【スラッシャー映画12選】過去10年間の傑作…日本未公開の異色作、『テリファー』ほか人気シリーズも!

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仮面の男たち、ファイナルガール、記憶に残る武器(ナイフ、チェーンソー、フック、そして…塩入れ)の数々、そして、もちろん大量の血…。これらは、ホラーの最も成功したサブジャンルの一つであるスラッシャー映画の核となる要素だ。
トビー・フーパーの『悪魔のいけにえ』(1974)、ジョン・カーペンターの『ハロウィン』(1978)、そしてショーン・S・カニンガムの『13日の金曜日』(1980)によって生み出されたスリルから誕生したスラッシャーは、80年代初頭にその全盛期を迎えた。80年代半ばまでに、ほぼ毎週のように公開されていたスラッシャーは、ウェス・クレイヴンが『エルム街の悪夢』(1984)で新たな公式を復活させるまで、下降傾向にあった。そしてスラッシャーが再び行き詰まった時、クレイヴンは『スクリーム』(1996)でタンクに新たな血を注ぎ込み、これが90年代のスラッシャー・ルネサンスを生み出し、2000年代のスラッシャーリメイク時代へと続いていった。
スラッシャーは長年にわたって浮き沈みを経験し、現在は上昇期にある。約10年近く成長を続け、その勢いが衰える兆しは見られない。本記事では、過去10年間の現代スラッシャー映画の傑作を振り返っていく。
以下、「過去10年間のスラッシャー映画の傑作12選」
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12.『Sissy』(2022)
ハナー・バーロウ&ケイン・セネズ監督のオーストラリア映画『Sissy』。
不満を抱えるインフルエンサー、セシリア/シシー(アイシャ・ディー)は、幼なじみのエマ(ハナー・バーロウ)と再会し、バチェロレッテ・パーティーに招待される。だが、エマの新しい友人たちや、かつてのいじめっ子アレックス(エミリー・デ・マルゲリーティ)に囲まれて、セシリアはすぐに打ちのめされてしまう。セシリアの過去が浮き彫りになるにつれ、彼女の世界はますますキラキラやステッカー、そしてSNSアプリが生み出す非現実に覆われていく。そして、一人またひとりとパーティーの参加者たちが姿を消していくのだ。
これほど美しい血の惨劇を目にすることは滅多にない。
11.『フィアー・ストリート』3部作(2021)
R・L・スタインによる長編小説シリーズに着想を得たリー・ジャニアック監督の3部作『フィアー・ストリート』は、1994年、1978年、1666年を舞台に、スラッシャー映画の要素と魔女狩りを融合。『スクリーム』や『13日の金曜日』、さらには1971年の『鮮血!!悪魔の爪』を混ぜたポップな作品として仕上がっている。
各作品ごとに見どころが異なるものの、特筆すべきはやはり1作目『フィアー・ストリート Part 1: 1994』である。仲間たちの絆、ネオンカラーが飛び散る演出、そしてスーパーマーケットでの惨劇などが詰め込まれた本作は、スコット・スピーゲル監督の『処刑!血のしたたり』(1989)が再評価されるきっかけにもなった。
ジャニアックの映画は、夏の夜に友達と一緒にスラッシャー映画を観て、飛び上がるほど驚きながらも笑い合う、あの永遠のスリルと興奮を見事に再現している。
10.『テリファー 終わらない惨劇』(2022)
ダミアン・レオーネは、2013年のインディーズ映画『テリファー0』でシリアルキラー、アート・ザ・クラウンを世に送り出し、3年後にはスラッシャー映画『テリファー』へと繋げた。この作品には手作り感が漂い、特に実践的な特殊効果に関しては称賛に値する出来栄えである。ただし、物語そのものはあまり印象に残るものではない。
それでもアート・ザ・クラウンの存在感は抜群だ。レオーネは最初の作品への批判を受け止め、2022年に大作『テリファー 終わらない惨劇』を引っさげて帰ってきた。2時間半近くに及ぶ本作は、血肉と惨劇、衝撃的な殺害シーンの連続で、どんなに耐性のあるホラーファンでも顔をしかめること間違いなし。
だが、『テリファー 終わらない惨劇』が真に優れているのは、単なる残虐描写を超えて独自の神話を築き上げ、アート・ザ・クラウンにふさわしい宿敵を与えた点にある。ファイナルガールのシエナ(ローレン・ラヴェラ)は、瞬く間にホラー界のカルト的存在となった。
9.『ザ・スイッチ』(2020)
超常現象によって、地元の連続殺人鬼「ザ・ブッチャー」(ヴィンス・ヴォーン)と体が入れ替わってしまったミリー(キャスリン・ニュートン)は、24時間以内に元に戻らなければ永遠にそのままになってしまう。ニュートンは冷酷で血に飢えた殺人鬼を見事に演じ切り、同時にヴォーンも神経質なティーンの女の子をリアルに演じている。
監督のクリストファー・ランドンと脚本のマイケル・ケネディは、『ハッピー・デス・デイ』といった作品を通じて、70〜80年代のハイコンセプト・コメディをスラッシャー映画として再解釈し、独自のサブジャンルを築き上げた。
懐かしさを刺激する要素も確かにあるが、彼らの映画が特別なのは、それだけではない。70〜80年代の作品では描かれることのなかったクィアキャラクターたちにも居場所を与える、人間味あふれるアプローチを見出した点にこそ、真の価値がある。
8.『ヘル・フェスト』(2018)
グレゴリー・プロトキンの『ヘル・フェスト』は、「移動型ホラー・テーマパーク」という魅力的な舞台設定で、迷路のように入り組んだアトラクションや暗闇に潜む恐怖が、最後まで観客を引き込んで離さない。
さらに、エイミー・フォーサイスを中心とした好感の持てるキャストも作品を引き立てている。そこに、正体不明の殺人鬼を放り込めば完成だ。彼は、複数の異なるマスクを使い分けながら獲物を狩っていく。
確かに『ヘル・フェスト』は、スラッシャー映画の定石を覆す作品ではない。しかし、本作は古典的ホラーの方程式が今でも十分通用することを証明している。そしてもしこの作品が80年代に公開されていたら、間違いなくセンセーションを巻き起こしていただろう。
7.『BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』(2022)
ハリナ・ライン監督の本作では、アマンドラ・ステンバーグ、マリア・バカローヴァ、ピート・デヴィッドソンらが演じる裕福な若者たちのグループが、ハリケーンの中で豪邸に閉じ込められる。そこで始まるパーティーゲーム「ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ」は、仲間の一人の死体を発見した瞬間、一転して悪夢へと変わる。
そこからは、怒涛のような非難の応酬、侮辱、暴かれる秘密、くすぶっていた嫉妬、そしてガスライティングの嵐が巻き起こる。まさにZ世代の最悪な面、そして正直なところ最も笑える側面を見せつけてくる。
SNSへの執着、階級格差、そして延々と積み重ねられた些細な不満のリスト。誰もが怪しく見えてきて、最後には忘れられない結末が待っている。
6.『ストレンジャーズ 地獄からの訪問者』(2018)
ヨハネス・ロバーツが手がけた『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』(2008)の続編は、前作から舞台を移し、トレーラーパークを舞台に展開する。
ある家族が仮面をつけた3人組に襲われるさまを描いた続編は、前作が持っていた容赦のない恐怖の頂点には届かないものの、新たな恐怖を切り開いている。見慣れないトレーラーパークという舞台を巧みに活かし、80年代のテイストを織り交ぜた独創的な「鬼ごっこ」を繰り広げているのが特徴的だ。
特に、ボニー・タイラーの「Total Eclipse of the Heart」をバックに繰り広げられるプールでの追跡シーンは、ひときわ印象に残る名場面となっている。
5.『The Ranger』(2018)
ジェニファー・ウェックスラー監督による『The Ranger(原題)』に登場する斧を振るう悪役「レンジャー」は、仮面をつけたアウトサイダーではなく、清潔感のある権威的な存在として描かれている。しかし、それでも彼の恐ろしさや圧倒的な支配力が薄れることはない。
チェルシー(クロエ・レヴィン)と彼女の仲間たちは、地元警察から逃げる途中で森へと身を隠す。しかし、そこで出会ったのがレンジャーだった。この出会いは、世代間の衝突へと発展する。自分たちのための”聖域”を手に入れようとする若きパンクスたちと、森を自らの領土と見なし、”盗まれた土地”を自分の「天命」と信じる男との対立が激化していくのだ。
暗い森の中では、罠や死体、そして”存在の儚さ”を思い知らされる痕跡が散りばめられ、アメリカの歴史が繰り返す様が描かれていく。『The Ranger』は巧妙に作られたスラッシャー映画であり、平和や保護、抗議といった行為が「世界を支配している」と信じる者たちへの脅威と見なされる現代社会において、ますます重みを増している作品である。
4.『In a Violent Nature』(2024)
クリス・ナッシュ監督は、スラッシャー映画の定番を大胆にひっくり返し、視点を復讐に燃える仮面の殺人鬼ジョニーに据えている。ジョニーの姿や過去は、『13日の金曜日』のジェイソンと彼の母親を彷彿とさせる。しかし、視点をジョニー側に寄せることで、観客と殺人鬼との関係性がまったく別物になっている。
ジョニーがキャンパーたちを次々と殺していく様子を彼の目線で追い続けるうちに、スラッシャー映画ファンなら誰もが一度は抱く「殺人鬼への親近感」が揺さぶられていくのを感じる。ジェイソンやフレディといった有名な殺人鬼たちに対して、なぜか犠牲者よりも魅力を感じてしまうのは、彼らが謎めいた存在であり、観客との距離が保たれているからだろう。しかし本作ではその距離が消え去り、逆にキャンパーたちが”謎めいた存在”になる。
凄惨な殺人シーンの数々 — その中にはスラッシャー映画史に残る名シーン級のものもある — 目当てで観るのもいい。ただ、この作品が本当に面白いのは、視点と共感の関係をひっくり返すという実験的アプローチにこそある。
3.『スクリーム6』(2023)
2022年に復活した『スクリーム』シリーズ。本作では、 サム(メリッサ・バレラ)、タラ(ジェナ・オルテガ)、ミンディ(ジャスミン・サヴォイ・ブラウン)、チャド(メイソン・グッディング)の4人の新たな主要キャラクターが登場する。
舞台をニューヨークに移し、彼らは新たなゴーストフェイスに立ち向かうことになる。本作の魅力を支えているのは、何よりもキャストの演技力、緻密で印象的な場面作り、そしてサムが完全に覚醒する血まみれのクライマックスだ。
6作目は、スラッシャー映画のルールを塗り替えるような革新作ではない。しかし、魅力的なキャラクターたちを追い続け、世代を超えたシリーズの物語を巧みに編み上げることに関して言えば、『スクリーム6』は間違いなく”恐ろしく”よくできた映画である。
2.『ハロウィン THE END』(2022)
確かに、デヴィッド・ゴードン・グリーンによる『ハロウィン』3部作の最終章となる本作に多くの批判が寄せられているのも理解できる。しかし、それでもなおこの作品こそがマイケル・マイヤーズと架空の町・ハドンフィールドに対する最も意味深い考察だと感じている。グリーンが辿り着いたのは、シリーズの核となるテーマ「悪は死なない。ただ形を変えるだけだ」という真理である。
多くの観客は、ローリー(ジェイミー・リー・カーティス)とマイヤーズ(ジェームズ・ジュード・コートニー)の最終決戦を期待していた。しかし、実際の物語の中心に据えられるのは、町の新たな住人コーリーである。彼は、ベビーシッターをしていた少年を殺したと誤って非難され、町の”厄介者”となった青年だ。
コーリーとローリーの孫娘アリソンとの関係を通して描かれるのは、マイヤーズによって腐敗させられた町ではなく、むしろハドンフィールドそのものがマイヤーズを生み出した”原因”なのではないか、という視点だ。残酷な人々と残酷な思想に満ち、”ブギーマン”を必要としている。悪は単純に”個人から個人へ”と引き継がれるものではない。それは町全体に広がり、吸収され、時には窓の外を眺めて町の歪んだ姿を見つめるだけで”感染”してしまうものなのだ。
ハドンフィールドは、アメリカのどの町とも大して変わらない。だからこそ、恐ろしいのだ。どんな場所でも、”新たなマイケル・マイヤーズ”が形作られつつあるのだから。
1.『X エックス』(2022)
トビー・フーパーや70年代後期のホラーやポルノを思わせる美学をまとっているが、タイ・ウェスト監督の『X エックス』が狙っているのは単なる刺激ではない。
女優のマキシーン(ミア・ゴス)、ボビー=リン(ブリタニー・スノウ)、プロデューサーのウェイン(マーティン・ヘンダーソン)たちは、新作ポルノ映画の撮影のためにテキサスの農場にあるゲストハウスを借りる。しかし、農場の年老いた持ち主であるハワードとパール(同じくミア・ゴスが演じている)は、彼らの目的を知らない。
撮影クルーや俳優たちが観客を満足させる映画を作ろうとする一方で、パールもまた”自分なりの満足”を求めている。ただの笑い話になり得る設定だが、実際には性の抑圧、老い、そして夢の喪失とともに失われる美しさを、悲劇的かつ恐ろしく描き出しているのだ。
さらに、この作品を支えているのが前日譚『Pearl パール』だ。そこでは若き日のパールの夢や希望、そして彼女が『X』で見せた”脅威”へと変貌していく過程が明かされる。『X エックス』の衝撃をさらに深くする、見事な補完作である。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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