SKIPシティ国際Dシネマ映画祭、最優秀作品賞はウズベキスタンの『日曜日』に栄冠

各賞を受賞した監督たち — 左からカラン・テージパル、谷口慈彦、村田陽奈、ショキール・コリコヴ、田之上裕美、朴正一、細井じゅん
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SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024の表彰式が21日、埼玉・川口のSKIPシティ映像ホールで行われた。

国際コンペティション部門の最優秀作品賞は、ウズベキスタンのショキール・コリコヴ監督の『日曜日』が受賞。初の長編監督作での戴冠に、「この映画祭のおかげで初めて日本を訪問することができ、とてもうれしい。映画は大勢の力で作るものなので、私だけの賞ではなく、このチームとして受賞できたことを光栄に思う。また、ウズベキスタンの方々の賞でもある」と喜びを語った。

老夫婦の静かな日常を丁寧につむいだ作品で、審査委員長の白石和彌監督は「これほど愛おしいと思える時間が続くことが、これだけ心を打つのだと感じた作品」と評価。賞金100万円にも言及し、「次作への力にもなるだろうと思い、また作品を作って日本に持ってくることができるよう、審査員一同心から応援している」と期待した。コリコヴ監督も、「ぜひ早めに撮影して、日本でも上映できるよう頑張りたい」と意欲を見せた。

白石和彌監督からトロフィを受け取り笑顔のコリコヴ監督

インドのカラン・テージパル監督の『連れ去り児(ご)』が、監督賞と観客賞をダブル受賞。テージパル監督は驚きを隠さず、「この映画の着想は10 年前で、企画が始まったのが 2019 年なので、今日という日を迎えるまでに足かけ 5 年もたっています。個人的なテーマで、土地に根づいた 非常にローカルなアイディアが文化圏を超えて日本の方々に響いたことは非常に意義深い。大変なカタルシスを感じます」と喜びをかみしめた。

審査員特別賞は日本から唯一選出された谷口慈彦監督の『嬉々な生活』が獲得。全ての日本映画の中から選ばれ、次作の企画に対してSKIPシティ彩の国ビジュアルプラザから施設や設備の提供が受けられるSKIPシティアワードにも輝き、谷口監督は「初期衝動で突っ走って制作し、完成まで持っていった作品。作って良かったという思いをかみ締めています。出演者の子供たちも、これから未来へ羽ばたいていく世代なので、その子たちの励みにもなればと思う」と感慨深げに話した。

スピーチをする谷口監督

国内コンペティション部門の優秀作品賞は、長編が村田陽奈監督の『折にふれて』、短編が田之上裕美監督の『はなとこと』がそれぞれ受賞。村田監督は、「大学の卒業制作として、やれることを全部やり切って卒業しようという気持ちで作った作品が賞をいただけたことを光栄に思う。今後もこの映画が皆の心に留めてもらえるような機会を作れるよう、作品とともに歩んでいきたい」と新たな意欲。田之上監督は「キャストやスタッフの皆が仕事もある中、自分の時間を割いて参加してくれて、一緒に考えてくれて、この作品を作って本当に良かったと思います。皆さんに感謝の気持ちしかありません」と目に感激の涙を浮かべた。

白石監督は、国内コンペの作品も精力的に観賞し「受賞の有無に差はないと思っています。参加された方々にとっては、この映画祭で受けた刺激が今後生きてくると思いますし、どの作品も素晴らしく毎日胸をワクワクさせながら拝見しました。こういった作品を川口市で行われる映画祭の中で選定するという意義を、静かなメッセージとして受け取りました。敬意を表したいと思います。もっと若いお客さんに見てもらって、会場自体が熱気であふれるくらいの映画祭に、これから育っていってほしいなと切に願います」と講評。9日間の会期を締めくくった。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭の受賞結果は以下の通り。

【国際コンペティション部門】

最優秀作品賞

『日曜日』監督:ショキール・コリコヴ

監督賞

カラン・テージパル『連れ去り児(ご)』

審査員特別賞

『嬉々な生活』監督:谷口慈彦

観客賞

『連れ去り児(ご)』

【国内コンペティション部門】

優秀作品賞(長編部門)

『折にふれて 』 監督:村田陽奈

優秀作品賞(短編部門)

『はなとこと 』 監督:田之上裕美

観客賞(長編部門)

『雨花蓮歌 』 監督: 朴正一

観客賞(短編部門)

『立てば転ぶ 』 監督:細井じゅん

SKIPシティアワード

『嬉々な生活』

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

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