史上最高の反ファシズム映画20選…『紅の豚』、チャップリンのあの名作も

The 40 Best Anti-Fascist Films of All Time 
史上最高の反ファシズム映画20選 写真: THR Illustration; images: A24, Lucasfilm Ltd., TriStar Pictures / Courtesy Everett Collection
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イーロン・マスクがドナルド・トランプ大統領の就任式で見せたヒトラーを彷彿とさせる敬礼――このジェスチャーは激しい反発を招き、ファシズムの不穏な再興についての文化的議論を再燃させた。まさに今こそ、映画史に刻まれた独裁、抵抗、そして暴政の人間的代償を描いた作品を振り返る絶好の機会である。ここに集めたのは、時代もジャンルも超えて世界中から選ばれた、権力の暴走がもたらす危険性を改めて思い起こさせる作品群である。

以下、「史上最高の反ファシズム映画20選」



1.『アメリカン・ヒストリーX』(1998)

エドワード・ノートン、『アメリカン・ヒストリーX』(1998)写真: New Line Cinema/Courtesy Everett Collection

エドワード・ノートンが演じた暴力的なネオナチのデレクは、自動車を盗もうとした黒人男性を残忍に処刑し、その結果として殺人罪で有罪判決を受ける。しかし、獄中で出会った黒人の囚人との交流を通じて、思いもよらぬ改心を遂げる。映画批評家たちは、この作品が映像美に満ちた暴力表現に執着している点を指摘している。その暴力こそ、本来ならば物語が否定するはずのものである。しかし、デレクとその仲間のスキンヘッドたちが絆を深める場面――孤独で不安に苛まれ、何か偉大なものに属することを渇望する敗者たち――において、本作は恐ろしいほどの予見性を持っている。


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2.『未来世紀ブラジル』(1985)

ジョナサン・プライス、『未来世紀ブラジル』(1985)写真: Universal/Courtesy Everett collection

ジョナサン・プライス演じるサムが、全体主義的な官僚機構という精神(そして時に骨までも)を押し潰す巨大システムの歯車として生きる。一見するとソ連時代のスターリニズムを風刺した作品だが、現代に改めて観ると、技術の暴走が致命的な結果を招く世界が恐ろしいほどの現実味を持って迫ってくる。たった一つのタイプミスが無実の人間の拷問と死を招き、体制への抵抗はメディアによって一蹴される。テリー・ギリアム監督はロバート・デ・ニーロ演じるタトル――フリーランスの暖房技師にして自由のために戦う男――に、時代を超えた反ファシズムの英雄を託した。


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3.『キャバレー』(1972)

ライザ・ミネリ、『キャバレー』(1972)写真: Courtesy Everett Collection

1930年代ベルリンにおけるファシズムの台頭と現代アメリカの現実との類似点は、『キャバレー』を再鑑賞する際に不快感を覚えさせる。ボブ・フォッシーによるオスカー8冠に輝くミュージカルの名作は、冷笑、皮肉、無関心がいかにして人種差別や過激主義を助長するかを描き出し、今日においてもなお恐ろしいほどの現実味を持つ。「まだ彼らを制御できると思っているのか?」――英国人学者ブライアン(マイケル・ヨーク)は、高慢な貴族バロン(ヘルムート・グリーム)にこう問いかける。そしてクラブのパフォーマー、サリーを演じるライザ・ミネリは、かつてないほどの名演を見せ、現実逃避と自己欺瞞の極意を体現する。ローマが燃えさかる中、彼女は歌い、踊り続ける。


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4.『カサブランカ』(1942)

ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン、『カサブランカ』(1942)写真: Courtesy Everett Collection

物語の舞台は1941年、アメリカがまだ第二次世界大戦に中立を保っていた時期だが、映画の公開は1942年11月、米軍が連合軍と共に北アフリカ解放に乗り出した時期であった。『カサブランカ』は「転向の物語」であり、ハンフリー・ボガート演じるリックが、自己を「孤立主義者」と称する男から、献身的なレジスタンスの戦士へと変貌を遂げる物語である。リックは、アメリカ自身が抱く自己像――渋々ながらも救世主となる国――の象徴だ。彼はヨーロッパの混乱には関わりたくないと考えているが、根底にある良心が道徳的選択を迫る。人類の運命がかかった状況では、彼のイルザ(イングリッド・バーグマン)への愛という個人的な想いは、「豆の山ほどの価値もない」のである。


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5.『第9地区』(2009)

シャールト・コプリー、『第9地区』(2009)写真: Sony Pictures/Everett Collection

『第9地区』は、SFクリーチャー映画とモキュメンタリー風の風刺を巧みに融合させ、従来のエイリアン侵略映画の構図を覆した。南アフリカ出身のニール・ブロムカンプ監督は、異星人を通じて、あらゆる形のアパルトヘイトを支える「非人間化」の本質を浮き彫りにする。物語の核心となるのは、異星人の難民キャンプを移転させる軍事作戦であり、人間たちは彼らを「忌まわしい外来種であり、資源を浪費する存在」としか見ていない。これは、アパルトヘイト時代の南アフリカにおけるケープタウン第六地区の非白人住民強制排除を想起させるが、同時に、今日の非人道的な世界で移民や難民が直面する苦境にもそのまま当てはまる物語である。


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6.『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980)

『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980)写真:Courtesy of Everett Collection

ジョン・ウィリアムズの巧妙な「帝国のマーチ」に、すべてが詰まっている。ダース・ベイダーという典型的なファシストの原型がここにある——仮面をかぶり、機械化された闇の存在。その姿自体が、権威主義的支配の非人間性を象徴している。彼と息子ルークの関係は、制度的支配と個人の自由意志の対立をより一層象徴的に描き出している。『帝国の逆襲』の暗い結末は、2025年の空気の変化とより深く共鳴している。今年は、極右勢力が世界中で台頭しているかのように見えるからだ。


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7.『独裁者』(1940)

チャーリー・チャップリン、『独裁者』(1940)写真:Everett Collection

ハリウッド史上最も影響力のある風刺映画とも称される本作は、チャップリンのキャリアにおいて最も商業的成功を収めた映画でもあった。チャップリンは本作で二役を演じている。一人は冷酷な独裁者、もう一人はその独裁者と間違えられる心優しきユダヤ人理髪師である。本作の公開は、アメリカが正式に第二次世界大戦へ参戦する以前に、ドイツへの反感を米国民の間で高めるきっかけとなった。その大胆さとスラップスティック・コメディの卓越した技法によって、世代を超えて称賛され続けている。


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8.『イングロリアス・バスターズ』(2009)

『イングロリアス・バスターズ』(2009)写真:Weinstein Company/Courtesy Everett Collection

タランティーノによる痛快な本作には、数々の型破りな歴史改変が詰め込まれている。野球バットを振り回す「ユダヤの熊」を演じるイーライ・ロス、悪の化身としてドイツ的几帳面さを体現したクリストフ・ヴァルツの見事な怪演、そして狂った豚のように喘ぐヨーゼフ・ゲッベルスの衝撃的なフラッシュカット。しかし何よりも圧巻なのは、映画館の中でナチス指導部を皆殺しにするという結末だ。これは、タランティーノが1994年の『パルプ・フィクション』で後部座席の銃暴発シーンによって観客の度肝を抜いて以来、最も狂気的かつ挑発的に映画の暴力を駆使した瞬間である。


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9.『ジョジョ・ラビット』(2019)

『ジョジョ・ラビット』(2019)写真:Kimberley French/Twentieth Century Fox

チャップリンの『独裁者』のコンセプト──ナチズムをナイーブな視点から描き、その滑稽さを暴く──を、独自の不条理コメディとしてアップデートしたタイカ・ワイティティ。本作の主人公は、ヒトラー(ワイティティ)を空想上の友人とするドイツの少年ヨハネス(ローマン・グリフィン・デイヴィス)である。大胆な発想ながら、いくつかの場面では見事にその効果を発揮している。たとえば、ヒトラーをアイドルのように描く演出などは、衝撃的でありながら同時に笑いを誘う。ファシズムを扱う映画としてはやや甘さが残るが、その漫画的な表現の中で、本作は邪悪な体制の根底にある不条理さを鋭く暴いている。


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10.『マイノリティ・リポート』(2002)

トム・クルーズ、『マイノリティ・リポート』(2002) 写真:20th Century Fox Film Corp. All rights reserved./Courtesy Everett Collection

時は2054年。トム・クルーズが、フィリップ・K・ディック的な陰謀の迷宮を駆け抜ける。警察国家は犯罪を事前に検知するというシステムを運用している。特異な才能を持つ三人の予知能力者が浮遊タンクの中で漂い、彼らの脳波はスーパーコンピューターによって監視され、計画的殺人の兆しを探し出される。犯罪の意図が検知されるや否や、警察が即座に出動し、犯行が行われる前に容疑者を逮捕するのだ。本作が警鐘を鳴らした「人間の理解を超えて機能する技術的独裁主義」の脅威は、急速に進化するAI時代の現在において、むしろ一層差し迫ったものとなっていると言えるだろう。


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11.『パンズ・ラビリンス』(2006)

『パンズ・ラビリンス』(2006) 写真:Picturehouse/Courtesy Everett Collection

暗いスペインの森の奥深く、国がファシズムの悪夢に包まれていた最も陰惨な時代。メキシコの映像魔術師ギレルモ・デル・トロは、純真な少女の内なる幻想世界を、権力、腐敗、そして抵抗の寓話へと昇華させた。オフェリアの魔法の試練がスペイン共和派の地下闘争と並行する中で、デル・トロは個人的な神話と歴史的な抵抗を見事に絡み合わせる。そして、彼のほぼすべての幻想映画がそうであるように、「想像力そのものが革命的行為である」という示唆を与えている。


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12.『ペパーミント・キャンディー』(1999)

『ペパーミント・キャンディー』(1999) 写真:Courtesy of HKIFF

韓国の名匠イ・チャンドンによる傑作は、錯乱した中年男(ソル・ギョング)が列車の前に身を投げる場面から始まる。そこから線路を逆行するかのように、彼をこの狂気の結末へと追いやった六つの重要な出来事を明かしていく。精神的に空虚な90年代の東アジア経済成長期をさまよいながら、彼はやがて80年代の韓国軍事独裁政権下における幾多の衝撃的な体験へと導かれていく。そして、最後のエピソードで再び彼と出会うとき、彼はまだ穢れを知らぬ、成人直前の純粋な学生である。しかし、観客はすでに知っている——韓国の歴史が彼の人生をいかにして捻じ曲げ、耐え難い悲劇へと追いやるのかを。その予感は、あまりにも残酷で、直視するのが困難なほどである。


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13.『紅の豚』(1992)

『紅の豚』(1992) 写真:Courtesy of Studio Ghibli

アニメ界の巨匠・宮崎駿にとって、「飛行」は自由と創造的超越の象徴的なメタファーである。彼のスタジオの名が、1930年代のイタリア偵察機「ジブリ」に由来していることからも、それは明らかだ。舞台は1929年、ムッソリーニの政権掌握から7年後のイタリア・アドリア海沿岸。第一次世界大戦を戦ったイタリア人戦闘機パイロットが、ある日突然、謎の呪いによって豚の姿に変えられてしまうという奇想天外なファンタジーだ。

果たして彼は、戦争の悲劇を生き延びたことへの罪悪感から豚にされたのか。それとも、国家の歯車となることを拒み、自らの矜持に従って孤高の賞金稼ぎとなったからなのか。宮崎はその答えを明示しない。物語の終盤、イタリア軍の士官が彼に「復隊すれば安泰だ」と誘いかける。しかしポルコ・ロッソは、鼻で笑いながらこう言い放つ。「ご親切にどうも。でも、ファシストになるくらいなら豚のままでいるさ」


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14.『善き人のためのソナタ』(2006)

『善き人のためのソナタ』(2006)写真:Sony Pictures/Everett Collection / Everett Collection

権威主義体制が恐怖と静かな協力関係によって成り立っていることを精緻に解剖する、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクのアカデミー賞受賞デビュー作。東ドイツのシュタージ(秘密警察)職員の視点を通して描かれ、盗聴の対象となった反体制派の芸術家を監視するうちに、彼は道徳的な目覚めを経験し、体制の内側から戦う決意をする。芸術と共感が政治権力に挑む力を持つことを訴える作品である。


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15.『無防備都市』(1945)

『無防備都市』(1945)写真:Everett Collection

ロッセリーニの『無防備都市』は、全体主義に対するイタリアの抵抗を描いた苛烈なネオレアリズムの証だ。戦争によって荒廃したローマの実際の街並みで撮影されたこの作品は、ドキュメンタリーのような生々しいスタイルを持ち、ファシズムとの戦いが絶え間ない恐怖と裏切りの可能性に満ちた闘争であることを浮き彫りにする。イタリアが遅れてムッソリーニのファシスト政権に反旗を翻した後、左翼活動家二人とカトリック司祭が、それぞれ異なる形の集団的抵抗を体現しながらも、ナチス・ドイツによって屈辱的に占領された自らの街に直面する。本作には強い情熱も息づいており、どれほど状況が悪化しようとも、人間は生き抜こうとする意志を持ち続けるのだという確固たる信念が貫かれている。


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16.『ソドムの市』(1975)

『ソドムの市』(1975)写真:Everett Collection

イタリアのファシスト共和国を舞台とした本作では、4人の支配階級が若者たちを誘拐し、数ヶ月に渡る肉体的・精神的拷問を加える。物語はダンテの『神曲』に触発された4パートに分かれており、ニーチェ、エズラ・パウンド、プルーストについての高尚な議論も含まれているが、その知的側面は、根底にある暴力—レイプ、絞首など—のパゾリーニによる凄惨な描写によって骨抜きにされている。パゾリーニの最後にして最も過激な作品は、彼が不審な状況下で殺害された(最近発見された証拠は右翼テロリストの関与を示唆している)数週間後に公開され、ファシズム思想の必然的な帰結を示している。


17.『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)

複数のアカデミー賞を受賞したミュージカルの名作は、ファシズムの実際の歴史とはほとんど関係がない。確かに、トラップ一家は実在し、第二次世界大戦前にナチスから逃れてアメリカへ向かったのは事実だが、一般のオーストリア人たちをヒトラーに対する前衛として描く本作の描写は、「併合」を歓迎した国民としては信憑性に欠けるものだ。しかし、この映画の心が正しい場所にあることは疑う余地がない。「私には政治的信念などないのです。私に何ができましょう?」とマックス(リチャード・ヘイデン)は、権威主義に対する政治的無関心を主張する。そこでトラップ大佐(クリストファー・プラマー)は答える。「いや、できるはずだ。むしろ、しなければならないのだ」と。思わず歌い出したくなるような台詞である。


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18.『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997)

『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997)写真:Courtesy Everett Collection

ポール・バーホーベン監督の本作は、ファシズム思想を風刺する手法が効果的すぎたため、1997年の公開当初、多くの評論家たちが権威主義を熱烈に支持する映画だと誤解してしまった。振り返ってみれば、こうした誤読そのものが、どれほど漫画的に表現されようとも、ファシズム的衝動が本能的な魅力を持つという監督の意図した指摘を浮き彫りにしている。初期の評論家たちが非難した要素の全て―極端に魅力的で極端に愚かそうに見える俳優たちの意図的なキャスティングから、軍事的暴力の陶酔的な描写の喜々とした表現、ナチスの図像や宣伝から直接借用された衣装、セット、断片的な台詞に至るまで―が、まさにこの映画の傑出した面白さと独創性を形作っているのだ。


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19.『ブリキの太鼓』(1979)

『ブリキの太鼓』(1979)写真:New World Pictures/Courtesy Everett Collection

フォルカー・シュレンドルフ監督のアカデミー賞&パルムドール受賞作。主人公オスカルは、反ファシズムのピーターパンである。彼が成長を拒むのは、成長=ナチスになることを意味するからだ。3歳で成長が止まり、ガラスを粉々に砕く声を持つ少年を描いたギュンター・グラスの魔術的リアリズム小説の映画化作品『ブリキの太鼓』は、子供らしい視点を用いてナチズムの威厳と尊大さを嘲笑している。小さなオスカルには、可愛くて無邪気なところは何もない。しかし、時としてファシズムの偽善に立ち向かう最良の方法は、軽蔑の叫びを上げることなのだ。


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20.『関心領域』(2023)

『関心領域』(2023)写真:Courtesy of A24

ホロコーストの恐怖を描いた衝撃的な映画は数多く存在するが、ジョナサン・グレイザー監督は、ナチスによる殺戮そのものではなく、それを可能にした平凡な道徳的無関心に焦点を当てている。アウシュビッツ収容所所長ルドルフ・ヘスと、忠実な妻ヘートヴィヒの日常は淡々と描かれ、工場化された大量殺人のすぐ隣で、普通の生活が営まれている。焼却炉は画面には映らないが、壁の向こうからその音が聞こえてくるのだ。グレイザー監督は本作でのアカデミー賞受賞スピーチで、「この映画は、非人間化が最悪の場合どこに行き着くかを示している。それは我々の過去も現在も形作ってきたのだ」と述べている。


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※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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