第39回東京国際映画祭が閉幕、成田凌が最優秀男優賞 東京グランプリは北マケドニア作品
第39回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが2026年11月4日、東京・有楽町のヒューリックホール東京で開催され、各賞が発表された。コンペティション部門の最高賞にあたる東京グランプリ/東京都知事賞には、ミルチョ・マンチェフスキ監督の『妹兄とマンホールの蓋』が輝いた。また、三島有紀子監督の『男ともだち』に出演する成田凌が最優秀男優賞を受賞した。
『妹兄とマンホールの蓋』は、北マケドニア、ブルガリア、セルビア、アルバニア、イタリア、イギリスの合作。1994年の『ビフォア・ザ・レイン』でヴェネチア国際映画祭の金獅子賞を受賞したミルチョ・マンチェフスキ監督の最新作である。
物語の舞台は北マケドニアの首都スコピエ。貧しい環境で暮らす兄妹が、マンホールの蓋や銅製の胸像などを盗み、スクラップとして売ることで生計を立てている。ある事故をきっかけに、2人の生活は大きく変化していく。厳しい現実の中でもたくましく生きる兄妹の姿を描いた作品だ。

マンチェフスキ監督はすでに帰国しており、授賞式にはビデオメッセージを寄せた。「世界で大好きな映画祭の一つである東京が、この作品を愛してくれてうれしい」と喜びを語った。
壇上ではプロデューサーのヤネ・チョルトシェフがトロフィーを受け取り、「僕らはマンホールの蓋(レプリカ)を持ってきて、この賞をマケドニアに持ち帰ることができる。素晴らしいディールだね」とユーモアを交えて受賞の喜びを表現した。
審査委員特別賞には、シンガポールのスン・シュン監督によるアニメーション作品『魔法の星図』が選ばれた。10年をかけて完成させたという本作について、スン監督は「この経験を大切にして創作活動に生かし、よりよい作品を作っていきたい」と今後への意欲を語った。

成田凌が『男ともだち』で最優秀男優賞、日本人俳優として2年ぶり
日本映画からは、コンペティション部門に出品された『男ともだち』に出演する成田凌が最優秀男優賞を受賞した。日本人俳優の同賞受賞は、2024年の第37回東京国際映画祭で『敵』の長塚京三が受賞して以来、2年ぶりとなる。
授賞式に成田は出席できず、三島有紀子監督が代理でトロフィーを受け取った。三島監督は「この光景を成田さんに見せたい。成田さんを見つけてくださってありがとう。あなたのことを心から誇りに思います」と、受賞を喜んだ。

さらに成田について「沈黙の中に、身体性の中に、そして言葉の裏に感情を宿すことのできる俳優」と表現。「戦友となって作品を豊かにしてくれた」と、撮影をともにした成田への感謝を伝えた。
最優秀女優賞は、フランス・香港合作『ふたりを結ぶ夜』のフー・リンが受賞。壇上では「東京国際映画祭、チームのメンバー、母校である北京電影学院、両親、友人、そして長年応援してくださった皆さんに感謝したい」とスピーチし、目に涙を浮かべた。


第39回東京国際映画祭の受賞結果一覧
10月26日から11月4日まで開催された第39回東京国際映画祭では、計204本の作品が上映された。観客動員数は速報値で69,072人となった。
主な受賞結果は以下の通り。
コンペティション部門
- 東京グランプリ/東京都知事賞: 『妹兄とマンホールの蓋』(北マケドニア・ブルガリア・セルビア・アルバニア・イタリア・イギリス、監督:ミルチョ・マンチェフスキ)
- 審査委員特別賞: 『魔法の星図』(シンガポール、監督:スン・シュン)
- 最優秀監督賞: リサンドロ・アロンソ(『ふたつの自由』/チリ・アルゼンチン・ルクセンブルク・ドイツ・イギリス)
- 最優秀女優賞: フー・リン(『ふたりを結ぶ夜』/フランス・香港)
- 最優秀男優賞: 成田凌(『男ともだち』/日本)
- 最優秀芸術貢献賞: 『今日が終わるまで』(セルビア・ブルガリア・スロベニア・モンテネグロ・クロアチア・ドイツ、監督:イェレナ・マクシモヴィッチ)
- 観客賞: 『ヘイゼル85』(ベルギー・オランダ・ドイツ、監督:テオドラ・アナ・ミハイ)
(右)審査委員特別賞を受賞したスン・シュン監督(『魔法の星図』) ©︎The Hollywood Reporter Japan
アジアの未来部門、作品賞受賞『シェリフェ』 © Box Productions
アジアの未来部門
- 作品賞: 『シェリフェ』(スイス・トルコ、監督:タレク・ダウド)
- スペシャルメンション: 『12月のジャニ』(インドネシア、監督:アリアニ・ダルマワン)
Nippon Cinema Now部門
- 作品賞: 『シルバー・エクスプレス』(監督:田中未来)
- 審査委員特別賞: 『いえないふたり』(監督:まつむらしんご)

アジア学生映画コンファレンス
- 作品賞: 『太陽の下を駆け抜けて』(ベトナム、監督:グエン・ヴー・ヒエン・チー)
- 審査委員特別賞: 『すべて順調』(シンガポール、監督:ナー・イーチェン)
- 審査委員特別賞: 『彼女のすべて』(韓国、監督:キム・ナムヒョン)
その他の賞
- 黒澤明賞: 呉美保、モハマド・ラスロフ
- エシカル・フィルム賞: 『夢から覚めることはそうない』(ドイツ・ウクライナ、監督:イザベル・シュテーヴァー)
- グローバル・シネマ・リーダーシップ特別賞: ビル・クレイマー
取材・記事:The Hollywood Reporter Japan 特派員 鈴木元
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