Netflix、ベン・アフレックのAI企業を950億円超で買収――“巨大取引”で目指すAI活用法とは?
Netflixは今年3月、俳優で映画監督のベン・アフレックが設立したAI企業「InterPositive」を買収した。同社が映画製作者向けにどのようなAIツールを開発しているのか、Netflixはそれらの技術をどのように活用していくのかといった疑問が飛び交うなか、とりわけ注目を集めていたのが、その買収額だ。
そして現地時間7月18日(土)、Netflixが米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書から、その金額が明らかになった。この書類によれば、同社はInterPositiveの買収に約5億8,700万ドル(約954億円)を支払ったという。
報告書に社名は記載されていないものの、「2026年3月、当社は事業結合として会計処理された買収を完了した。総購入価格は約5億8,700万ドル」と記されている。
Netflix、ベン・アフレックのAI企業を買収「理念が一致」
アフレックは、2022年にAI企業InterPositiveを設立。同社は、脚本や演出、演技、美術といった映画製作のクリエイティブな領域には手を加えず、視覚効果(VFX)の制作工程における革新を目標に掲げている。
同社について、アフレックは次のように語っていた。
「私は映画業界やそこで働く人々に対し、人間の創造性と、それを支えるクリエイターを守る責任があると考えていた。InterPositiveは、その理念を実現するために立ち上げた会社だ」
同社は非公開のサウンドステージで独自のデータセットを収集し、それをもとに独自AIモデルを開発。アフレックによると、このモデルは「ショットの欠落や背景の差し替え、照明の不自然さといった、実際の撮影現場で起こる問題に対応しながら、映像の整合性や、編集の一貫性を保つよう訓練されている」という。
そしてNetflixとの統合については、以下のように説明している。
「映画の誕生からデジタル化、モーションキャプチャー、バーチャルプロダクションに至るまで、テクノロジーは常にアーティストとともに進化してきた。Netflixが長年培ってきた技術や実績と、私たちの理念は一致しており、今回の提携は自然な流れだった」
生成AIが変えるNetflixの映像制作――約300作品で導入
一方、Netflixの共同CEOであるテッド・サランドス氏は今週の決算説明会で、「現在では約300作品の制作工程でAIが活用されており、その大半はポストプロダクション(仕上げ工程)で利用されている」と明かした。
サランドス氏は、「企画からプリビジュアライゼーション(撮影前に仮素材でCG映像を制作すること)、ポストプロダクション、納品に至るまで、制作プロセス全体で生成AIの活用が急速に広がっている。従来の手法よりも、より速く、効率的に、高品質な成果物を生み出せるようになった。複雑なショットやシーンにも生成AIを取り入れている」と説明した。
その具体例として挙げたのが、トム・ハンクスが製作総指揮を務めるドキュメンタリー『アメリカン・エクスペリメント:建国250年に想う』だ。
サランドス氏によると、同作には“AIによって強化された”約17分間の映像が含まれている。これにより、「これまで実現が難しかった規模の映像表現が可能になった。その映像は、従来の制作方法と比べて2倍のスピード、半分のコストで完成した」という。
※為替レートは2026年7月19日時点の数値で換算しています。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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