パラマウント×ワーナー合併にWGAが提訴 全米脚本家組合「賃金低下と創造性を脅かす」と阻止要求
パラマウントによるワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)買収をめぐり、全米脚本家組合(WGA)が合併阻止を求める訴訟を起こした。総額1,110億ドル(約18兆4,260億円)規模の巨大合併について、WGAは独占禁止法上の問題があるとして提訴した。合併によって映画・テレビ作品の買い付け市場で巨大な影響力を持つ単一企業が誕生し、脚本家の賃金低下や契約条件の悪化、雇用機会の減少につながるとして警鐘を鳴らしている。
パラマウントとワーナー・ブラザースの大型合併をめぐっては、12州の司法長官も阻止を求める訴訟を起こしており、ハリウッドの巨大再編に対する反発が広がっている。
WGAがパラマウント×ワーナー合併に反対する理由
訴状の冒頭はこう記されている。「パラマウントがワーナー・ブラザースの買収に成功すれば、合併後の企業は米国においてオリジナル映画・テレビ作品の買い付けにおいて米国最大級の存在となり、1世紀以上にわたって業界に存在してきた主要スタジオとの競争が消滅する」
WGAはさらにこう続ける。「この合併は米国エンターテインメント産業の経済的・創造的健全性を脅かす。映画・テレビの脚本買い付けをめぐる競争が失われることで、賃金抑制、契約条件の悪化、制作量と多様性の低下がもたらされる。この合併は阻止されなければならない」
市場シェア30%超、競争減少への懸念
WGAは、市場への影響を示す具体的なデータも提示している。
同組合によると、パラマウントとワーナー・ブラザースは2021年から2024年にかけて映画脚本家の雇用の35%を占めた。また、テレビ脚本プロジェクトでは36%、全体契約では38%を占めていたという。
WGAは、合併後の脚本買い付け市場におけるシェアが30%を超えれば、米最高裁判例で「競争阻害が推定される水準」に達すると主張している。
脚本家の賃金低下と雇用減少を警告
現在、パラマウントとWBDは、それぞれ独立したスタジオとして脚本や人材をめぐって競争している。
WGAが失われると訴える「競争の恩恵」は具体的だ。脚本家は複数のスタジオからオファーを受け、より良い条件を交渉できる。これがより多様なコンテンツの供給と制作量の維持につながっているが、合併によりその構造が崩れると組合は主張する。
訴状にはこうある。「競争相手が減ることで、合併後の新会社には脚本家の賃金を抑制し、制作量を減らすことで コストを削減するインセンティブと能力が生まれる。脚本家への報酬は下がり、雇用機会は減少する」
約13兆円の負債が制作縮小につながる可能性
WGAはさらに、合併後の企業が抱えることになる約790億ドル(約13兆円)の負債が、制作拡大ではなく大量解雇や制作本数削減への圧力になる可能性を指摘している。デヴィッド・エリソンCEOが「両スタジオが年間各15本の映画を劇場公開する」と約束していることについても、「合併の影響を変えるものでも、年間公開カレンダーの現実的な制約を無視するものでもない」と一蹴している。
パラマウントは「健全なハリウッドになる」と反論
パラマウント・スカイダンスの広報は「合併はより健全なハリウッドをもたらす」という従来の主張を堅持した。「より多くの企画ライン、より多くのシリーズや映画の製作承認、そしてWGA所属脚本家との強固な協力関係を今後も維持することができる。この合併に代わるのは、大手テック企業が支配し続けるエンタメ産業のさらなる衰退だ」と声明で述べた。WBDは今回コメントを控えている。
またWGAは、業界のさらなる集中によって、スタジオが脚本家への提示額を意図的に低く抑える動きが生まれやすくなり、競争原理が働きにくくなる可能性も指摘している。
WGAが過去にも挑んできたハリウッドの大きな戦い
WGAは大企業に対して力を行使することで知られる組合だ。2023年には持続可能な賃金・AIをめぐる問題で主要スタジオ相手に148日間のストライキを敢行。2019年には、タレントエージェンシーのパッケージング料問題をめぐり、所属脚本家に代理人との契約を一斉解除させるなど、大きな影響力を示した。
WGA西部支部のミシェル・マルローニー組合長は「この合併はすでに統合が進む業界での競争をさらに排除し、エンターテインメント従事者の生活と、映画・テレビの創造的多様性を脅かす。立ち上がった12の州司法長官を称え、私たちも共に提訴することを誇りに思う」と語った。
※1ドル=166円換算
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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