ホラー映画監督デビューへの近道は、YouTubeにあり?!YouTubeが今、ハリウッドで新人発掘の場に
数年前にロサンゼルスに移住したカリー・バーカーは、短編映画を映画祭に出品すれば、監督への道が開けると思っていた。しかしすぐに、YouTubeに作品をアップロードして、注目を集められることを発見した。
2023年の短編ホラー映画『The Chair』がハリウッドの代理人に目をつけられ、製作費100万ドルの映画『Obsession』の監督に就任。そして8月には、脚本&監督&主演を務めた製作費80万ドルの長編作品『Milk & Serial』がオンラインで大ヒットし、100万回の視聴数を記録した。
■視聴者に直結するYouTube
「結果的に、ミーティングの数が激増しましたね」と、バーカーは語る。実際に、LAの主要なスタジオやホラー界の大手制作会社ほぼ全てとミーティングしたという。
YouTubeでコメディアンとしてコントを披露していたことでも知られるバーカーは、ハリウッドに進出する前にYouTubeで実績を積んだ新世代の映画作家の1人だ。YouTubeでは、スタジオの駆け引きに悩まされることなく創造性を発揮でき、視聴者との直接的な関係を築くことができる。
■気鋭監督が続々と誕生
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コメディ系YouTuberのダニー&マイケル・フィリッポウ兄弟が監督し、A24が配給した映画『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』は2023年にサプライズヒット。同作のプロデューサー、サマンサ・ジェニングスは2人が並外れた視聴者理解力を持っていると評し、「彼らは3列目の観客がどんな服を着ているか、どこに注目しているか、何に笑うかまでほとんど正確に言えるんです」と明かした。
オーストラリア出身の映画作家マイケル・シャンクスも、10年以上前からYouTubeでゲームパロディなどのコメディチャンネルを運営し、人気を集めてきた。YouTube活動に並行して『Time Trap』という短編を制作したが、単にYouTubeにアップロードするにはあまりにも良質だと感じていた。ところが、『スター・ウォーズ』のパロディを投稿したところ大ヒットし、それを追い風に『Time Trap』をアップするに至ったという。
■YouTubeからスクリーンへ
「翌日には、LAのエージェントやプロダクションからから電話がかかってきました」と、シャンクスは振り返る。シャンクスが手がけたホラー映画『Together』には、デイヴ・フランコとアリソン・ブリーの出演が決まり、現在ポストプロダクションの段階に入っている。
『海底47m』のプロデューサーであるジェームズ・ハリスは、YouTubeは未知の才能を発掘する場所だと考えている。「ホラーには、かなりの成長の余地がある」と話すハリスはバーカーを発掘し、『Obsession』の制作に関わっている。ハリスは、現在25歳のバーカーに対し「100万ドルの映画を撮れば、次は500万ドル、そして1000万ドルの映画へと進んでいける」と期待を寄せた。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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