ジーン・ハックマンが残した名シーン9選:『フレンチ・コネクション』、『許されざる者』など

ジーン・ハックマン。20世紀を代表するレジェンド俳優がこの世を去った。ハリソン・フォードやクリント・イーストウッドと並び、彼が演じるキャラクターには常に独特のタフさと実力がにじみ出ていた。

70本以上の映画に出演した彼のキャリアの中で、観る者の記憶に深く刻まれた名シーンは数えきれない。その中から、特に印象的な瞬間を厳選して紹介。

『勝利への旅立ち』（1986年）

高校バスケットボールの弱小チームを州大会優勝を目指す姿を描いた作品。ロッカールームでのコーチの激励スピーチは、1986年当時ですら使い古された決まり文句とされていた。

だからこそ、ジーン・ハックマンはこの場面を独自のスタイルで演じる。最初は淡々と語り始め、次第に熱を帯び、やがて心の叫びへと昇華させていく。

『スーパーマン』（1978年）

ジーン・ハックマンが演じたレックス・ルーサーは、スーパーヒーロー映画における悪役像の基準を驚くほど高いレベルに引き上げた。

彼のルーサーは常に笑みを浮かべている。しかし、それは冷徹な笑みだ。自身の知略を誇る満足げな表情か、間抜けな手下たちへの苛立ちを隠す仮面か——どちらにせよ、不気味な魅力を放っている。セリフは時に大げさすぎるほどだったが、それをリアルに感じさせるのがハックマンの才能の証明だ。特に彼の登場シーンは見事だった。

『スーパーマンII』の場面では、最初は悪の三人組に命を奪われかけながらも、最終的には状況を支配する立場へと巧みに転じていく。

『ミシシッピー・バーニング』（1988年）

ジーン・ハックマンはウィレム・デフォーと共演し、行方不明になった3人の公民権活動家の捜査を担当するFBI捜査官を演じた。ハックマンが演じる捜査官は元ミシシッピ州の保安官で、暴力的で荒々しい男として、ただ法の味方に立っているに過ぎないというキャラクターだ。

この役でハックマンはアカデミー賞にノミネートされ、ここではブラッド・ドゥーリフが演じる腐敗した副保安官に、非常に近い距離で剃刀を当てるシーンが印象的だ。

『クリムゾン・タイド』（1995年）

ジーン・ハックマンはデンゼル・ワシントンと対峙し、核ミサイル発射の命令を受けた潜水艦の艦長を演じる。二人の対話は非常に強烈で、世界の運命がかかる中で、ハックマンとワシントンの演技がぶつかり合い、緊張感が高まる。ハックマンは頑固な権威を体現し、ワシントンはその権威に対して揺るがぬ服従を示しながらも、次第に対立が激化していく。