ポール・シュレイダー監督『MISHIMA』、封印から40年を経て日本初上映決定|第38回東京国際映画祭

第38回東京国際映画祭第38回東京国際映画祭(10月27日~11月7日)にて、ポール・シュレイダー監督の伝記映画『Mishima: A Life in Four Chapters』(1985、邦題『MISHIMA』)が特別上映されることが発表された。本作は公開から約40年、日本国内で事実上“封印”されてきたが、ついに日本の観客に向けて初めて公式に上映される。
禁止され続けた40年――なぜ「幻の映画」になったのか
『タクシードライバー』の脚本で一躍ハリウッドの名を馳せたシュレイダーが監督・共同脚本を手がけた本作は、フランシス・フォード・コッポラとジョージ・ルーカスの「Zoetrope Pictures」が製作を支援。全編日本で撮影され、緒形拳が三島由紀夫を演じた。
映画は、三島の生涯と彼の小説世界を交錯させながら描く斬新な文学映画で、フィリップ・グラスの音楽が作品全体を貫く。1985年のカンヌ国際映画祭で芸術貢献賞を受賞し、批評家ロジャー・エバートは「これまで見た中で最も型破りで、最も優れた伝記映画のひとつ」と絶賛。マーティン・スコセッシやギレルモ・デル・トロらも「シュレイダーの最高傑作」と公言している。
しかし日本での公開は、右翼団体からの脅迫や遺族による上映反対などを背景に頓挫。東宝東和が共同出資していたにもかかわらず、国内配給は断念され、同年の東京国際映画祭の上映からも外された。以来、学術的な場を除いて日本の一般観客が目にすることはなかった。
三島由紀夫生誕100年で解禁
上映は10月30日に予定されており、今年が1925年生まれの三島の生誕100周年にあたることから実現に至ったという。映画祭関係者によれば、ポール・シュレイダー監督本人が来日しトークに参加する可能性もあるという。
79歳となるシュレイダー監督は、2022年のヴェネツィア国際映画祭でキャリア50年を振り返りながら「監督作で一番好きなのは『MISHIMA』だ。今でもあの映画を作ったことが信じられない」と語っている。
40年の封印を経てついに日本のスクリーンに届く「幻の映画」。その瞬間は、日本映画史に新たな一頁を刻むことになりそうだ。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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