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『別離』監督アスガー・ファルハディ最新作に賛否|『Parallel Tales』米レビュー

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『別離』監督アスガー・ファルハディ最新作に賛否|『Parallel Tales』米レビュー
『Parallel Tales』 写真:Cannes Film Festival
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『別離』『セールスマン』で知られるアスガー・ファルハディ監督の新作『Parallel Tales(原題)』は、イザベル・ユペール、ヴィルジニー・エフィラ、ヴァンサン・カッセルら実力派俳優を迎えた意欲作として注目を集めている。一方で、その複雑な構成やテーマ性をめぐり、評価は賛否が分かれている。

“覗き見”を起点に現実と創作が交錯する物語

本作は“覗き見(ヴォワイアリズム)”をテーマに据え、現実とフィクションの関係性を描く心理ドラマとして構築されている。脚本はファルハディ監督と弟サイード・ファルハディの共同執筆で、クシシュトフ・キェシロフスキの『デカローグ』第6話を着想源としている。

物語の中心は、小説家シルヴィ(演:イザベル・ユペール)。彼女は次回作の着想を得るため、向かいのアパートで暮らす女性を望遠鏡で観察し、その人物を“アンナ”(演:ヴィルジニー・エフィラ)として物語化していく。

現実と創作が重なり合う構造の中で登場人物の関係は多層的に広がっていくが、その分、視点の切り替わりが複雑になり、受け取り方によって印象が分かれる仕上がりとなっている。

豪華キャストが支える多層的なドラマ構造

ヴァンサン・カッセル、ピエール・ニネ、アダム・ベッサらが出演し、さらにカトリーヌ・ドヌーヴも短い登場ながら存在感を示している。

一方で、2時間20分に及ぶ上映時間の中で、現実と物語が入れ替わる多層的な構成が続くため、物語の受け取り方には幅が出るという評価も見られる。ただしその構造自体は、フィクションと現実の境界を探るというファルハディ作品らしい挑戦とも言える。

また本作では音響表現が重要な要素となっている。エフィラ演じる女性はフォーリーアーティストとして働き、足音や環境音などを作り出す場面が描かれるなど、“見ること”に加えて“聞くこと”による想像力もテーマとして組み込まれている。

『デカローグ』との関係とリメイク構想

本作はキェシロフスキの『デカローグ』第6話を下敷きにしており、原作が持つシンプルな構図と比較されることもある。監視する者とされる者という関係性を軸に、より拡張された物語として再構築されている点が特徴だ。

なお、『デカローグ』全10章のリメイク企画が進行中と報じられており、『Parallel Tales』はその第一歩としても位置づけられている。物語の複雑さを含め、今後の展開にも注目が集まっている。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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