エイヴァ・デュヴァーネイ監督、映画制作におけるAI活用を説明──新作『14th』の歴史的写真をめぐる批判に回答
ドキュメンタリー映画『13th -憲法修正第13条-』で知られるエイヴァ・デュヴァーネイ監督が、新作ドキュメンタリー『14th(原題)』におけるAI(人工知能)の使用について見解を示した。作品では、米国憲法修正第14条と出生地主義をめぐる議論を掘り下げるとともに、AIを用いて歴史的なアーカイブ写真に動きを加えている。こうした演出にはオンライン上で批判も寄せられており、監督はその意図を説明した。
エイヴァ・デュヴァーネイ監督、新作『14th』のAI使用を擁護
『14th』が上映されたAFI Festで、デュヴァーネイ監督は米『ハリウッド・リポーター』の取材に応じ、映画制作におけるテクノロジーの活用について語った。
「視差効果やアニメーションを手がけるアーティストが使うツールにも、音響制作ソフトのPro Toolsにも、編集ソフトのAvidにも、カラーグレーディングソフトのDaVinci Resolveにも、そうした技術は組み込まれています」と監督は説明する。
さらに、映画制作のさまざまな工程にテクノロジーが浸透している現状を踏まえ、「私たちは、制作のあらゆる段階でテクノロジーがどのように使われているのか、冷静に向き合わなければならない段階に来ていると思います」と語った。
監督は、今回のAIの使用について、架空の人物を生成したり、実在の人物を模したアバターを作成したり、本人が実際には発していない言葉を本人の声で再現したりするために使ったわけではないと強調する。
「私たちが行ったのは、パブリックドメインの写真にアニメーションを加えることです。これまでの反応を見る限り、そうすることで当時の歴史をより身近に感じてもらえているようです。それが私たちの目指したことでした。実際に作品を見て、どう感じるかは自分自身で判断してほしいと思います」
AIの使用をめぐる批判が続くなか、監督は、まず作品を鑑賞し、そのうえでAIの活用について判断してほしいと呼びかけている。
『14th』が描く米国憲法修正第14条と出生地主義
『14th』は、デュヴァーネイ監督が手がけた2016年のドキュメンタリー映画『13th -憲法修正第13条-』から10年を経て発表される新作だ。『13th -憲法修正第13条-』は、奴隷制を禁じた米国憲法修正第13条と、米国の大量収監や人種的不平等の関係を掘り下げた作品。一方、監督は『14th』を単純な続編とは捉えていないという。
再び米国憲法に目を向けるきっかけとなったのは、ドナルド・トランプ大統領が大統領候補だった時期に、出生地主義の廃止を目指す考えを示したことだった。
出生地主義とは、出生した国や地域を基準に国籍を認める考え方。米国では、憲法修正第14条の市民権条項が、米国内で生まれ、米国の管轄権に服する人に市民権を認める根拠となっている。
「当時、私は修正第14条について詳しく知りませんでしたが、出生地主義がそこに定められていることは知っていました」とデュヴァーネイ監督は振り返る。
トランプ大統領は選挙期間中、就任後の最初の週に出生地主義を廃止すると表明した。しかし、実際には就任初日に、出生地主義に基づく市民権の付与を制限する大統領令に署名した。これを受け、監督たちは映画化の可能性を検討し始めたという。
さらに、現政権が修正第14条に定められた複数の権利や原則に異議を唱えていることを知り、調査を進めるなかで、作品のテーマはさらに広がっていった。
『14th』は2026年11月27日から一部の米劇場で限定公開され、Netflixにて、12月4日より世界独占配信開始。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
【関連記事】
- 『You Can See Everything』米レビュー|エリザベス・ホームズは何を語る?「真実」の境界を揺さぶる異色作
- 今こそ観たい!傑作ドキュメンタリー映画25選――『ストップ・メイキング・センス』から『夜と霧』までおすすめを厳選
- 『フレンズ』俳優マシュー・ペリーの素顔に迫るドキュメンタリーが配信決定――キャリア初期からブレイク、薬物死まで
- 実際に起こった事件/犯罪ドキュメンタリー・シリーズおすすめ36選
- ケネディ家を描いた映画・ドラマ・ドキュメンタリー10選|『JFK』から『ジョン&キャロリン』まで実話ベースの名作を厳選
