アカデミー賞(2025)最終予想:受賞しそうな人・受賞すべき人は…?

2025年の米アカデミー賞、受賞の行方は...?! 写真:courtesy of neon. Here: Courtesy of Sony Pictures Classics; Courtesy of Janus Films; Courtesy of A24; Courtesy of Netflix; Courtesy of MUBI; Courtesy of Universal Studios (2); Courtesy of Telluride; Courtesy of Searchlight Pictures
2025年の米アカデミー賞、受賞の行方は...?! 写真:Courtesy of Neon. Here: Courtesy of Sony Pictures Classics; Courtesy of Janus Films; Courtesy of A24; Courtesy of Netflix; Courtesy of MUBI; Courtesy of Universal Studios (2); Courtesy of Telluride; Courtesy of Searchlight Pictures
スポンサーリンク

賞を受ける可能性が高い者が、つねに最もそれに値する者とは限らないということを誰もが知っている。現地時間3月2日(日)の米アカデミー賞授賞式を前に、米『ハリウッド・リポーター』のアワード専門家、スコット・ファインバーグ氏と映画評論家デヴィッド・ルーニー氏が、それぞれの観点から受賞者を予想した。

■作品賞

『ANORA アノーラ』(左)、『ブルータリスト』(右)写真:Courtesy of NEON; Courtesy of Venice Film Festival
『ANORA アノーラ』(左)、『ブルータリスト』(右)写真:Courtesy of NEON; Courtesy of Venice Film Festival

受賞しそうな作品:ANORA アノーラ

映画マニア好みのアート映画、そして優先順位付き投票制をとる作品賞の投票方式によって有利に働く大衆ウケする映画という2つの点を考慮すると、そのどちらも満たしているは『教皇選挙』と『ANORA』だ。近年は、『パラサイト 半地下の家族』や「エブエブ」などエッジの効いた作品も選ばれやすいことから、私は『ANORA』を推す。(ファインバーグ)

受賞すべき作品:ブルータリスト

『ブルータリスト』の驚くべき野心は、現代において特に低予算で働く映画製作者からはめったに見られないものだ。アメリカンドリームの約束と裏切りが多くの人々の心に浮かぶ時代において、本作は今の私たちに多くのことを語りかける。(ルーニー)

■監督賞

ショーン・ベイカー監督(左)、ブラディ・コーベット監督(右)写真:Kevin Winter/Getty Images; Getty Images
ショーン・ベイカー監督(左)、ブラディ・コーベット監督(右)写真:Kevin Winter/Getty Images; Getty Images

受賞しそうな人:ショーン・ベイカー(『ANORA アノーラ』)

ゴールデングローブ賞英国アカデミー賞(BAFTA)を受賞したブラディ・コーベット(『ブルータリスト』)よりも、監督協会賞に輝いたベイカーはより知名度が高く、広く好まれている。さらに、最近の受賞者であるギレルモ・デル・トロクリストファー・ノーランのように、映画に対する熱心な擁護者でもある。(ファインバーグ)

受賞すべき人:ブラディ・コーベット(『ブルータリスト』)

当時16歳のコーベットは、ヴェネツィア映画祭で私に「クレール・ドニの新作を見るために数日間滞在するつもり」と言った。10代のころから彼はすでに、筋金入りの映画愛好家だった。その後の数年間で一緒に仕事をしたユニークな映画監督たちから彼が観察した独特の物語作りと技巧のすべてが、この大作で結実している。(ルーニー)

■主演男優賞

エイドリアン・ブロディ、『ブルータリスト』写真:Courtesy of A24
エイドリアン・ブロディ、『ブルータリスト』写真:Courtesy of A24

・受賞しそうな人:エイドリアン・ブロディ(『ブルータリスト』)

戦場のピアニスト』で主演男優賞を受賞してから22年後、ブロディは同賞を複数回受賞した11人目の人物になる準備ができている。ティモシー・シャラメ(『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』)が受賞した全米映画俳優組合賞(SAG賞)以外は、重要な前哨戦をすべて獲得。ワイルドカードは『教皇選挙』のレイフ・ファインズであり、同俳優は大ベテランでありながら、一度もオスカーを受賞したことがない。(ファインバーグ)

・受賞すべき人:エイドリアン・ブロディ(『ブルータリスト』)

ファインズ、シャラメら強力な顔ぶれが揃う部門だ。しかしブロディの心を引き裂くような演技は、傲慢さと屈辱を対比させながら人生そのものを凝縮し、癒えることのないトラウマの生々しい痛み、創造的達成の生命力、そして移民としての過酷な現実があふれ出している。(ルーニー)

■主演女優賞

デミ・ムーア、『サブスタンス』(左)、フェルナンダ・トーレス、『アイム・スティル・ヒア』(右)写真:MUBI/Courtesy Everett Collection; Courtesy of Venice Film Festival
デミ・ムーア、『サブスタンス』(左)、フェルナンダ・トーレス、『アイム・スティル・ヒア』(右)写真:MUBI/Courtesy Everett Collection; Courtesy of Venice Film Festival

受賞しそうな人:デミ・ムーア(『サブスタンス』)

有権者は、しばしばBAFTAとスピリット賞を受賞した『ANORA』のマイキー・マディソンのような新人を報いる。しかしマディソンは、迫真の演技を披露し、再び同様の役を得られない可能性のあるベテランと対決している―――ゴールデングローブ賞、放送映画批評家協会賞、SAG賞を受賞したムーアだ。(ファインバーグ)

受賞すべき人:フェルナンダ・トーレス(『アイム・スティル・ヒア』)

40年に及ぶキャリアを誇るムーアの素晴らしい演技は、『サブスタンス』を支えている。しかしオスカーで非英語作品の俳優が称えられることは稀であり、鉄のような意志を持ったトーレスの演技は、挑戦的な抵抗で沸き上がっている。(ルーニー)

■助演男優賞

キーラン・カルキン、『リアル・ペイン~心の旅~』写真:Searchlight Pictures / Courtesy Everett Collection
キーラン・カルキン、『リアル・ペイン~心の旅~』写真:Searchlight Pictures / Courtesy Everett Collection

受賞しそうな人:キーラン・カルキン(『リアル・ペイン~心の旅~』)

カルキンは、オスカー前の注目すべき栄誉をすべて獲得している。弱点を挙げるとしたら、(a) ドラマ『メディア王~華麗なる一族~』とかなり似たキャラクターを演じていること、そして (b) 『リアル・ペイン』は、作品賞にノミネートされていないことだ。(ファインバーグ)

受賞すべき人:キーラン・カルキン(『リアル・ペイン~心の旅~』)

カルキンは本作で、変幻自在のキャラクター、ベンジーを完全に操っている。ベンジーの軽妙さと意外なまでの奥深さは、ツアー旅行のグループを結びつける接着剤のような役割を果たしている。そして、その見当違いな態度の裏には、歴史の恐るべき重みや秘めた悲しみを深く感じ取っていることが滲み出ている。(ルーニー)

■助演女優賞

ゾーイ・サルダナ、『エミリア・ペレス』写真: Shanna Besson/PAGE 114 - WHY NOT PRODUCTIONS - PATHÉ FILMS - FRANCE 2 CINÉMA © 2024
ゾーイ・サルダナ、『エミリア・ペレス』写真: Shanna Besson/PAGE 114 – WHY NOT PRODUCTIONS – PATHÉ FILMS – FRANCE 2 CINÉMA © 2024

受賞しそうな人:ゾーイ・サルダナ(『エミリア・ペレス』)

『エミリア・ペレス』のサルダナは、スペイン語で歌い、踊り、そして演じるという圧巻の演技が評価され、作品を取り巻くカルラ・ソフィア・ガスコンへの逆風(ガスコンは今年1月、過去の人種差別を含む攻撃的なSNSへの投稿が見つかり、人々の反発を招いた)をうまく乗り越えたようだ。実際、サルダナは前哨戦を総なめにした。(ファインバーグ)

受賞すべき人:ゾーイ・サルダナ(『エミリア・ペレス』)

『エミリア・ペレス』は、正当な理由でも不当な理由でも批判を受けてきた。しかし、サルダナが堂々と歌い踊りながら、職業倫理や道徳的葛藤、そして最終的にはシスターフッドの絆に忠誠を尽くす複雑なキャラクターを演じる姿は、疑いようもなく心が躍る。彼女のキャラクターは、本作の支柱となっている。(ルーニー)

その他の部門の予想は、以下の通り

■脚色賞

ピーター・ストローハン(『教皇選挙』)

■脚本賞

ショーン・ベイカー(『ANORA アノーラ』)

■長編ドキュメンタリー映画賞

『Porcelain War(原題)』

■国際長編映画賞

『アイム・スティル・ヒア』 (ブラジル)

■長編アニメ賞

『野生の島のロズ』

■撮影賞

『ブルータリスト』

■衣装デザイン賞

『ウィキッド ふたりの魔女』

■編集賞

『教皇選挙』

■メイクアップ&ヘアスタイリング賞

『サブスタンス』

■作曲賞

『ブルータリスト』

■歌曲賞

“Like a Bird” 『シンシン/SING SING』

■美術賞

『ウィキッド ふたりの魔女』

■音響賞

『デューン 砂の惑星PART2』

■視覚効果賞

『デューン 砂の惑星PART2』

■短編アニメ賞

『Yuck!』

■短編ドキュメンタリー賞

『Death by Numbers』

■短編映画賞

『The Last Ranger』

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

【関連記事】

スポンサーリンク

類似投稿