ポケモンカードが「文化的資産」に?史上最高額25億円で落札したAJ・スカラムーチの投資戦術
今年2月、希少なポケモンカードを1,650万ドル(約25億円)で落札し、コレクター界を驚かせたAJ・スカラムーチ氏。ベンチャーキャピタル企業ソラリ・キャピタルの創業者で、トランプ政権下でホワイトハウス広報部長を務めた投資家アンソニー・スカラムーチ氏の息子でもある。
コレクティブル市場への参入は比較的新しいが、スカラムーチ氏は最近、「オルタナティブ資産」に特化した事業「トレジャー・トローブ」を設立。ポケモンカードに続き、マーベル・コミックでアイアンマンが初登場した『テイルズ・オブ・サスペンス』第39号を200万ドル(約3億円)で取得した。
スカラムーチ氏は、こうしたコレクティブルを単なる趣味ではなく、長期的な価値を持つ「文化的資産」と位置付けている。
ポケモンカードを25億円で落札したAJ・スカラムーチとは?「文化的資産」として投資
スカラムーチ氏がコレクティブル市場に本格的に関心を持つようになったのは、コロナ禍の時期だった。現在は、金や仮想通貨への投資と同じように、コレクティブルも「資産の一つ」として捉えているという。
中でも、「ポケモン」は世界最大級のゲーム・アニメシリーズで、スカラムーチ氏によると、30年間の累計売上は2,880億ドル(約43.8兆円)に達する。
「ポケモンカードゲーム」は世界各地で大ヒット中のトレーディングカードゲームで、これまでに約850億枚のカードが印刷されてきた。PSAなどの鑑定機関によって鑑定・認証されたカードの価値は、合計で約300億ドル(約4.5兆円)に上るという。
こうした市場規模を背景に、PSAによるトレーディングカードの最高評価「PSA10」を付けられた一点物の「ピカチュウ イラストレーター」に関して、トレジャー・トローブは将来的に1億ドル(約152億円)の価値を見込んでいる。
実際に、ポケモンカードへの注目は世界的に高まっている。2027年には、長編アニメーション映画『ポケモン:ワイルドカード』の公開が予定されている。本作はシリーズ7年ぶりの完全新作映画で、映画シリーズで初めてポケモンカードが題材に選ばれた。

アイアンマン初登場号にも“投資”――目先の利益ではなく「文化的な価値保存」を目指す
アイアンマン初登場号に200万ドルを投資したことも、同じ考え方に基づくものだ。『テイルズ・オブ・サスペンス』第39号は、2024年に84万ドル(約1.3億円)で取引された。スカラムーチ氏が個人コレクターから200万ドルで購入したものだ。
1963年刊行の『テイルズ・オブ・サスペンス』第39号は、鑑定機関から最高クラスの評価を受けた唯一の現存コピーとされる。シルバーエイジのコミックで同等の評価を受けた作品は極めて少なく、同号は希少な一冊となっている。
スカラムーチ氏は、MCU世代として「アイアンマンに強い思い入れがある」と明かす。映画『アイアンマン』(2008年)でロバート・ダウニー・Jr.が演じたトニー・スタークが、自身の世代にとって特別なキャラクターだと語った。

スカラムーチ氏は、アイアンマン初登場号の価格に対して「200万ドル以上の価値がある」との見方を示している。実際に、現在すでに200万ドルを超える買い取りオファーを複数受けているという。
しかしスカラムーチ氏は、短期間で売却して利益を得ることは考えていない。トレジャー・トローブが目指すのは、短期的な転売益ではなく、世代を超えた「文化的な価値保存」だからだ。
スカラムーチ氏は、ポケモンカードやマーベル・コミックを、モネやサルバドール・ダリなどのアート作品と同じ「文化的価値を持つ新たな資産」として捉えている。
スカラムーチ氏は、金を「物理的な価値保存の手段」、ビットコインを「デジタルの価値保存の手段」と捉えている。それに対して、コレクティブルを「文化的な価値保存の手段」と語った。具体的には、長期的な視点で資産を保有するバークシャー・ハサウェイのようなモデルを目指しているという。
「トレジャーハンター」として唯一無二のアイテムを探す
トレジャー・トローブでは、コレクティブルへの投資を「アートであると同時にサイエンス」と捉え、証券や非公開企業を評価する際と同じように、市場分析やデューデリジェンスを行っている。
特に重視しているのが、希少性と長期的な価値を兼ね備えた「グレイル(聖杯)」級のアイテムだ。同社は市場を調査しながら、市場平均を上回るペースで価値を伸ばしてきた「唯一無二のアイテム」を常に探しているという。スカラムーチ氏は自らを「トレジャーハンター」と呼び、これが「トレジャー・トローブ」という社名の由来にもなった。
スカラムーチ氏によれば、ディズニーのように、キャラクターや知的財産を継続的に展開する企業も、コレクティブルの価値を支える要素になるという。
さらに同社は、「恐竜の化石」や「歴史的資料」にも関心を寄せている。恐竜分野では、ティラノサウルス、トリケラトプス、ステゴサウルスを「3大グレイル」と位置付けている。歴史的資料の分野では、奴隷解放宣言、アメリカ独立宣言、権利章典、アメリカ合衆国憲法などのアメリカ史に関わる資料をターゲットとしている。
同社には、事業の信頼性を高めることや、希少なアイテムを調達することを目的に、コレクティブル業界の有力者が参加する諮問委員会も設けられている。
さらに同社は、希少なコレクティブルを探して購入する過程や、その背後にいる人物を記録する動画制作にも取り組んでいる。
同社諮問委員会のメンバーで、玩具業界の重役であり、コレクターでもあるジェレミー・パダワー氏は、コレクティブルは今や「情熱の対象」から「本格的なグローバル資産クラス」へと進化しており、「トレジャー・トローブはその先を見据えて事業を構築している」と語った。
※為替レートは2026年9月12日時点の数値で換算しています。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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