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サム・アルトマン描く映画『Artificial』、なぜAmazonは配給を断念?OpenAIとの関係に注目

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サム・アルトマン描く『Artificial』、なぜAmazonは配給を断念?OpenAIとの関係に注目
(左から)ユラ・ボリソフ、ルカ・グァダニーノ、アンドリュー・ガーフィールド、アイク・バリンホルツ 写真:Michael Loccisano/Getty Images for FLC
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『君の名前で僕を呼んで』などで知られるルカ・グァダニーノ監督の最新作『アーティフィシャル(原題:Artificial)』が、第64回ニューヨーク映画祭でワールドプレミアを迎えた。アンドリュー・ガーフィールドがOpenAIのCEO、サム・アルトマンを演じる本作は、AI革命の裏側で何が起きていたのかをたどる物語だ。Amazon MGMスタジオが配給から撤退し、その後NEONが世界配給権を取得したことでも注目を集めている。

映画『アーティフィシャル』が描くOpenAI誕生の物語

『アーティフィシャル』は、AI研究者イリヤ・サツケバーとサム・アルトマンの出会いを軸に、現在のAI社会へとつながるOpenAIの歴史を描く。

物語の始まりは2003年。ロシア生まれの若き研究者イリヤ・サツケバーは、トロント大学で「AIのゴッドファーザー」とも呼ばれるジェフリー・ヒントンのもとで研究を始める。やがてサツケバーはヒントンとともにGoogleへ移り、2015年、シリコンバレーでアルトマンと出会う。

アルトマンらが立ち上げを進めていたOpenAIにサツケバーも加わることになり、同社のAI研究を率いる中心人物となっていく。

しかし、2人がAIに託していた未来像は次第に食い違っていく。

サツケバーが人類をより良い方向へ導くための科学としてAIを捉える一方、アルトマンは巨大な資本と技術を組み合わせ、企業としてのOpenAIを拡大していく。『アーティフィシャル』は、この理想とビジネスの衝突を物語の中心に据えている。

そして2022年11月、OpenAIがChatGPTを公開。AIをめぐる状況は一気に変化する。

さらに2023年には、アルトマンがOpenAIのCEOを解任されたものの、従業員や投資家らの強い反発を受け、わずか数日でCEOに復帰。この一連の出来事は、AI業界だけでなく世界中に大きな衝撃を与えた。

『アーティフィシャル』は、こうしたOpenAIの激動の歴史を、現在のAIをめぐる議論へとつなげながら描いている。

Amazonはなぜ『アーティフィシャル』の配給から撤退したのか

本作をめぐって大きな話題となったのが、Amazon MGMスタジオによる配給撤退だ。

Amazon MGMスタジオは当初、『アーティフィシャル』を手がけていた。しかし2026年、AmazonがOpenAIへの総額500億ドル(約7兆円)の投資を含む戦略的提携を発表した後、同社は本作の配給から撤退することになった。

その後、インディペンデント系スタジオのNEONが世界配給権を取得。Amazonから離れたことで、『Artificial』は作品そのものが持つ批評性にも注目が集まることになった。

Amazon側は、本作について別のスタジオで公開されるほうが適しているとの判断を示している。一方で、AmazonとOpenAIの関係をめぐっては、映画の内容との間に「利益相反」が生じるのではないかという見方も浮上した。

グァダニーノ監督自身も、AmazonとOpenAIの関係について「利益相反」という問題が存在するとの見方を示している。

本作が描くのは、単純なAI礼賛でもAI批判でもない。科学的な理想が巨大な資本と結びついたとき、技術を生み出した人々の価値観がどのように変化していくのか――。その過程を描く作品だけに、AmazonとOpenAIをめぐる現実の動きは、映画そのものにさらなる文脈を与えている。

アンドリュー・ガーフィールドがサム・アルトマンに

サム・アルトマンを演じるのは、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズや『ハクソー・リッジ』などで知られるアンドリュー・ガーフィールド。

本作では、強いカリスマ性と親しみやすさを持つ一方、その裏で周囲を翻弄するアルトマンの姿が描かれる。

ガーフィールドは、単純にアルトマンの外見を再現するのではなく、彼の身振りや話し方、人物としての存在感を捉えることを重視した。

一方、アルトマン本人は予告編を見た段階で、本作が自身を正確に再現した作品ではないとの認識を示している。

撮影中、アルトマンの自宅近くでガーフィールドと本人が偶然顔を合わせたこともあったという。2人が互いに手を振ったかどうかについては、両者の記憶が食い違っているという。

ただしグァダニーノやガーフィールドが描こうとしたのは、アルトマン本人の完全な再現というより、AIという巨大な力を手にした人物がどのように権力を行使するのかという、より本質的な部分だ。

イリヤ・サツケバーを演じるユラ・ボリソフ

物語のもう1人の中心人物となるイリヤ・サツケバーを演じるのは、『アノーラ』で知られるユラ・ボリソフ。

サツケバーは本作において、AIを人類のために役立てようとする理想主義者として描かれる。ところがOpenAIが急速に巨大な組織へと変化していくなかで、自分が信じていたものとの間に大きな隔たりが生まれていく。

ボリソフは、サツケバーが自分の理想が失われていくことに気づいていく過程を演じている。

その対照として、ガーフィールド演じるアルトマンは、AIの可能性を事業と資本の力へと結びつけていく人物として描かれる。

2人の関係は、本作の核となる対立でもある。

マーク・ライランス、モニカ・バルバロら豪華キャスト

ジェフリー・ヒントンを演じるのはマーク・ライランス。AI研究の先駆者であるヒントンは、作品の中でAIの未来に警鐘を鳴らす存在として描かれている。

『トップガン マーヴェリック』のモニカ・バルバロは、OpenAIの元CTO、ミラ・ムラティ役を演じる。アルトマンとの距離感や、OpenAIの進む方向に揺れる複雑な立場を演じている。

グレッグ・ブロックマン役にはクーパー・ホフマン、イーロン・マスク役にはアイク・バリンホルツが起用された。

特にマスクの描写は、作品の中でもユーモアが強く表れている部分のひとつ。バリンホルツは、現在広く知られているマスク像ではなく、物語の時代における彼のイメージを捉えることを意識したという。

また、ジェイソン・シュワルツマンは、AIの未来について警告する、謎めいた元テック業界関係者を演じる。公園のベンチでサツケバーにAIがもたらす危険を語るこの人物は、作品全体に不穏な予兆を与える存在だ。

『アーティフィシャル』が問いかけるAIと人間の未来

グァダニーノ監督が本作に惹かれた理由のひとつは、AIが数学やコンピューターによって生み出される一方で、その根底には常に「人間」が存在するという考えだった。

脚本を手がけたのは、『サタデー・ナイト・ライブ』やピクサーで脚本を担当してきたサイモン・リッチ。AIの可能性について幼い頃から聞かされてきた経験をきっかけに、本作を書き上げたという。

『アーティフィシャル』が興味深いのは、AIそのものを未来の技術として描くのではなく、AIを生み出した人間たちの欲望や理想、権力、そして資本主義との結びつきを描いている点にある。

AIが社会を変えるのか。それとも、AIを利用する人間の欲望こそが社会を変えてしまうのか。

OpenAIの誕生からChatGPTの登場、そしてアルトマンの解任と復帰までをたどる『アーティフィシャル』は、現在進行形で変化し続けるAIをめぐる問題を、いち早く映画化した作品といえる。

しかも本作の物語は、現実のニュースと並行して進んでいる。AIの安全性をめぐる警告が相次ぐ現在、サツケバーが抱いた懸念は過去の出来事ではなく、いまも続いている問題として観客の前に突きつけられる。

『アーティフィシャル』は、ルカ・グァダニーノ監督がAI時代の始まりをどう捉えるのかを描くと同時に、私たちがいま手にしているAIという巨大な力が、どのような思想と選択の上に築かれたのかを問いかける作品となっている。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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