ドラマ『ダウンタイム』で注目の松岡茉優、主演映画『男ともだち』で成田凌が最優秀男優賞
Netflixシリーズ『ダウンタイム』での演技が話題を集める松岡茉優が主演する映画『男ともだち』で、成田凌が第39回東京国際映画祭の最優秀男優賞を受賞した。成田にとって自身初の同賞受賞となる。
千早茜のロングセラー小説を原作に、三島有紀子監督がメガホンを取った本作は、東京国際映画祭コンペティション部門に正式出品。30歳を目前に人生の停滞期を迎えた女性と、彼女を長年見守り続けてきた“男ともだち”の曖昧で特別な関係を描く。松岡と成田の共演は7年ぶり。2026年11月6日(金)より全国公開される。

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ドラマ『ダウンタイム』で注目の松岡茉優、成田凌と7年ぶりの共演

第39回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが11月4日、東京・有楽町のヒューリックホール東京で開催され、各賞が発表された。コンペティション部門に出品された『男ともだち』では、成田凌が最優秀男優賞に輝いた。
授賞式では、国際審査委員を務めた俳優の渡辺真起子がプレゼンターとして登壇。成田の演技について「主人公の痛みを静かな友情を持って見つめ続ける、その絶妙な距離感を身体性を伴って表現されました」と評し、受賞者として成田の名前を発表した。

当日、成田は会場に駆けつけることができず、三島監督が代理でトロフィーを受け取った。監督は「成田さんは、沈黙の中に、身体性の中に、そして言葉の裏に感情を宿すことのできる俳優さんです」と、その表現力を称賛。「彼が戦友となってこの作品を豊かにしてくれたと思います」と喜びを語った。
さらに、撮影中のエピソードとして、雪が降ることを願っていた三島監督の隣で、成田が空に向かって「雪、降れ!」と声をかけたところ、実際に雪が降ったという出来事を紹介。「映画を、現場を豊かにする力がある俳優さん」と、成田への感謝を伝えた。
成田は受賞コメントで、喜び以上に感謝の気持ちが大きいと述べ、三島監督をはじめとするスタッフ、キャスト、原作、脚本、ロケーションへの思いを語った。また、クランクアップの日に監督が「ああ、もうハセオとは会えへんのや……」とつぶやいたことが今も心に残っていると明かし、「映画を観終わった方にも、そんなふうに思っていただけるハセオであったなら嬉しいです」とコメント。「この作品に携わったすべての皆さまに、心から感謝しています」と結んだ。
本作で松岡と成田が共演するのは、実に7年ぶり。『勝手にふるえてろ』(2017)、『万引き家族』(2018)などで知られる松岡が演じるのは、京都で暮らすイラストレーターの神名(かんな)。そして、彼女にとって曖昧でありながら特別な存在である“男ともだち”のハセオを成田が演じる。

千早茜の小説『男ともだち』を三島有紀子監督が映画化
原作は、『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞した千早茜による同名小説。2014年に発表され、第151回直木賞候補作にも選ばれた作品で、第1回新井賞を受賞するなど、刊行以来、幅広い読者から支持を集めてきた。著者作品の映像化は本作が初となる。
物語の主人公は、京都に暮らすイラストレーターの神名。かつて絵本で賞を受賞し脚光を浴びたものの、近年は無理なクライアントワークに追われ、創作への情熱も揺らいでいる。30歳を目前に、同棲中の恋人・彰人との関係は冷え切り、妻子ある医師・真司との逢瀬にも満たされない日々を送っていた。

そんな神名のもとに、大学時代の先輩であるハセオから突然電話が入る。7年ぶりに再会したハセオは、昔と変わらない距離感で神名に接する。京都、富山、広島で過ごす“3つの夜”を通して、2人の曖昧で特別な関係が、神名の人生を少しずつ動かしていく。
「恋人がくれないものを、彼だけが私にくれた。」
この印象的なコピーが示すように、恋愛とも友情とも言い切れない関係性を軸に、誰もがどこかで見聞きし、あるいは経験したことのある複雑な人間模様を繊細に描き出す。
松岡茉優が明かした京都ロケの裏話、嵐山で撮影の合間に寄り道?

10月29日、大阪ステーションシティシネマで舞台挨拶付き先行上映が開催され、主演の松岡茉優と大阪出身の三島有紀子監督が登壇。約500人の観客を前に、京都での撮影秘話や成田凌との共演エピソードを語った。
本作のメインロケ地となったのは、主人公・神名が暮らす京都。2026年2月、嵐電や鴨川沿い、蹴上インクラインなど、冬の京都各地で撮影が行われた。
なかでも松岡が明かしたのが、嵐電での撮影中に起きた思いがけない出来事だ。神名とハセオが再会するシーンは、実際に走行している電車の中で撮影された。成田演じるハセオが途中の駅で待機する一方、松岡は嵐山まで乗車。折り返しまで時間があると告げられた際、「嵐山まで来て、嵐山見ないで帰りたくないなと思って(笑)」と、撮影の合間に観光へ出かけたことを告白した。
トイレに行くとスタッフに伝えて電車を降り、そのまま「ちょっと見てきていいですか!?」と嵐山へ。おいしそうな団子や抹茶スムージーにも心を引かれたものの、撮影に遅れるわけにはいかず、観光だけを楽しんで電車に戻ったという。三島監督も「そんなことしてたの!?知らなかった!」と驚き、会場を笑わせた。
また、松岡は京都の蹴上インクラインでの撮影も印象深いシーンとして挙げた。朝日が昇る直前、夜露で石が光る景色を「宝石の道みたい」と表現。「私が演じる神名にとっても、物語のきっかけになるとても大切なシーンだった」と振り返った。
ラーメン店での撮影にもユニークな裏話がある。湯気の有無などをシーンごとに統一するため、松岡は同じラーメンを約7杯食べたという。後半はスタッフと分け合いながら撮影を続けたと明かし、現場の和やかな雰囲気を伝えた。
三島監督は、京都での撮影について「観光というより、暮らしていらっしゃる人たちが誇りに思う場所は、どういうところなのかなと思いながら撮っていました」と説明。かつて東映京都撮影所で映画を学び、約2年間京都で暮らした経験もある監督にとって、思い入れの深い土地での撮影となった。
成田凌が演じる“エセ関西弁”のハセオ、監督が明かした名シーン誕生秘話

舞台挨拶では、成田が演じるハセオの人物像についても話題が及んだ。
ハセオは、エセ関西弁で飄々と話し、ぶっきらぼうに見えながらも、出会った頃から神名のことを深く理解している人物。神名との独特な距離感が、物語の重要な軸となっている。
三島監督は、ハセオのある一言が2人の過去の関係性と未来を感じさせる重要な場面になっていると明かした。そのセリフの大切さを成田に伝えたところ、「え。むず。」と返されたという。
最初のテイクでは思うようにいかず、2人で悩んだ末、「もうなんも考えんとやってみる?」と改めて臨んだところ、素晴らしい演技が生まれたという。三島監督が明かす撮影秘話に、松岡も「どこのシーンだろう!(笑)」と驚き、監督から「いたよ!」とツッコミが入る一幕もあった。
7年ぶりに再び共演した松岡と成田。2人が演じる神名とハセオの関係が、どのような表情や言葉、そして沈黙によって描かれるのかも、本作の見どころの一つだ。

大阪出身の三島有紀子監督、地元凱旋に「ほんまに感慨深い」
大阪での先行上映は、松岡と三島監督にとって特別な機会となった。
9月に約1カ月間、大阪で舞台に出演していたという松岡は、「まさか一カ月以内に梅田に帰って来れるなんて嬉しいです」と笑顔で挨拶。
一方、堂島で生まれ育った三島監督は、東京国際映画祭コンペティション部門に選出された新作を携えての地元凱旋に、「ほんまに感慨深くて」と喜びを語った。「この街でこうして皆さんと一緒に『男ともだち』を見ることができるんやな」と、地元の観客と作品を共有できることへの感慨を明かした。
最後に松岡は、映画の中で神名がもがきながらも、大人になって自分が抱えたものを乗り越えていく姿を見守ってほしいと観客にメッセージ。「また大阪帰ってくるで!」と関西弁で締めくくった。
三島監督も本作を「愛に関する映画」と表現し、「人を愛したくなる映画でもあると思います」とコメント。傷つき、壊れながらも、それらを糧に次の扉を開いていく物語として、観客に届けたい思いを語った。
松岡茉優、成田凌ら実力派キャストが集結

松岡が演じる神名は、才能を持ちながらも身勝手で、人間関係に不器用な女性。人生の分岐点に立ち、孤独や不安を抱える人物の揺れ動く心情を、松岡が繊細に体現する。
一方、成田が演じるハセオは、独特の距離感で神名を見守り続ける存在。言葉の裏にある感情や、何気ない仕草に宿る思いを表現する成田の演技は、今回の最優秀男優賞受賞でも高く評価された。
神名の恋人で同棲相手の彰人役には井上祐貴、妻子ある医師で神名と関係を持つ真司役には中島歩。さらに、咲妃みゆ、三浦貴大、辻凪子、中山求一郎、比喩根(chilldspot)、余貴美子、池畑慎之介らが出演する。
監督を務める三島有紀子は、『少女』(2016)、『幼な子われらに生まれ』(2017)でも東京国際映画祭に正式招待された経歴を持つ。本作では、人生の分岐点に立つ人々の複雑な感情を、俳優たちの身体表現と力強いロングテイクによって描き出す。

映画『男ともだち』作品情報
- 原作:千早茜『男ともだち』(文春文庫)
- 監督:三島有紀子
- 脚本:澤井香織
- 音楽:安川午朗
- 劇中歌:chilldspot「lost child」
- 出演:松岡茉優、成田凌、井上祐貴、中島歩、咲妃みゆ、三浦貴大、辻凪子、中山求一郎、比喩根(chilldspot)、余貴美子、池畑慎之介
- 製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
- 制作プロダクション:カズモ
- 公開日:2026年11月6日(金)
- 公式サイト:https://happinet-phantom.com/otokotomodachi/
千早茜の小説が描く、名前のつけられない関係と、そこに宿る感情。松岡茉優と成田凌が7年ぶりに共演し、三島有紀子監督とともに紡いだ『男ともだち』は、11月6日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開。
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