イーロン・マスクの映画『Musk』、TikTokが広告を永久停止!作品が描く「情報統制」との皮肉な一致
イーロン・マスクの実像に迫るドキュメンタリー映画『Musk(原題)』をめぐり、TikTokの対応が波紋を広げている。北米での公開規模が約500スクリーンに拡大するなか、同作の広告アカウントが永久停止されたのだ。作品が問いかける巨大テック企業による情報統制の問題が、思わぬ形で浮上した。
▼イーロン・マスクの映画『Musk』、TikTokが広告を永久停止

米『ハリウッド・リポーター』によると、配給会社ブリーカー・ストリートは現地時間10月16日、TikTokから広告購入機能の永久停止を通知された。通常の投稿を行うアカウントは利用できるものの、広告出稿や投稿の有料拡散は不可能になったという。
同作はニューヨークとロサンゼルスの4館で公開された初週末に7万ドル(約1,106万円)を記録。その後、数十都市へと上映規模を拡大していた。配給会社は処分に対する不服申立てを進めているが、観客の関心が高まる週末に広告を展開できないことは、興行面でも大きな痛手となりかねない。
配給会社の広報担当者は停止の通知を受けたことを認め、「タイミングについて非常に残念に思っております」とコメント。TikTok側は本件についてコメントを控えている。
【動画】ドキュメンタリー映画『Musk(原題)』予告編
▼「政治的コンテンツ」が理由か、具体的な違反は不明
TikTokとブリーカー・ストリートのメールのやり取りでは、映画の予告編を含む複数の有料投稿が拒否され、異議申し立てを繰り返していたことが明らかになった。TikTokの担当者は、予告編が政治的コンテンツに該当するとして「今後もプラットフォームから削除され続けます」と説明したという。
さらに、米『ニューヨーカー』誌による「アメリカ人は、まるで自分の人生がかかっているかのようにこの映画を見るべきです」という推薦文を引用した広告も、「静止画であること」を理由に停止された。TikTokからは「政治的ポリシー違反の深刻度」に関する説明があったものの、具体的にどの規約に違反したのかは明らかになっていない。
▼巨大テック企業の権力を描く作品に、皮肉な展開

アレックス・ギブニー監督が3年以上にわたる調査を経て完成させた『Musk』は、マスクの行動や企業活動に迫る作品だ。後半では政府効率化省(DOGE)をはじめとする政治活動を掘り下げる一方、特定の政治家や政治的主張を支持する立場は取っていない。マスクによるTwitter買収も重要な題材であり、デジタル空間の言論や情報流通をめぐる権力の問題を浮き彫りにする。
広告停止をめぐる状況は、作品のテーマとも皮肉な形で重なる。ブリーカー・ストリートが出稿できなかった広告には、約4時間に及ぶ上映時間の休憩中にXのアカウントを削除するよう勧めるなど、ユーモアを交えたものもあった。未払いの投稿は引き続き閲覧でき、すでに27万回再生を記録しているが、有料広告による拡散ができなければ、作品を広く知らせる機会は限られる。
TikTokはマスクと公式な提携関係にないものの、同社の一部を所有するラリー・エリソンは、映画の中でマスクによるTwitter買収を資金面から支援する意向を示した人物として描かれている。メタやGoogle/YouTubeが予告編広告を受け入れた一方、TikTokは停止措置を維持。Xも同作の広告を受け付けていない。
なお、『Musk』は、ラリー・エリソンの息子デヴィッド・エリソンが買収し、製作資金も提供したHBOを通じて、アメリカで2027年に配信される予定だ。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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