アカデミーCEO、オスカーの国際化を強調──東京国際映画祭が新制度の対象となる可能性も
米映画芸術科学アカデミー(AMPAS)のCEO、ビル・クレイマーが、第39回東京国際映画祭でアカデミー賞(オスカー)の国際化に向けた取り組みを語った。海外在住のアカデミー会員の増加や、2029年から始まるYouTubeでの授賞式の世界配信に加え、国際長編映画賞に新たに導入された選考ルートについても説明。東京国際映画祭が今後、対象となる映画祭に加わる可能性にも言及した。
アカデミー会員の25%が米国外に居住 進む国際化
米国で「アメリカ・ファースト」を掲げる政策が進められるなか、米映画芸術科学アカデミーは、国際的な会員基盤の拡大や世界各地の映画関係者との連携を通じて、活動の国際化を進めている。
クレイマーは現地時間10月28日、東京ミッドタウン日比谷ホールで開催されたパネルディスカッションに登壇。アカデミーが世界各地の映画製作者や映画ファンとのつながりを深め、オスカーへの国際的な参加を促していると説明した。
クレイマーによると、10年前には米国外に居住するアカデミー会員は全体の約5%だったが、現在は約25%に増加している。日本在住の会員も約70人に上り、今後さらに増えることに期待を寄せたという。
クレイマーは、さまざまなプログラムを通じてアカデミーのグローバル化が進んでおり、米国外に居住する会員の増加もその一環だと説明した。
また、オスカーの国際化はノミネーションにも表れていると指摘。国際的な作品や人材の存在感は国際長編映画賞に限らず、作品賞をはじめとする幅広い部門にも及んでいると述べた。
クレイマーは、ポン・ジュノ監督の韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が第92回アカデミー賞で作品賞を受賞したことにも言及。この快挙は、世界各国の映画がオスカーで評価される可能性を示す出来事として、アカデミーの国際化を考えるうえで重要な意味を持つ。
同氏は、多様性と包摂性を備えたアカデミーの実現に向け、今後も国際化を推進していく姿勢を強調した。
オスカー授賞式、2029年からYouTubeで世界無料配信へ
アカデミーの国際戦略を象徴する施策の1つが、YouTubeとの配信契約だ。2029年から2033年まで、YouTubeがオスカー授賞式の世界独占配信権を獲得した。ABCによる中継は2028年が最後となり、2029年からはYouTubeを通じて世界中の視聴者が授賞式を無料で視聴できるようになる。
クレイマーは、この契約も世界各地の映画ファンにオスカーを届けるという方針に基づくものだと説明。世界中の視聴者が30以上の言語で授賞式を無料視聴できるようになることに触れ、配信を通じてより多くの人々にオスカーを届ける狙いを示した。
今回の東京国際映画祭には、アカデミーから複数の幹部が参加した。パネルディスカッションには、クレイマーのほか、アカデミー会長のリネット・ハウエル・テイラー、会員・インパクト・業界担当最高責任者のメレディス・シーアが登壇。東京国際映画祭ディレクターの久松猛朗が進行役を務めた。
国際長編映画賞に新たな選考ルート 東京国際映画祭も対象入りか
パネルディスカッションでは、国際長編映画賞への出品資格につながる新制度も取り上げられた。
第99回アカデミー賞から導入された新制度では、対象となる国際映画祭で指定の賞を受賞した非英語作品について、従来の各国・地域による代表作品の選出ルートとは別に、国際長編映画賞への出品が可能になった。
従来は、各国・地域の認定委員会が代表作品を1本選出し、その作品を国際長編映画賞に出品する方式が基本だった。新制度は、この既存の仕組みを補完するもので、指定の賞を受賞した作品に別の出品ルートを設ける。
対象となるのは、カンヌ国際映画祭のパルム・ドール、ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞、ベルリン国際映画祭の金熊賞、釜山国際映画祭の釜山アワード(最優秀作品賞)、サンダンス映画祭のワールド・シネマ・グランド・ジュリー賞、トロント国際映画祭のプラットフォーム賞を受賞した作品だ。
ただし、指定の賞を受賞したことによってノミネーションが自動的に確定するわけではなく、作品は適用される出品条件を満たす必要がある。
一方、現時点で対象となる映画祭のリストに東京国際映画祭は含まれていない。地域の映画産業にとっても関心の高い問題であり、質疑応答では、東京国際映画祭が今後対象に加わる可能性について、観客から2度にわたって質問が寄せられた。
クレイマーは、国際長編映画賞への出品資格につながる映画祭を今後さらに増やすことを検討していると回答。制度はまだ始まったばかりであり、今後の展開を見守ってほしいとの考えを示した。
釜山国際映画祭が対象に選ばれた一方、東京国際映画祭は現時点で対象に含まれていない。クレイマーは追加の時期について明言しなかったものの、対象となる映画祭の拡大を検討していると述べた。東京国際映画祭が今後、国際長編映画賞への新たな出品ルートに加わるかどうかが注目される。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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