『ゴジラ-1.0』山崎貴×神木隆之介×浜辺美波、撮影の裏側、アメリカでの反響とは

山崎貴、神木隆之介、浜辺美波
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2024年アカデミー賞にもノミネートされ、今ハリウッドで絶賛されている映画『ゴジラ-1.0』。監督である山崎貴、主演を務めた神木隆之介とヒロインの浜辺美波にザ・ハリウッド・リポーター・ジャパンが独占インタビュー。

撮影秘話や本作への想い、そしてアメリカでの反響などについて語ってもらった。

映画『ゴジラ-1.0』とは

戦後の日本を舞台とした最新ゴジラ映画。戦争を経て全てを失った人々の毎日にゴジラが唐突に現れる。残された日本の人々がゴジラの突然な出現とどう向き合うかを描く作品。

神木隆之介&浜辺美波演じる敷島と典子

ーー演じられた役の紹介、配役決定までの経緯、 決まった時の心境をお聞かせ願えますか。

神木:敷島浩一という特攻隊委員で、戦地に向かう際に心が折れてしまい突撃できなかったという人間を演じさせていただきました。役の中でもPTSDだったりトラウマに襲われる描写もあったので、役作りに大変なことも。でも、ゴジラの話をいただいたときには本当に嬉しかったので、難しい役でもぜひこのご機会を形にしたいと頑張りました。

浜辺:大石典子という幼い預かりの子供を抱えて生き抜く女性を演じました。そこからゴジラや神 木さん演じる敷島に出会うことによって人生に大きく展開を迎えるという役です。

ゴジラという作品に出演できるということは日本の映画業界にいるものとして憧れがありまして、 お話をいただいたときには夢にも思っていなかったのですごく嬉しかったです。ゴジラに映画を通 して会えるということに喜びを感じました。

限られた予算で”魅せる”ための工夫

ーーハリウッドの映画よりも予算を抑えながらこれだけのクオリティを作り上げる為にされた工夫などはありますか?

山崎:限られたリソースの中でどうやっていくのかというのは、特にこういう大きな状況を扱う映画 のときには常に悩ましいことです。

アメリカではパイプラインを作って、いろんな人たちがちょっとずつ関わるという形が多いのです が、日本の技術者は1から10まで全部自分でやる人たちが多くいます。また、自分が監督でもあ りスーパーバイザーでもあるので、現場にいてすぐにチェックできます。

よってトライアンドエラーの回数が増えるのと、オッケーも早く出せるというのが少ないリソースで たくさんのカットをより良く仕上げられた理由じゃないかなと思います。

神木隆之介&浜辺美波の撮影エピソード

ーー撮影時の印象的だったエピソードをお聞かせください。

神木:海でゴジラと戦うシーンがありまして。浜松に10日間滞在し、毎日のように早朝から夕方ま で実際に海に出ていたので、すごく大変でした。初日は楽しみだったんですが、途中から吐き気がして…。ちょうど緊迫したシーンだったので、船酔いを利用して芝居をしていました。

大変だったけど、ゴジラという大作感がすごくありました。乗り越えられたのは、監督が僕より船 酔いしてたからだと思います(笑)。

浜辺:私は預かりの娘を抱えているという設定だったので、明子という女の子とお芝居をご一緒させていただいたのが印象的でした。

神木:一回腰痛めてましたよね、本格的に(笑)。持ち替えるときによいしょっていったら「あっ、痛い」って言ってましたよね。

浜辺:意外と2歳ちょっとの子って大きいんですよ。なので腰も共に思い出ということで…。

山崎貴監督の「人間ドラマ」を中心としたゴジラ映画

ーー「ゴジラ」という怪獣映画で、キャタクター主導の作品を作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

山崎:54(『ゴジラ』1954)の影響ですね。初代のゴジラは人間ドラマとゴジラの関係が上手く入り乱れているところが素晴らしいと思っています。

ゴジラはやっぱり巨大な存在なので、どうしても人間ドラマと乖離しがちで、最初からそこをどう接着するかというのを意識して作っていました。この2人をはじめとするキャスト陣が頑張ってくれた証拠だと思います。

克服した”マイナス”は「虫」と「ワサビ」

ーー『ゴジラ-1.0』のマイナスにちなみ、お二人が”マイナス” を克服した経験が有れば教えてください。

神木:克服までいくかどうかわからないんですけど、僕は虫が嫌いなんですよね。前までは虫を一つ見かけると、騒いでしまっていたくらい。よく撮影とかでも森のシーンとか出てくるじゃないですか。

山崎:夜の撮影とかね。ライトにやってくる、訪れるお友達ね。

神木:苦手だったところをドラマ『らんまん』の撮影で森に行きすぎて慣れたんです。演じていた植 物学者の役を経て、こういう自然の中っていうのは虫たちが先に住んでいる場所であり、我々が お邪魔させてもらっているんだなと思うようになりました。

浜辺:そうですね。あっちの家ですから。

神木:僕は植物科学者を経て、マイナスワンどころじゃないですね。マイナス100ぐらいだったのがプラマイゼロになりました。

浜辺:私はワサビを克服しました。元々はお寿司にもお刺身にもワサビを入れるなんて、本来の魚の味がしないと思っていましたが、今はむしろワサビと醤油だけでビール飲んじゃうくらい。克服したのと、大人の階段を一歩登ったなという感覚です。 

山崎貴監督の愛するハリウッド

ーー 監督が普段からハリウッドで尊敬する俳優や監督はいらっしゃいますか?

山崎:やっぱり改めて思ったのが、スピルバーグとルーカスの『未知との遭遇』と『スターウォーズ』から始まってるんだなと。

前回ロスに行ったときにゆかりの場所などに行かせていただいたんですけど、聖地はここだなと思いました。ここに俺は立っているんだというのがなんだか感慨深かったです。

会見者:『スターウォーズ』など、ハリウッド作品から今回のインスピレーションを受けて今回の作品に反映されたものはありますか?

山崎:海のバトルは『ジョーズ』と言われます。昔は別の映画っぽい感じのシーンを作ると、パクったなと言われたんだけど、今はもうクラシックになったんですよね。むしろ「『ジョーズ』っぽくていいね」と言われて、時代の変化を感じます。

もちろん狙ったつもりはないです。ただ、撮ってる最中から背鰭が出てきて船を撮ってきたら 『ジョーズ』って言われるかもしれないなと思いながらも、撮りたい絵だからいいんだと意志を貫きました。

映画『ゴジラ-1.0』の見どころは?

ーー本作の見どころ、また本作への想いをお聞かせください。

神木:メッセージ性が強い映画ではありますが、やはりゴジラが出てきたときにエンターテインメントに一気に変わる部分が見どころかなと思います。気持ちがあまり沈まずにワクワクすることができますよね。

それこそアメリカでも上映されて、そのときお客さんと一緒に観させてもらったのですが、ゴジラが出てきたら一気に歓声が上がって。

山崎:最初ゴジラが出てくる時に「ワー」って歓声が上がってたんだけど、途中から敷島が頑張ると「ワー」と 応援するように反応してくれて、最終的に人間側に完全に感情が移っていました。

神木:単純にエンタメとして楽しめるのがこの映画のすごくいいところなんじゃないかなと思います。

会見者:今のアメリカでの反応は狙っていらっしゃったのでしょうか?

山崎:そもそもアメリカで上映されると思っていなかったので、全然それはないです。ただ、現地で生のゴジラファンの方達のリアクションを見て、全身で浴びるように「きゃー」「ワー」という歓声を聞くことができたのはなかなか至福の体験でした。

浜辺:ゴジラが大好きな監督が作っているからこその演出であったり、仕組みがあったりするのが魅力なのかなと客観的に見ていました。

今年度の米アカデミー賞にもノミネートされた本作の今後が楽しみになる対談となった。アカデミー賞の発表は来月10日予定。

プロフィール

山崎貴

1964年6月12日生まれ。長野県出身。映画『ALWAYS三丁目の夕日』で注目を浴びた。その他映画『永遠の0』や『STAND BY ME ドラえもん』、『海賊とよばれた男』などの監督も務めている。

神木隆之介

1993年5月19日生まれ。埼玉県出身。NHK連続テレビ小説『らんまん』や映画『3月のライオン』 などの作品で主演を務める。そのほか声優としても活躍。

浜辺美波

2000年8月29日生まれ。石川県出身。実写映画『君の膵臓をたべたい』やNHK連続テレビ小説 『らんまん』に出演。『第74回NHK紅白歌合戦』で司会を務めた。

取材・編集/加藤 望 本文/廣瀬 香帆

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