パトリック・デンプシー、新作『Memory of a Killer』でアルツハイマーの殺し屋役に挑戦
パトリック・デンプシーが、米FOXの心理スリラー『Memory of a Killer(原題)』で新たな一面を見せている。若年性アルツハイマーに苦しむ殺し屋という難役に挑んだ背景や、キャリア観、そして故エリック・デインへの思いを明かした。
『Memory of a Killer』で挑む異色の殺し屋像
『グレイズ・アナトミー』で脳神経外科医デレク・“マクドリーミー”・シェパードを演じ、長年ロマンティックなイメージで知られてきたパトリック・デンプシー。本作ではそのイメージを覆し、冷酷な契約殺人犯アンジェロ役に挑んでいる。
アンジェロは裏社会で生きる一方、家庭では父親としての顔を持つが、若年性アルツハイマーの症状に苦しみ始める。『グレイズ・アナトミー』で脳神経外科医として扱っていた病と向き合うという皮肉な設定も重なる。
デンプシーは「殺し屋という設定に加え、アルツハイマーや認知症というテーマが魅力的だった」と語り、「こうした役はあまりオファーされない」と振り返る。さらに、本作の出演は発表直前というタイミングで提示され、わずか24時間以内に決断を迫られたという。
原作と“好感度”を逆手に取る構造
本作は、ベルギー映画『ザ・ヒットマン(原題:De zaak Alzheimer)』(2003年)および原作小説に着想を得た作品。長年ロマンティックな役柄で築いてきたデンプシーのイメージをあえて活用し、冷酷な殺し屋を“共感できるアンチヒーロー”として描く構造が特徴だ。
アルツハイマーがもたらす葛藤とリアリティ
デンプシーは本作について、「患者本人だけでなく、家族や介護者への影響を描く機会になると感じた」と語る。実際に現場でも、身近にこの病を経験した人々が多く、作品にはリアルな視点が反映されている。
また、本作は家族ドラマ、犯罪スリラー、アクションという複数の要素を併せ持つ。「娯楽性と情報性をどう両立させるか」が制作上の大きな課題だったという。
ネットワークドラマとしては異例ともいえる視覚的・トーン面での実験も許されたことについて、「挑戦的だが楽しい」と手応えを語っている。
シリーズの今後と“病との共存”
シーズン1は約3カ月間の出来事を描く構成となっているが、進行の早い病を扱う以上、シリーズの持続性も課題となる。
デンプシーは「近年は治療や研究において進展もある」とし、今後はその側面も掘り下げたい意向を示す。病を完全に治すことはできなくとも、進行を遅らせる方法や、患者と家族がどう向き合うかを描くことがテーマになるという。
特に介護者の負担については「十分に語られていない」と指摘し、その重要性を強調した。
“マクドリーミー”との向き合い方
デンプシーはキャリア40年を振り返りつつ、「世代によって見られ方は異なる」と語る。『グレイズ・アナトミー』の影響は今も大きいが、それを否定することなく受け入れている。
現在はアクションや肉体的な演技にも意欲を見せており、「年齢を重ねた今こそ健康管理やトレーニングの重要性を実感している」と語る。レースドライバーとしての経験もあり、スタントや運転シーンも自らこなしているという。
また、同作で得た知名度を活かし、がん支援施設「デンプシー・センター」の活動にも取り組んでいる。
家族観と現代の若者への視線
プライベートでは、自身の子どもたちが出演作をあまり見ていないことにも触れ、「それでいい」と笑う一方、脚本を見せて意見を求めることもあるという。
また、ストリーミング世代の若者について、コロナ禍による孤立が社会性に影響を与えたと指摘。「画面から離れて外の世界を経験することが重要」と語り、家族としての価値観を大切にしている姿勢を示した。
故エリック・デインへの思い
インタビューでは、『グレイズ・アナトミー』で共演したエリック・デインの死にも言及。ALSとの闘病の末に亡くなった彼について、「人生のはかなさと、何を残すかを考えさせられる」と語った。
実は本作で兄マイケル役として起用を検討していたが、病状の進行により実現しなかったという。
デンプシーは「彼は自身の知名度を使い、この病への関心を高めた」と振り返り、その功績を称えた。
トロントでの撮影と現場の結束
本作はカナダ・トロントでも撮影されており、冬の過酷な環境下での制作となった。
デンプシーは「寒さや強風、雪の中でも撮影を続けたスタッフは本当にタフだった」と称賛し、現場での連帯感やプロ意識の高さに感銘を受けたと語る。
「またこの街で撮影できれば」と、続編への意欲ものぞかせている。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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