Prime Video、日本への投資をさらに拡大!幹部3人が語る「日本発コンテンツを世界へ」
Prime Videoは、日本を世界でも有数の重要市場と位置づける一方、今後は日本をコンテンツの「消費国」だけでなく、世界へ作品を送り出す「発信地」としてさらに成長させようとしている。
今回、ハリウッド・リポーター・ジャパンは、プライム・ビデオ ヴァイスプレジデント インターナショナル統括のケリー・デイ、プライム・ビデオ ヴァイスプレジデント アジア・オセアニア統括のゴラフ・ガンジー、プライム・ビデオ ジャパン カントリーマネージャーの大石圭介にインタビューを実施した。
アジア市場の成長、日本市場の位置づけ、日本発コンテンツの世界展開、オリジナルIP、YA(ヤングアダルト)作品、スポーツなど、Prime Videoが描く今後の戦略について話を聞いた。
日本はPrime Video「最大規模の市場の一つ」
ーー日本がPrime Videoにとって世界で最も重要な市場の一つである理由は何でしょうか。また、今後5年間でその役割はどう変化すると考えていますか?
ケリー・デイ(以下、ケリー):日本は私たちにとって最も重要な市場の一つです。Prime Videoは日本で長く事業を展開しており、今年で11年になります。そして、日本では非常に強いポジションを築いています。
今後について考えると、日本にはさらに大きな可能性があると思っています。日本はすでに非常に大きなコンテンツ消費市場ですが、それだけではなく、コンテンツを製作し、世界へ供給する国として発展していく大きなチャンスがあります。
そのため、私たちは日本のローカルコンテンツ、特にオリジナル作品への投資を拡大していきます。オリジナル作品のラインナップを大きく増やし、日本国内での視聴者拡大につなげるだけでなく、日本発の作品がグローバルでもより大きなインパクトを持つようにしていきたいと考えています。

ーーアジアは動画配信市場の大きな成長ドライバーになっています。アジア・オセアニアにはどのような可能性がありますか。また、その戦略の中で日本はどのような位置づけでしょうか?
ゴラフ・ガンジー(以下、ゴラフ):アジア・オセアニアを一つの「地域」と呼んではいますが、日本、インド、オーストラリアなど、それぞれの市場はとても異なります。視聴者の好みも、何を見ているのかも大きく違います。
アジアの興味深いところは、世界的に見ても非常に多くの視聴者がいるだけでなく、巨大なコンテンツの発信地でもあることです。この地域には、自国の視聴者だけでなく世界中の視聴者を楽しませる素晴らしいコンテンツを生み出している国がたくさんあります。日本はもちろん、インドや韓国などもそうです。
日本の場合、例えばインドのような多言語市場とは異なりますが、視聴されているコンテンツは非常に多様です。アニメから台本のない番組、ドラマ、映画まで、視聴者の好みには日本ならではの特徴があります。
さらに、ローカルIPが非常に強いことも特徴です。漫画からアニメへの展開はもちろん、実写化、新しいIPもあります。日本は大きなコンテンツ消費市場であると同時に、ケリーが話したように、コンテンツを世界へ送り出す市場としても大きな可能性があります。
また、日本では出版社や漫画IPの権利者、クリエイターなど、多くのパートナーとも協力しています。Prime Videoとして作品を制作するだけでなく、コンテンツをライセンスし、さらに70以上のパートナーによるサブスクリプションも提供しています。

「ローカルに根ざした物語ほど世界に届く」
ーー日本発のアニメはすでに世界中で支持されています。今後、日本のコンテンツがさらに世界へ広がっていく可能性をどう見ていますか?
ゴラフ:アニメがすでに世界中に広がっていることは実感していますし、その成長にはとても期待しています。私たちは30以上の言語へのローカライズにも投資しています。Prime Videoのグローバルなリーチを活かし、アジアだけでなく世界中の視聴者に作品が届くようにしています。
実際、日本発の作品が非英語コンテンツのトップ10に入ることもありますし、その成長はすでに見えています。そして、今後はアニメだけではありません。実写作品についても、さらに国境を越えていく可能性があると考えています。
ーー視聴者が言語や国境を越えてコンテンツを見るようになるなかで、「ローカル作品」と「グローバル作品」という区別は、以前ほど重要ではなくなっているのでしょうか?
ゴラフ:そう思います。ただ、作品をグローバルに届けることを考えるとき、私たちはまずローカルの視聴者から考えます。むしろ、物語はローカルに深く根ざしているほど、世界に届きやすいと考えています。まず、その地域の視聴者とつながることが重要です。
オーセンティックで、その土地に根ざした物語こそ世界に広がりやすい。なぜなら、そこで描かれているテーマの多くは普遍的だからです。特に若い世代では、国を越えて共感できるテーマがあります。
そして、視聴者がキャラクターや物語に共感すれば、SNSでのレコメンドなどを通じてさらに広がっていきます。今、コンテンツにおける国境はどんどんなくなっています。一方で、普遍的なテーマを持った物語は、世界中により届きやすくなっています。
ーーつまり、日本らしさが強い作品でも、そのまま世界で受け入れられる可能性があるということでしょうか。
大石圭介(以下、大石):そうですね。日本の歴史や文化に非常に深く根ざした作品であっても、私たちはクリエイターに「もっとユニバーサルな作品にしてください」と求めることはありません。
クリエイターの表現方法を尊重していますし、日本の文化や歴史に深く根ざしていることも大切にしています。最終的に、世界の視聴者が求めているのは、日本文化のオーセンティシティや、日本に暮らす人々のリアルな姿なのだと思います。それが世界の視聴者にも受け入れられている理由の一つです。

オリジナルコンテンツへの投資をさらに拡大
ーー日本のPrime Videoにとって、すでに確立された漫画やアニメなどのIPだけに頼らず、新しいオリジナルIPを生み出すことはどのくらい重要でしょうか?
大石:非常に重要です。まず理由の一つは、Prime会員のお客様が非常に幅広いことです。より多くのお客様に満足していただくためには、さまざまな物語を届けなければなりません。実写ドラマ、台本のない番組、映画、スポーツ、アニメなど、コンテンツのラインナップそのものに多様性が必要です。
もう一つは、お客様に「この作品はここでしか体験できない」と感じてもらえるコンテンツを提供したいということです。そのため、オリジナル作品や独占作品は非常に重要です。
今後、オリジナル作品への投資はさらに増やしていきます。Prime Videoだからこそ楽しめる作品をもっと届けていきたいと思っています。
ーー漫画や小説など既存IPを原作とした作品と、ゼロから生み出す完全オリジナル作品では、どちらをより重視していますか?
大石:両方を同じように重視しています。漫画や書籍などを原作とする作品には、すでに大きなファンベースがあります。そのファンベースを活かしながら、Prime Videoならではの作品へと発展させていくことができます。
一方で、私たちはクリエイターからもっと大胆なアイデアも求めています。クリエイターの創造性を最大限に引き出したい。そのためにもオリジナルストーリーは非常に重要です。既存IPの映像化と完全オリジナル作品、その両方を重視していきます。
ーーPrime Videoにとって、5年後に日本で「成功している」と言えるのはどのような状態でしょうか?
大石:私が実現したいのは、お客様が「何かエンターテインメントを楽しみたい」と思ったとき、最初に開くアプリがPrime Videoになることです。それが私の描いているビジョンです。
お客様の好みは非常に幅広いので、それに応えられるよう、より多様なコンテンツのラインナップを届けていきたい。そして、オリジナルコンテンツについても、さらに多様な作品を提供していきたいと思っています。
若者がトレンドとカルチャーを動かす――Prime VideoのYA戦略
ーー若年層向け、いわゆるYA(ヤングアダルト)作品は世界各国で支持されています。日本発のYA作品がグローバルで成功するためには、何が必要でしょうか?
ケリー:まず、大石が話した「何か見たいと思ったときに最初に選ばれる場所になる」というビジョンに少し付け加えたいと思います。もちろん会員数やサブスクリプションを成長させることも重要ですが、映画やテレビには、文化そのものにインパクトを与える力があります。
人々が見たいと思う映画やテレビ番組を作るということは、カルチャーにも影響を与えるということです。作品が人々の間で話題になり、時代の空気の一部となり、SNSでも語られていく。それは長期的に、Prime Videoや私たちが制作する作品がどう認識されるかにも影響します。
そのなかで、非常に大きな可能性があるのがYAの視聴者です。若い人たちは非常にソーシャルにつながっていて、InstagramやTikTokのようなプラットフォームを中心に行動しています。
そして、カルチャーをめぐる会話に大きな影響力を持っています。若者はトレンドを作ります。ブランドを動かします。そして、カルチャーのなかで何が人気になるのかを動かしているんです。
ーーPrime VideoのYA戦略も、以前とは変わってきているのでしょうか?
ケリー:はい。ここ数年で進化しています。以前はアメリカで開発されたYA作品が中心でしたが、今ではローカル市場から生まれた作品がますます大きな存在になっています。ドイツやスペインなど、それぞれの国で生まれた作品が世界中で見られるようになっていますし、日本にも同じ可能性があります。
YA作品には、とても普遍的なテーマがあります。成長すること、友情、家族との関係、家族のドラマ、恋をすること。こうしたことは、ほぼすべての国の若い人たちが経験します。
さらに、若い視聴者はSNSで多くの時間を過ごしているため、作品を発見しやすい。そして字幕や吹き替えを使ってほかの文化の作品を見ることについても、過去の世代よりずっとオープンです。
だからこそ、本当に心に響く素晴らしいストーリーであれば、さまざまな国から生まれ、世界中のYA視聴者に届くことができるのです。
そして面白いことに、YA作品は若者だけに響くわけではありません。あらゆる年代の女性にも非常に強く支持されています。私たちの大きな作品のなかには、15歳から80歳まで、本当に幅広い年代の人が見ているものもあります。もしかすると、私たちはいつまでも完全には大人にならないのかもしれませんね(笑)。それだけ普遍的な魅力を持っているということだと思います。
ーーSNSで短いクリップを見たことをきっかけに、新しい作品を知る人も増えています。SNSの影響はやはり大きいですか?
ケリー:そうですね。まさに共有される体験になっています。
大石:特にアニメでは、日本発の作品を若い男性視聴者が非常に楽しんでいます。そのため、今後もより多くのアニメ作品を世界の視聴者、特にYAの男性視聴者へ届けていきたいと思っています。
MLB、NBA、ボクシング――スポーツは「新たな視聴者への入口」
ーー日本のPrime Videoはスポーツでも、単発イベントからMLBやNBAなどリーグスポーツへ領域を広げています。日本での長期的な成長において、スポーツはどのくらい重要でしょうか?
大石:間違いなく重要です。今年はMLBの配信数も大きく拡大しましたし、NBAも展開しています。また、ボクシングイベントも継続し、今月で16回目を数えます。重要なのは、こうしたスポーツコンテンツを定期的に提供することです。
MLBを見るために毎日Prime Videoを訪れるお客様もいます。そうしたお客様は、ほかのコンテンツを見る視聴者とは少し異なる層なのですが、Prime Videoを利用するようになることで、ほかの作品も見るようになります。
ですから、スポーツはスポーツを好むお客様にPrime Videoを知ってもらう、とても良い入口になります。そこから通常の番組や、ほかのコンテンツも楽しんでもらうことができます。
また、MLB、NBA、ボクシングの視聴者には重なる部分もあります。例えばボクシングのイベントを見た後も、野球やNBAを見るためにサービスを利用し続けることがある。複数のスポーツコンテンツをポートフォリオとして持つことは非常に重要で、現在とてもうまく機能していると思います。
Prime Videoが目指す「エンターテインメント・ハブ」
ーーPrime Videoは、自社コンテンツだけでなく、さまざまな外部サービスも提供しています。これはPrime Videoを単なる動画配信サービスではなく、エンターテインメントの中心的な場所にしていく戦略なのでしょうか?
ゴラフ:その通りです。私たちはPrime Videoを「エンターテインメント・ハブ」だと考えています。オリジナル作品や独占作品、ライセンスした作品だけでなく、パートナーのコンテンツも含めて、お客様にできるだけ幅広い選択肢を提供したいと思っています。
日本では追加サブスクリプションとして70以上のパートナーがあります。それぞれのジャンル、それぞれのお客様について、「どうすれば最高のサービスを提供できるのか」を考えています。
さらに、レンタルや購入、PPVもあります。自社で制作する作品、ライセンスする作品、パートナーから提供される作品を組み合わせながら、お客様が自分の好きな方法でコンテンツを楽しめる、総合的な選択肢を提供していきます。
ーーPrime Videoならではの強みは?
大石:一つの大きな差別化要因が、「ワンストップ・エンターテインメント・デスティネーション」であることです。お客様はPrime Videoだけでなく、さまざまなチャンネルやサブスクリプションサービスを一つの場所で楽しむことができます。
また、どのサービスの作品なのかに関係なく、お客様の好みに合わせてコンテンツを見つけたり、レコメンドを受けたりすることができます。
ゴラフ:お客様にとっては、一つのアプリの中ですべてを見ることができ、請求関係も一つにまとめられます。とても便利です。一方、パートナーにとっても、PrimeやPrime Videoが持つリーチを活用できるメリットがあります。
私たちが大切にしているのは、何よりもお客様に選択肢を提供することです。あるPrime Video作品を見るために来たお客様が、その中で別の作品を発見することもある。
常にお客様を起点に考え、好きなコンテンツに出会えるよう、より多くの選択肢を提供していきたいと思っています。
世界の作品を日本へ、日本の作品を世界へ
ーー最後に、視聴者をめぐる競争がますます激しくなる中、日本、そしてグローバルにおけるPrime Video最大の競争優位性は何だと考えていますか?
大石:一つは、先ほど話した「ワンストップ・エンターテインメント・デスティネーション」です。お客様が多様なコンテンツを楽しむことができます。もう一つは、Prime VideoがPrimeのサービスの一部であることです。お客様はPrime Videoだけでなく、ショッピングや音楽など、Primeが提供するさまざまなメリットを利用することができます。
そして、オリジナルコンテンツです。今後もオリジナル作品への投資を増やし、Prime Videoでしか楽しめない作品をもっと提供していきたいと思っています。
ワンストップ・エンターテインメント・デスティネーションであること、Prime会員サービスの一部であること、そしてここでしか楽しめないオリジナルコンテンツ。この組み合わせが私たちの強みです。
ゴラフ:そして、グローバルサービスであることも大きな強みです。私たちは世界各地でオリジナルコンテンツを制作し、それを世界の視聴者に届けることができます。
日本のお客様には、日本のチームが生み出す素晴らしい作品だけでなく、世界各地で制作された作品も届けることができる。そして同時に、日本で生まれた素晴らしい作品を世界へ届けることもできます。そこには、私たちにとって非常に大きな可能性があると考えています。
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