【東京国際映画祭】TIFFCOM 2026、日本IPの海外展開を加速 映画化・リメイク市場とAI時代の戦略
日本発のアニメ、漫画、ゲームなどへの国際的な関心が高まるなか、日本の知的財産(IP)を活用した映像化や海外リメイク、国際共同製作の可能性に注目が集まっている。東京国際映画祭に併設される国際コンテンツマーケット「TIFFCOM」も、日本発IPの海外展開を後押しする場として存在感を高めている。池田香織マネージングディレクターが、日本IPの国際展開やAIによって変化するエンターテインメント業界への対応について語った。
TIFFCOM 2026、日本IPの海外展開を後押し
東京国際映画祭に併設されるTIFFCOMは、映画やテレビ、アニメーションなどのコンテンツを扱う国際マーケットとして、国内外の業界関係者を結びつけてきた。日本発IPへの関心の高まりを背景に、出展者や来場者が集まり、セミナーの拡充にも取り組んでいる。
池田香織マネージングディレクターは、米『ハリウッド・リポーター』の取材に対し、日本文化への注目がTIFFCOMの活動を後押ししていると説明した。
「東京はおそらく世界で最も魅力的な都市の1つですし、日本はいまブームを迎えています。私たちは文化を扱っているので、こうした状況は活動を支える力になっています」と語っている。
日本のアニメや漫画、ゲームに加え、日本発の番組フォーマットやドラマ『SHOGUN 将軍』の世界的な成功なども、日本発コンテンツへの関心を高める要因となっている。池田氏によると、こうした動きが映画祭とマーケット双方に追い風をもたらしているという。
池田氏は、日本の映像業界でキャリアを積み、アスミック・エースで『トレインスポッティング』や『デッドマン・ウォーキング』などの作品買い付けを担当。その後、ドリームワークス関連のプロジェクトやJでの勤務を経て、TIFFCOMのマネージングディレクターに就任した。現在、同職3年目を迎えている。
東京IPマーケット、日本IPの映画化・リメイクを促進
TIFFCOMが力を入れる取り組みの1つが、日本発IPの海外映像化やリメイク権の取引を促進する「Tokyo IP Market: Adaptation & Remake(東京IPマーケット:アダプテーション&リメイク)」だ。
同プログラムは、出版社と連携して書籍の映像化に焦点を当てた取り組みを発展させる形で、2025年にスタートした。2026年は第2回の開催となり、出版社や映像関連企業など8社が参加する。
参加企業には、アミューズクリエイティブスタジオ、KADOKAWA、日本文芸社、日本アニメーション、松竹、主婦と生活社、スクウェア・エニックス、東映が名を連ねる。
日本のIPを映画やゲームなど、さまざまな形式に展開する可能性を海外のプロデューサーに紹介し、日本の権利保有者と海外の映像制作者を結びつける狙いがある。
池田氏は、2026年のカンヌ国際映画祭併設マーケット「マルシェ・デュ・フィルム」で日本が「カントリー・オブ・オナー」に選ばれたことを受け、TIFFCOMと同マーケットが連携して「Japan IP Market」を展開したと説明。映画やゲームなどへの展開を視野に、日本の権利保有者と海外のプロデューサーを結びつけた。
この取り組みについて、池田氏は成果を評価しており、今後も継続する可能性があると話す。国際市場での経験が限られる中小出版社などにも参加を促し、海外展開の機会を広げたい考えだ。
TIFFCOMは2025年、4,610人の参加者を記録し、出展団体数は322に達した。2026年も、国内外のコンテンツ業界関係者が集うマーケットとして開催される。
日本IPの国際共同製作とAI活用に注目
日本IPの海外展開やリメイク、国際共同製作をテーマとするセッション「Unlocking the Global Potential of Japanese IP」では、日本の映画・映像業界や海外配信作品に携わるプロデューサーらが登壇する予定だ。
さらに2026年は、AIなどの先端技術とストーリーテリングの関係をテーマとする基調講演「Technology and Storytelling」を実施する。登壇するのは、『アベンジャーズ』シリーズを手がけるアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟が設立したAGBOのパートナー、クリス・ブレアトンと、同社の最高科学責任者(CSO)を務めるドミニク・ヒューズだ。
日本動画協会は、TIFFCOMのセッションでアニメーション業界の年次データを発表する。また、日本のテレビ局は、海外に販売した番組フォーマットの事例を紹介する予定だ。
こうしたプログラムを通じて、TIFFCOMは日本発コンテンツの海外展開だけでなく、技術革新や視聴者の変化を含めた業界の課題にも目を向けている。
東京ギャップファイナンシング・マーケット、国際連携の成果
池田氏がもう1つの取り組みとして挙げるのが、製作費の一部を確保した映画企画と、追加の資金や製作パートナーを求めるプロデューサーを結びつける「東京ギャップファイナンシング・マーケット(TGFM)」だ。今年で7年目を迎え、企画の完成に向けた国際的な連携を後押ししている。
昨年のTGFMに参加した企画のうち、完成した2作品が、今年の東京国際映画祭の「CROSSCUT ASIA+」部門で上映される。
また、2023年のTGFMでイタリアのパートナーと出会ったアニメーション作品『The Violinist』は、2026年のアヌシー国際アニメーション映画祭で、長編作品部門の最高賞にあたるクリスタル賞を受賞した。
池田氏は、マーケットを通じた出会いが具体的な成果につながっていることを強調する。こうした事例は、国際マーケットが資金調達や共同製作のパートナー探しにとどまらず、作品の完成や国際的な評価にもつながる可能性を示している。
AIと配信戦略の変化がエンターテインメント業界に与える影響
一方、エンターテインメント業界を取り巻く環境は大きく変化している。日本では短編ドラマが注目を集める一方、ストリーミングサービス各社の制作投資やコンテンツ戦略にも変化が生じている。さらに、AIの普及が制作やビジネスのあり方に影響を与えている。
池田氏は、こうした変化を踏まえ、TIFFCOMが業界関係者にとってより有益な場となるよう取り組んでいると説明する。
「いまのマーケットでは、本当にさまざまなことが起きています。業界関係者がビジネスの商談を行い、ネットワークを築くための、より良い場所をどうつくるかを考えています」
日本発IPへの国際的な関心が高まるなか、権利保有者と海外のプロデューサーを結びつける仕組みや、国際共同製作を支えるマーケットの役割は、今後ますます重要になりそうだ。AIなどの技術革新によって制作環境やビジネスモデルが変わるなか、TIFFCOMはコンテンツの国際流通と業界関係者の交流を支える場として、その役割を広げようとしている。
TIFFCOM 2026は、10月28日から30日までの3日間、東京都立産業貿易センター浜松町館で開催される。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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