思いをしている人もいます。
女性の世界はとても豊かです。だから18人の物語を描くことはそれほどむずかしくありませんでした。時間があれば、18人ではなく28人の女性を描きたかったくらいです。語るべきことはたくさんありました。


イタリアの衣装工房・職人技
ーーー本作はイタリアの“ものづくり”へのオマージュでもあります。また、1970年代のローマという時代設定において、この物語を今現代に届けるっていう意味であったりとか、その価値をどのように捉えていらっしゃいますか。
フェルザン・オズペテク:私たちは忘れがちですが、アメリカ映画でも、多くの作品が衣装をイタリアで制作していました。イタリアの衣装、イタリアの衣装工房は、世界でも最高峰でした。多くのアメリカ映画の衣装がイタリアで縫製・制作され、アメリカへ運ばれていたのです。世界中の有名な衣装デザイナーたちも、イタリアの衣装工房を利用するために訪れていました。

助監督時代に衣装工房で学んだことについて
フェルザン・オズペテク:助監督として人々を衣装工房に案内していた時代の経験から、非常に重要なことが自分の中に残りました。その時は意識していませんでしたが、後になって、光、ディテール、色がどれほど重要かを知りました。私は偉大な衣装デザイナーたちを知っていました。重要なアカデミー賞受賞者たちとも、長年のうちに友人になりました。
彼らは光、色、ディテールを非常に大切にしていました。これは監督にとっても、俳優にとっても、クリエイティブな仕事をするすべての人にとって基本的なことです。私は普通の食事の場でも、完ぺきな光、完ぺきな色を大切にしたいと思っています。

自身の映画における光・色・ディテールについて
フェルザン・オズペテク:この経験は、私の映画にも役立っています。人々はよく、「テレビをザッピングしていて、映画の一部を見ただけで、これはオズペテクの映画だとわかった」と言います。それは、その映画に特有の色や光があるからです。その意味で、衣装工房での経験は、意識しないうちに私にとって非常に役立っていました。
実際の映画衣装を登場させた理由について
ーーー実際の映画衣装(『山猫』『ルートヴィヒ』『カサノヴァ』など)を登場させた意図を教えてください。
フェルザン・オズペテク:ティレッリ衣装工房が、非常に特別なオリジナル衣装を使わせてくれました。たとえば、ヴィスコンティ監督の『山猫』など、映画史において非常に重要な作品の衣装です。衣装工房には、そうした衣装が実際に置かれています。見せるために展示されているのです。本作に登場する衣装も、世界中の重要なイベントを巡回しています。
ステファノ・チャミッティとのコラボレーションについて
ーーー衣装デザイナーのステファノ・チャミッティとのコラボレーションについて教えてください。
フェルザン・オズペテク:ステファノ・チャミッティは、私にとって世紀の大発見とも言えるほど大きな発見でした。脚本家たちとティレッリ工房に行った時、私は当初、名前は言いませんが、アカデミー賞を受賞した衣装デザイナーにこの映画の衣装を依頼しようと考えていました。
しかし、工房の方から「その人ではなく、ステファノ・チャミッティを起用してはどうか」と言われました。彼はまだ少ししか映画を手がけていませんでしたが、工房の方は「彼は天才で、非常に才能がある」と紹介してくれました。
実際に会って30分ほど話し、彼の作品を2、3点見て、私は彼を起用することにしました。それはとてもすばらしい選択でした。次の映画でも、また彼と仕事をします。彼は天才です。
これまで映画で使われた曲は、その年のヒット曲に
ーーー音楽も非常に印象的ですが、本作における音楽の役割について教えてください。
フェルザン・オズペテク:私の映画のサウンドトラックは、イタリアではとても有名です。かつてCDが発売されていた時代には、よく売れているディスクのひとつになることもありました。私の映画で使われた曲は、その年のヒット曲になることもよくありました。
長年、私には重要な作曲家が2人いましたが、今回はタヴィアーニと仕事をしました。彼とはすでに『ロッソ・イスタンブール』やマセラティの短編などで一緒に仕事をしており、今回もとてもいい仕事ができました。
日本の観客への期待
ーーー最後に、この作品を通して、日本の観客の皆さんに伝えたいメッセージがありましたらお願いします。
フェルザン・オズペテク:イタリアでは批評家からも観客からも非常に大きな反応がありました。他の多くの国でも同じように反響がありました。日本でどのように受け止められるかはわかりません。ただ、これまでにこの映画を見た日本人の知人たちからは、とてもいい感触を得ています。いい結果になることを願っています。
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作品情報

映画『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』
6月19日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺ほかにてロードショー
- 監督:フェルザン・オズペテク『あしたのパスタはアルデンテ』
- 原案:フェルザン・オズペテク/カルロッタ・コッラーディ
- 脚本:フェルザン・オズペテク/カルロッタ・コッラーディ/エリーザ・カッセリ
- 出演:ルイーザ・ラニエリ/ジャスミン・トリンカ/ステファノ・アコルシ
- 音楽:ジュリアーノ・タヴィアーニ/カルメロ・トラヴィア
- 衣装:ステファノ・チャミッティ
- 2024年|イタリア|原題:Diamanti |135分|シネスコ|日本語字幕:杉本あり
- 後援:イタリア大使館 特別協力:イタリア文化会館
- 提供:チャイルド・フィルム/オンリー・ハーツ 配給:チャイルド・フィルム
- © 2024 Greenboo Production – Faros Film – Vision Distribution
STORY
1970年代、ローマ。カノーヴァ姉妹が経営する衣装工房では、年に一度の昼食会を控えてお針子たちが忙しく立ち働いている。パリで約束に現れなかった恋人の面影を振り切るかのように仕事に打ち込む姉アルベルタ、娘の喪失をお酒で紛らわせる妹ガブリエッラ。幼い息子を苦労しながら一人で育てる帽子担当のパオリーナ、夫の暴力に怯えるお針子のニコレッタ。彼らを見守り温かく美味しい食事を用意するシルヴァーナ。普段口にすることはないけれど、それぞれに事情を抱えている。ある日アカデミー賞受賞歴のある衣装デザイナーが新作の依頼に現れる。またとない機会とアルベルタは相談もなしに全ての衣装制作を引き受けるが、気難しい映画監督の高い要求に応えるため、工房の忙しさは増していく。才能に溢れ全てを手に入れているかのような衣装デザイナーでさえも時に自信を失い衣装制作は困難を極める。一人ひとりは、脆く不完全でも、力を合わせ支え合い、見たこともないような至高の一着を作ろうと女性たちはやがて輝き始める。
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