ホーム » FESTIVAL » TOKYO » 【第39回東京国際映画祭】ユニクロ支援の難民映画が日本初上映

【第39回東京国際映画祭】ユニクロ支援の難民映画5本が日本初上映!ケイト・ブランシェット、役所広司らが登壇

/ /
【第39回東京国際映画祭】ユニクロ支援の難民映画が日本初上映
(左から)ヴァーニャ・カリュジェルチッチ氏(IFFR フェスティバル・ディレクター)、クレア・スチュワート氏(IFFR マネージング・ディレクター)、モハマド・ラスロフ監督(DFF 支援監督)、ケイト・ブランシェット(DFF 共同創設者・リーダー)、シャフルバヌ・サダト監督(DFF 支援監督)、役所広司(俳優)、久松猛朗氏(東京国際映画祭フェスティバル・ディレクター) ©2026 TIFF
スポンサーリンク

俳優のケイト・ブランシェットが、第39回東京国際映画祭に登壇。ユニクロが創設パートナーとして支援する「ディスプレイスメント・フィルム・ファンド(難民映画基金、以下DFF)」が制作を支援した短編映画5作品が、10月30日(金)に同映画祭で日本初上映を迎えた。

公式記者会見にはブランシェットのほか、イラン出身のモハマド・ラスロフ監督、アフガニスタン出身のシャフルバヌ・サダト監督らが出席。上映後のトークセッションには俳優の役所広司も特別ゲストとして参加し、映画を通じて難民・避難民の経験を伝える意義について語った。

ユニクロが支援!ケイト・ブランシェット、難民映画の可能性を語る

DFFは、故郷を追われた映画制作者や、避難民としての経験を作品で描いてきた映画制作者を支援するために設立された。ブランシェットが2025年の第54回ロッテルダム国際映画祭で設立を発表し、ユニクロなどが創設パートナーとして参加。運営パートナーにはIFFRのヒューバート・バルス基金、戦略パートナーにはUNHCRが名を連ねている。

DFFの支援を受けた短編映画5作品は、同映画祭の「ガラ・セレクション」に選出された。ジャパンプレミアに合わせて開催された記者会見には、DFF共同創設者でリーダーのブランシェットをはじめ、ロッテルダム国際映画祭(IFFR)マネージング・ディレクターのクレア・スチュワート氏、『センス・オブ・ウォーター』のモハマド・ラスロフ監督、『スーパー・アフガン・ジム』のシャフルバヌ・サダト監督、ユニクロを擁するファーストリテイリング取締役グループ上席執行役員の柳井康治氏が登壇した。

ブランシェットは、世界で多くの人々が故郷を追われている現状に触れ、映画が果たす役割について、次のように述べた。

「世界の70人に1人が故郷を追われている今、なぜこうした物語がもっとメインストリームで語られないのか。映画には、故郷を追われた人々につきまとう有害なナラティブを払拭する機会があります」

さらに、「故郷を追われたことは、その人を定義づけるものではありません」と強調。「DFFでは、映画制作者たちに題材や視点を選ぶ完全な自由を与えています」と説明した。同基金が重視するのは、監督自身が故郷を追われた経験を持つこと、あるいはその経験への理解や共感を持っていることだという。

故郷を追われた経験と映画への思い――難民となった監督らが語る

3年前にイランを離れることを余儀なくされたラスロフ監督は、『センス・オブ・ウォーター』に込めた個人的な思いを明かした。

「私は映画人ですから、言葉は私にとって素材であり、文化でもあります。言葉が通訳されたり、別の言語に訳されたりするたびに、母語の言葉が持つ質感や、私自身の気持ちが失われてしまうように感じます。私は第二言語に対してある種の恐れを抱いていました」

そのため、DFFから支援のオファーを受けた際には、自身が抱える問題を個人的な視点から見つめ直す作品を作りたいと考えたという。

一方、『スーパー・アフガン・ジム』のサダト監督は、アフガニスタンから逃れた両親のもとイランで生まれ、人種差別や性差別、家父長制の中で、自分の居場所を探し続けてきた経験を持つ。2027年に日本で劇場公開予定の『No Good Men』では自ら主演を務めており、スクリーンに映る自分の姿を見たことが、大きな気づきにつながったと振り返る。

「突然、自分には故郷がある、と感じました。それはイランでもアフガニスタンでもなく、私自身の体でした」

『No Good Men』の編集中にDFFから声がかかったというサダト監督は、自身の経験を作品に反映させたいと考えた。

「これは私だけの経験ではなく、残念ながら多くの女性の経験でもある。これは普遍的なことです。だからこそ、DFFというチャンスを生かして、自分の肌の内側にさえ居場所を感じられないという意味での“ディスプレイスメント(故郷や居場所を失うこと)”を描く映画を作りたいと思ったのです」

役所広司が特別ゲストで参加!ユニクロも支援継続を表明

同日、ヒューリックホール東京で開催されたジャパンプレミア上映後のトークセッションには、ブランシェット、ラスロフ監督、サダト監督に加え、ユニクロのチャリティTシャツプロジェクト「PEACE FOR ALL」に参加している役所が特別ゲストとして登壇した。

上映作品について、役所は「すばらしい作品でした。これから第2弾、第3弾と、このような支援から生まれる映画、そして映画作家たちを応援していきたい」とコメントした。

『センス・オブ・ウォーター』については「愛と苦悩、そして深い心の傷を描いた、とても静かで穏やかな、美しい作品」と評価した。

『スーパー・アフガン・ジム』については、長年の戦争で傷ついたカブールの街を背景に、ジムでダイエットに励む女性たちの姿を描いた作品として紹介。「本当に微笑ましく、平和で、人間の強さを強く感じました」と語った。

トークセッションの様子。(左から)役所広司、シャフルバヌ・サダト監督、ケイト・ブランシェット氏、モハマド・ラスロフ監督、東京国際映画祭プログラミングディレクター市山尚三氏
トークセッションの様子。(左から)役所広司、シャフルバヌ・サダト監督、ケイト・ブランシェット氏、モハマド・ラスロフ監督、東京国際映画祭プログラミングディレクター市山尚三氏 ©2026 TIFF

DFFの創設パートナーであるユニクロの柳井氏は、同基金の原点として、2023年12月の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)主催のグローバル難民フォーラムを振り返り、「映画の力で、難民の方々の物語を多くの皆さまに届け、活躍の場をつくろうと宣言しました。短い期間でしたが、関係者の皆さまの情熱とご支援のおかげでここまで来ることができ、心から感謝しています」と伝えた。

ユニクロは20年以上にわたり、難民支援に取り組んできた。柳井氏は、国籍や人種にかかわらず、全ての人がアクセスできるブランドを目指す姿勢を示した。また、DFFの作品がさまざまな機会を通じて多くの人に届き、評価されるよう、積極的に支援していく考えを表明した。

IFFRのスチュワート氏は、2024年10月にブランシェットと出会ったことをきっかけに、同映画祭のヒューバート・バルス基金がDFFに参画した経緯を説明。2023年12月のグローバル難民フォーラムで出会った人々が基金の立ち上げに強い関心を持ち、「慈善家や企業、個人、映画業界の関係者が協力して、この取り組みの実現に至った」と述べた。

『The New Yorker』でオンライン配信へ、「難民映画祭2026」でも上映

DFFが支援した短編映画5作品は、米『The New Yorker』誌とのパートナーシップにより、11月から同誌のウェブサイトとYouTubeチャンネルで毎週順次配信される予定だ。第1弾として、ハサン・カッタン監督によるドキュメンタリー『アライズ・イン・エグザイル/故郷を追われた盟友たち』が公開される。

日本国内では、東京国際映画祭での上映に続き、国連UNHCR協会が主催する「第21回難民映画祭2026」でも同作を鑑賞できる。同作は11月5日(木)にTOHOシネマズ 日比谷でオープニング上映会が開催されるほか、同日から12月6日(日)までオンライン配信される予定だ。

【関連記事】

スポンサーリンク

類似投稿