ジョディ・フォスター、新作で初の全編フランス語に挑戦!オスカー2度受賞の名優が語る役作り秘話とは

▼ハリウッド屈指の名優が新境地を開拓
2度のアカデミー賞に輝いた名優ジョディ・フォスターが、仏監督レベッカ・ズロトヴスキの最新作『A Private Life(原題)』で新境地を開拓した。61歳を迎えたフォスターが初めて全編フランス語で主演を務めた本作は、今年のカンヌ国際映画祭で初上映され、現在開催中のトロント国際映画祭でも注目を集めている。
▼新作『A Private Life』あらすじ
ジョディ・フォスターが新作『A Private Life』で演じるのは、パリに住む米国人精神分析医のリリアン。患者の謎の死をきっかけに、彼女は崩壊した家族関係や元夫(演:ダニエル・オートゥイユ)との複雑な絆と向き合うことになる。恋愛コメディからヒッチコック風ミステリー、そしてアマチュア探偵物語へと展開し、その根底にはフロイトの心理学が流れている。
「適切なプロジェクトを見つけるのに、時間がかかりました」とフォスターは語る。「本当にフランス映画を撮りたかったんです。そして、この脚本は私にぴったりでした。内面的な感情の動きを丁寧に描くというフランス映画の伝統を大切にしながら、非常に多くの映画的な要素が含まれています」
▼言語が変えた演技スタイル
フォスターによると、フランス語での演技は自信が持てず、まるで別人格になったような感覚だったという。その結果、これまでの「タフで冷静」なイメージとは異なる、不安や繊細さ、脆さを表現すること可能になった。
「フランス語で演じると、演技スタイルがずっと柔らかくなります。そのおかげで、キャラクターに不安や、周りに耳を傾けてもらえないといった感情を表現することができました」
▼過去に出演した名作との違いとは
ジョディ・フォスターはこれまでのキャリアで、困難な状況に立ち向かう強い女性を演じてきた。例えば、『告発の行方』では法廷でレイプ事件と闘う女性、『羊たちの沈黙』では連続殺人犯を追うFBI訓練生、『パニック・ルーム』では家に侵入してきた犯人から子供を守る母親を演じている。
しかし新作『A Private Life』では、動揺し傷つきやすいリリアンを演じることで、新たな演技の幅を見せている。作中では息子が意図的にリリアンと英語で話すことを拒み、言語を武器として使う場面もある。「私はいつも動揺しないキャラクターを演じてきました。(新作には)それとは違う何かがありました」と、フォスターは振り返る。
▼子役時代から培った強さ
フォスターのキャリアは、困難の連続だった。1976年に『タクシードライバー』でカンヌを初めて訪れた際、彼女は深い悲しみを抱えていた。フランスに出発する直前、愛犬を不慮の事故で喪っていたのだ。「『いちばん愛しているものを犠牲にして、望むキャリアを手に入れる』という、悪魔との取引をしたのだと自分に言い聞かせました」と、フォスターは回想する。
さらに1981年、イェール大学に入学したばかりのフォスターは、衝撃的な事件に巻き込まれた。映画『タクシードライバー』を観て彼女に執着した男が、当時のレーガン大統領を暗殺しようと企てたのだ。この事件をきっかけに、彼女は世界中から注目されることになった。フォスターの寮の部屋には殺害予告が届き、パパラッチに私生活を追い回され、24時間体制の警備がつくなど、過酷な日々を送ることになった。
「私にとって、生きるか死ぬかの状況でした。生き残るためには、感情を切り離すしかなかったのです。しかし、演技の本当の贈り物は、個人としてはできない方法で、感情的な人生を追求させてくれることです」
▼61歳のルネッサンス…近年の活躍
フォスターは近年、キャリアの第2の黄金期を迎えている。2023年の『ナイアド ~その決意は海を越える~』では約30年ぶりのアカデミー賞ノミネートを果たし、ドラマ『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』では初のエミー賞を受賞した。
「今はもっと自由を感じています」というフォスターの言葉通り、最近の作品にはより多くのユーモアと人間味が込められている。「長い間、真剣に受け止められること、映画全体を自分の肩に背負うことに執着していました。最近の作品には、もっとユーモアがあります。以前は何を守っていたのか、自分でもわかりません」
「私はもう60年近くもこの仕事を続けているのに、まだ新しい発見があることにいつも驚き、感動しています。またフランスでぜひ仕事をしたいですね。自分自身から解放されるような感覚なんです。とても気持ちが良いです」
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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