グー・シャオガン、モーリー・スリヤ両監督が黒澤賞受賞会見「大変光栄」

東京国際映画祭が選ぶ黒澤明賞を受賞した中国のグー・シャオガン、インドネシアのモーリー・スリヤ両監督が31日、記者会見を行った。

昨年までは世界の映画界に貢献した映画人としてスティーヴン・スピルバーグ監督ら著名な監督が受賞していたが、今回から映画界の未来を託したい映画人へと方向転換。長編デビュー作となった2021年「春江水暖」でカンヌ映画祭批評家週間のクロージングを飾ったグー監督と、17年「マルリナの明日」で東京フィルメックス最優秀賞を受賞したスリヤ監督を選出し、2人はともに「大変光栄な賞」と喜びを語った。

90年に黒澤監督がアカデミー賞名誉賞を受賞したニュースを見てから、作品を見始めたというグー監督。最初に見た「夢」に「最も衝撃を受けた」とそうで、「ただストーリーを語ったり情感を表現する映画が多い中、『夢』は思想、哲学的考えをしっかり描くことができている。黒澤監督の作品には商業と芸術の境がないと悟り、将来こういう映画を作りたいと思った」と説明した。

「黒澤監督はアカデミー賞で『私はまだ、映画がよく分かっていない。突き詰めていけるよう、しっかり頑張っていきたい』というお話をされていた。今回の受賞は、黒澤監督からの『真の映画とは何なのか探求しなさい。それは映画を作り続けることだ』という激励だと思っている。これから映画とは何かをつかむ旅に入ると思う」と気持ちを新たにした。

一方のスリヤ監督は、インドネシアでは黒澤作品にふれられずオーストラリアの映画学校時代に図書館にあった全集で観賞。「マルリナの明日」にも「七人の侍」や「羅生門」の影響があることを明かし、「私の受賞が東南アジア、インドネシアの若い女性監督の背中を押すものになればいい。もっと夢を持って、独自の視点で映画を撮り、その人が来年の黒澤明賞を受賞すればいいですね」と期待していた。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴⽊ 元

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