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映画・ドラマ史に残る黒人キャラクター19選――名作シットコムから『ブラックパンサー』『ムーンライト』まで

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映画・ドラマ史に残る黒人キャラクター19選、タイラー・ジェームズ・ウィリアムズ、クインタ・ブランソン、『アボット エレメンタリー』より
タイラー・ジェームズ・ウィリアムズ、クインタ・ブランソン、『アボット エレメンタリー』より 写真:Gilles Mingasson/Disney
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毎年6月19日のジューンティーンス(奴隷解放記念日)は、アメリカ全土で奴隷制の終焉を祝う日として知られている。この祝日は、黒人文化やコミュニティ、そして世代を超えて受け継がれてきた数々の物語に思いを馳せる機会でもある。フェスティバルやブロックパーティー、家族の集まりやバーベキューなどを通じて、人々は自らのルーツを振り返り、そのアイデンティティを祝福する。

そうした物語を伝える最も力強い手段の一つが、映画やテレビに登場するキャラクターたちだ。こうした作品の中では、多くの黒人キャラクターたちが観客を楽しませ、勇気づけ、時に深く考えさせ、「自分自身を映し出す存在」として愛されてきた。

これらのキャラクターは、スクリーンに映し出される黒人の生き方や経験、物語を通じて、多様であり複雑でもある、忘れがたいものを提示してきた。そこで本記事では、テレビや映画の世界で大きな足跡を残した19人の黒人キャラクターたちを紹介する。

映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』のムーキーから、テレビシリーズ『インセキュア』のイッサ、シットコム『ベルエアのフレッシュ・プリンス』のカールトン、アカデミー賞作品賞受賞作『ムーンライト』のブラックまで――。米『ハリウッド・リポーター』が、映画やテレビの歴史に名を刻んだ、最も影響力のある黒人キャラクターたちを振り返る。

1.ドウェイン・ウェイン――『ア・ディファレント・ワールド』(1987~1993年)

演:カディーム・ハーディソン

ドウェイン・ウェインは、1980年代後半に人気を博したシットコム『ア・ディファレント・ワールド(原題:A Different World)』で視聴者の心をつかんだ、聡明でユーモアあふれる工学専攻の青年だ。

シットコム『コスビー・ショー』(1984~1992年)のスピンオフとして制作された本作は、黒人学生が多数を占める架空のヒルマン大学を舞台に、学生たちの大学生活を温かさとユーモアを交えながら描いている。

ドウェインは、従来の黒人男性像の枠に収まらないキャラクターだった。向上心がありながら親しみやすく、オタク気質でありながら魅力的で、自信に満ちながらも弱さを抱えている。学業への情熱や友情、そして多くの視聴者を魅了したウィットリー・ギルバートとの恋愛を通じて、彼は黒人男性に対する固定観念に一石を投じた。

カディーム・ハーディソンのほか、ジャスミン・ガイ、ダリル・ベル、リサ・ボネットらが出演。6シーズンにわたって放送され、黒人によるシットコムの代表作の一つとして、現在も高い人気を誇っている。

2.ムーキー――『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989年)

演:スパイク・リー

スパイク・リー
スパイク・リー 写真:Gregory Shamus/Getty Images

スパイク・リーが脚本・監督・主演を務めた『ドゥ・ザ・ライト・シング』は、真夏の酷暑の一日を舞台に、人種間の緊張が高まるブルックリンで、複数のコミュニティの狭間に立たされるピザ配達員、ムーキーの姿を描く。

本作は、警察による暴力や人種間の対立、そしてブルックリンのベッドフォード=スタイベサント地区の日常を鋭く描いた作品として、高く評価されている。

一見、ムーキーはごく平凡な人物に見える。彼は弁護士でもなければ、工学専攻の秀才でもない。人気シットコムの主人公でもない、ただのピザ配達員だ。しかし彼は、忠誠心や責任感、家族との関係、そして人種というテーマの間で揺れ動く、本作の倫理的な描写を担う人物である。

リーは、ムーキーを通して日常生活の複雑さを描き出し、親しみやすく、欠点を抱えながらも深い人間味を持つキャラクターを生み出した。公開から30年以上が経った今もなお、観客は「ムーキーの行動が本当に正しかったか」について議論を続けている。

3.カールトン・バンクス――『ベルエアのフレッシュ・プリンス』(1990~1996年)

演:アルフォンソ・リベイロ

ベストを着こなすお坊ちゃん育ちのティーンエイジャー、カールトン・バンクスは、『ベルエアのフレッシュ・プリンス』を代表するキャラクターの一人だ。

アルフォンソ・リベイロが演じたカールトンは、歌手トム・ジョーンズへの熱烈な愛情や、今なお語り継がれる独特のダンス、そしていとこのウィル(演:ウィル・スミス)との絶え間ない衝突によって、番組屈指の笑いを生み出した。

しかし、カールトンの魅力はコミカルな一面だけではない。恵まれた環境で育ちながら勉強熱心で、自分らしさを臆することなく貫く黒人の若者を、リベイロは当時の人気シットコムの中心人物として見事に演じた。

黒人男性キャラクターがステレオタイプで表現されることも多かった時代に、カールトンは黒人としての新たなアイデンティティを示した存在だった。彼は野心的で、不器用で、知的であり、そして何より、自分自身に誇りを持っていた。

4.ナタリー・パーカー――『ストリクトリー・ビジネス』(1991年)

演:ハル・ベリー

ハル・ベリー
ハル・ベリー 写真:Michael Loccisano/Getty Images

1991年公開のロマンティックコメディ『ストリクトリー・ビジネス(原題:Strictly Business)』では、誰もがナタリー・パーカーに夢中になった。

アカデミー賞受賞俳優ハル・ベリーが、ブレイク前夜に演じたナタリーは、“はまり役”の一つとして知られている。ナタリーは自信にあふれ、洗練されたファッションセンスを持ち、野心的で、自らの女性らしさを堂々と表現する人物だった。

黒人主演のロマンティックコメディが注目を集め始めていた時代、ナタリーは物語の中心に立ち、華やかで魅力的でありながら、周囲の男性たちに負けない向上心を持つ黒人女性像を体現した。ベリーは、本作で“新進気鋭のスター”として存在を広めただけでなく、「魅力」と「野心」を兼ね備えた印象的なヒロイン像を観客に届けた。

洗練されたスタイルと圧倒的な存在感によって、ナタリーはスクリーンにおける黒人女性の美しさと女性らしさを象徴するキャラクターとなった。公開から30年以上が経った現在も、彼女は1990年代の黒人映画を代表するヒロインの一人として語り継がれている。

5.マーティン&ジーナ――『マーティン』(1992~1997年)

演:マーティン・ローレンス&ティーシャ・キャンベル

1992年に放送を開始したシットコム『マーティン(原題:Martin)』は、マーティン・ペイン&ジーナ・ウォーターズの印象的な掛け合いで知られ、テレビ史に残る人気コメディとして愛され続けている。

マーティン・ローレンス演じるマーティンと、ティーシャ・キャンベル演じるジーナは、テレビにおける理想的な黒人カップルとして高く評価されている。2人は口論を繰り返し、時に衝突しながらも、共に困難を乗り越え、視聴者が共感できるリアルな関係を築き上げた。

そして何より、2人は一緒にいることを心から楽しんでいた。ほぼすべてのエピソードで見られた抜群の掛け合いと相性の良さ、そしてコメディセンス――それらは必見のラブストーリーを生み出し、黒人コミュニティの喜びや幸福感を鮮やかに映し出した。

お互いを愛しながらも騒がしく過ごす2人のエネルギーは、シットコム史に残る名コンビとして今も語り継がれ、「理想の恋愛」の象徴として愛されている。それを示すように、ラッパーのポロGは2020年に「Martin & Gina」を発表し、ヒット曲となった。

6.マルコムX――『マルコムX』(1992年)

演:デンゼル・ワシントン

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デンゼル・ワシントン 写真:Gareth Cattermole/Getty Images

スパイク・リー監督による1992年の伝記映画『マルコムX』で、デンゼル・ワシントンが演じたのは、実在の活動家マルコムXだ。本作は、「マルコム・リトル」として生まれた一人の青年が、アメリカ史に名を刻む政治家へと成長していく軌跡を描き出した。

黒人としての誇り、揺るぎない信念、そして自己決定の力――。マルコムXという歴史的指導者を、ワシントンは力強く体現した。その演技により、本作はワシントンのキャリアを代表する作品の一つとされている。

本作を通じて、観客はマルコムXの個人的な変化だけでなく、彼が遺した思想やメッセージが現代にもなお強い影響を与え続けていることを実感することになる。

マルコムX [DVD] 引用元:Amazon
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7.マーカス・グラハム――『ブーメラン』(1992年)

演:エディ・マーフィ

エディ・マーフィ
エディ・マーフィ 写真:Matt Winkelmeyer/Getty Images

「ソフトローンチ(匂わせ)」という言葉が恋愛用語として定着するずっと前から、マーカス・グラハムはまさに“モテる男”の象徴だった。1992年のロマンティックコメディ『ブーメラン』でエディ・マーフィが演じた彼は、自信とカリスマ性にあふれ、広告業界で成功を収めたエグゼクティブとして、まるで何もかも手に入れた男のように見えた。

しかし、マーカスを印象づけている要素は、その華やかな成功だけではない。物語が進むにつれ、彼はこれまで自分が女性たちにしてきたことと同じ扱いを受け、自らの行動と向き合わっていく。

『ブーメラン』はこうした描写を通じて、恋愛や男女関係に新たな視点を提示した。それと同時に、成功した黒人プロフェッショナルたちを物語の中心に据えた作品としても、高く評価されている。

8.マキシン・ショウ――『リビング・シングル』(1993~1998年)

演:エリカ・アレクサンダー

1990年代の人気シットコム『リビング・シングル(原題:Living Single)』に登場する弁護士マキシン・ショウは、野心と知性、そして圧倒的な存在感を兼ね備えたキャラクターだった。

エリカ・アレクサンダーが演じたマキシンは、ユーモアや自信、女性らしさ、そして仕事への情熱を見事に両立させた人物として、多くの視聴者を魅了した。シリーズを通して、鋭い機転と仕事に対する情熱を見せ、「マキシン・ショウ、弁護士です!」という決めゼリフも人気を集めた。

マキシンの影響力は、シットコムの枠を大きく超えて広がっている。アレクサンダーとベン・アーノンが率いるカラー・ファーム・メディアおよびザ・バタフライ・ファウンデーションによる調査では、黒人女性弁護士の3人に1人が、「マキシン・ショウの影響で法科大学院への進学を決断した」と回答している。さらに、調査対象となった黒人女性の専門職従事者の90%が、マキシンから「自信」や「自分の意見を積極的に発信する勇気」を得たと答えている。

『リビング・シングル』の放送開始から30年以上が経った今もなお、「マキシン・ショウ効果」は継続している。この調査は、彼女がテレビ史において最も影響力のある黒人女性キャラクターの一人であるという事実を物語っている。

9.ティナ・ターナー――『TINA ティナ』(1993年)

演:アンジェラ・バセット

故ティナ・ターナー
故ティナ・ターナー 写真:Denize Alain/Sygma/Getty Images

歌手ティナ・ターナーの自伝『I, Tina(原題)』を原作とする伝記映画『TINA ティナ』は、激動の結婚生活を経験した彼女が、その苦難を乗り越えて世界的スターへと成長していく姿を描いている。

アンジェラ・バセットが演じたターナーは、逆境にあっても自分の人生を諦めない、女性の強さを体現したキャラクターだった。バセットは、ターナーの決意や不屈の精神、そして幾度となく困難に直面しながらも揺るがない自信を見事に表現した。この演技は高く評価され、バセットはアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。

多くの観客にとって、ターナーの物語は「自分を変えること」の象徴でもある。逆境を世界的な成功へと昇華させ、自立と強さの象徴となった彼女の人生は、今なお多くの人々に感動を与え続けている。

10.ニーナ・モズリー&ダリウス・ラブホール――『ラブ・ジョーンズ』(1997年)

演:ニア・ロング&ラレンズ・テイト

黒人の恋愛映画を見たいのなら、『ラブ・ジョーンズ』はその筆頭に来る作品だろう。その中心にいるのが、ニーナ・モズリーとダリウス・ラブホールだ。

ニア・ロング演じるニーナは新進気鋭の写真家、ラレンズ・テイト演じるダリウスは駆け出しの作家。芸術を愛する2人はシカゴで出会い、情熱的な恋に落ちていく。

この作品が多くの観客の心をつかんだ理由は、2人の関係性の描写が非常にリアルだったからだ。本作は理想化された“おとぎ話”ではなく、出会いと別れ、すれ違い、コミュニケーションの難しさ、そして人として成長していく過程を丁寧に映し出していた。

スタイリッシュで躍動感あふれる映像表現とともに描かれた2人の物語は、公開から30年近くが経った現在も、黒人の恋愛を代表する作品の一つとして、長く愛され続けている。

11.ジョーン・クレイトン――『ガールフレンズ』(2000~2008年)

演:トレイシー・エリス・ロス

トレイシー・エリス・ロスが演じたジョーン・クレイトンは、2000年代を代表するコメディドラマ『ガールフレンズ(原題:Girlfriends)』の中心人物の一人であり、友人グループの中でも“みんなのお母さん”のような存在だった。スタイリッシュな弁護士として活躍する一方で、仕事、恋愛、そして親友たちとの関係の間で常に奮闘していた。

しかし、ジョーンは完璧な人物ではない。判断を誤ることもあれば、人の問題に深入りしすぎてしまうこともあり、時には自ら問題を複雑にしてしまうこともあった。それでも彼女は、成功や失敗を繰り返しながら、常に友人たちを結びつける存在であり続けた。

欠点を抱えつつも成功し、ユーモアがあり、そして深い人間味を持つ女性像を、ロスは見事に作り上げた。放送終了から長い年月が経った今もなお、ジョーンはテレビ史における最も印象的な黒人女性キャラクターの一人として語り継がれている。

12.ジョンソン一家――『ブラッキッシュ』(2014~2022年)

演:アンソニー・アンダーソン、トレイシー・エリス・ロス、ヤラ・シャヒディ、マーカス・スクリブナー、マーサイ・マーティン、マイルズ・ブラウン、ジェニファー・ルイス

ジョンソン一家は、テレビで描かれる黒人家族の新たな姿を視聴者に届けた。それは、何よりも「黒人の喜び」を中心に据えた物語だった。ドラマ『ブラッキッシュ』の主人公であるドレ&レインボウ・ジョンソン夫妻は、仕事や学校、文化的アイデンティティ、家族の伝統といったさまざまな課題に向き合いながら、子どもたちを育てていく。

この一家が多くの視聴者の共感を集めた理由は、そのリアリティにある。彼らはユーモアにあふれ、時に混乱し、愛情深く、頑固で、時にドラマチックでもあった。それは、多くの家庭が抱える日常そのものだったのだ。

本作は人種や文化をめぐる重要なテーマを扱いながらも、家族の絆や成長していく喜び、温かさ、日常の幸福を描くことを忘れなかった。本作は8シーズンにわたり放送され、ジョンソン一家は全米の家庭で親しまれる存在となった。

13.ケイシー・クーパー――『ティーン・スパイ K.C.』(2015年)

演:ゼンデイヤ

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ゼンデイヤ 写真:Aurore Marechal/Getty Images

ディズニー・チャンネルのドラマや映画、ゲームは、多くの子どもたちや若者たちのエンターテインメント体験を形作ってきた。その中でも特に印象的なキャラクターの一人が、『ティーン・スパイ K.C.』でゼンデイヤが演じたケイシー・クーパーだ。

主人公ケイシーは、数学の才能に秀でた高校生。ある日、自分の両親が秘密諜報員であることを知り、自らもスパイ活動に加わることになる。学校の課題や友人関係、恋愛、そして潜入任務を両立させながら、ケイシーは二重生活を送っていく。この設定によって、同シリーズは親しみやすくもスリリングな展開を楽しむことができる。

ケイシーが多くの若い視聴者に支持されたのは、彼女が誰かの助けを待つヒロインではなかったからだ。彼女は賢く、有能で、ユーモアがあり、しばしば自ら問題を解決していった。ケイシーは、「知性」や「自信」はスーパーヒーローの特殊能力に負けないほど魅力的であると、若い世代に示した。

また、クーパー家を通じて、黒人家族がアクションコメディの中心に据えられたことも大きな意義を持つ。本作を通じて、黒人家族が活躍する作品に初めて触れたという若い視聴者も多い。

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※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

14.イッサ・ディー――『インセキュア』(2016~2021年)

演:イッサ・レイ

イッサ・レイ、『インセキュア』より
イッサ・レイ、『インセキュア』より 写真:HBO

イッサ・レイが企画・脚本・主演を務めたHBOドラマ『インセキュア』では、レイ演じるイッサ・ディーとモリー・カーター(演:イヴォンヌ・オージ)を中心に展開する。本作は黒人女性たちの友情や恋愛、人生を率直かつユーモラスに描いた作品として、高い評価を受けた。

多くの若い黒人女性にとって、イッサ・ディーは単なるキャラクターではなく、まるで身近な友人のような存在だった。鏡の前でラップを口ずさんだり、恋愛で失敗したり、親友と衝突したり、将来について悩んだり――。彼女はどこまでも等身大で、親しみやすかった。彼女ほど不器用さや気まずさを魅力的に描いたキャラクターは、そういないだろう。

彼女が与えた影響の大きさは、視聴者を笑わせ、気まずさに身悶えさせ、それでもなお「応援したくなる存在」であり続けたことにある。成功や失敗、成長に伴う葛藤を包み隠さず描くことで、『インセキュア』は若者たちのリアルな人生を映し出した。

そして何より、本作は複雑で魅力的な黒人女性を物語の中心に据え、ユーモアと温かさに満ちた現代的な青春群像劇を生み出したのである。

インセキュア 引用元:Amazon
インセキュア 引用元:Amazon

15.ブラック――『ムーンライト』(2016年)

演:トレヴァンテ・ローズ

2016年公開の映画『ムーンライト』は、数々の賞賛や栄誉を受けた作品だ。本作が高く評価された理由は、その繊細な物語と圧倒的な誠実さ、そして深い感情表現にある。

本作の中心人物は、トレヴァンテ・ローズ演じるブラックと、マハーシャラ・アリ演じるフアン。本作は、一人の黒人青年が幼少期から成人期に至るまで、自身のアイデンティティや男性性、セクシュアリティ、そして居場所を模索していく姿を映し出す。

『ムーンライト』はブラックというキャラクターを通じて、黒人男性のあり方をそれまでにないほど繊細かつ多面的に描いた。優しさや孤独、葛藤、そして感情の脆さを丁寧に表現したことで、本作は映画史に残る重要な作品として評価されている。

また本作は、主流映画では長らく十分に描かれてこなかった黒人男性のセクシュアリティや感情面に光を当てている。ブラックが「自分を見つめ直す過程」は、多くの観客の心に残っている。

16.ゾーイ・ジョンソン――『グロウニッシュ』(2018~2024年)

演:ヤラ・シャヒディ

ヤラ・シャヒディ、マーカス・スクリブナー、『グロウニッシュ』より
ヤラ・シャヒディ、マーカス・スクリブナー、『グロウニッシュ』より 写真:Freeform/MIKE TAING

『グロウニッシュ』は『ブラッキッシュ』のスピンオフ作品でありながら、前作とは異なる魅力を持っていた。物語の中心は、ジョンソン家の長女ゾーイ・ジョンソン。ヤラ・シャヒディ演じるゾーイが大学へ進学し、人生の新たなステージへ足を踏み入れる姿が描かれる。

ゾーイは、多くの視聴者にとって親しみやすい存在だった。知的で魅力的でありながら、時には判断を誤り、失敗もする。そんな不完全さが、20代を生きる若い黒人女性のリアルな姿として共感を集めた。

恋愛のもつれや友人トラブル、軽快なユーモアに満ちた日常は視聴者の共感を呼んだ。大学生活やアイデンティティを見つける過程を描いた物語は、多くの若者が観たいと願うものだった。

『グロウニッシュ』はゾーイを通じて、青春期特有の期待や不安、そして成長に伴う痛みを描き出し、彼女をZ世代を象徴するテレビキャラクターの一人へと押し上げた。

17.マイルズ・モラレス――『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年)

声:シャメイク・ムーア

『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』
『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』 写真:Sony

2018年公開のアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』は、初の黒人・プエルトリコ系スパイダーマンを描いたマーベル作品だ。主人公のマイルズ・モラレスは、両親の期待と芸術への情熱の間で揺れ動く、理系の高校生。彼はスパイダーマンとして活動しながらも、ごく普通のティーンエイジャーでもある。その等身大の姿は、多くの観客の共感を呼んだ。

マイルズが単なるスーパーヒーローの枠を超え、特別な存在となった理由の一つは、その親しみやすさにある。彼はユーモアがあり、優しく、創造力豊かで、時には自分に自信を持てないこともある。「ブルックリンを救う」という重責に向き合いながらも、家族との関係や友情に悩み、高校生活を送る姿は、まるでごく普通の若者のようだった。

彼の存在は、「ヒーロー像は一つの型に収まる必要はない」ということも示していた。芸術を愛し、不安や弱さを抱えながらも、人々を守るために立ち上がることができる。その姿は多くの若者に勇気を与え、マイルズは世界的な人気キャラクターとなった。

18.ティ・チャラ――『ブラックパンサー』(2018年)

演:チャドウィック・ボーズマン

全世界で13億ドルを超える興行収入を記録した『ブラックパンサー』は、黒人キャストを中心に据え、アフリカ文化を色濃く反映した作品が世界的な大ヒットとなり得ることを証明した。本作は、ハリウッド作品でこれまで十分に描かれてこなかったアフリカの豊かな文化や未来像を、多くの観客に届けた。

その中心にいたのが、架空の王国ワカンダを治めるティ・チャラだ。彼は強さだけでなく、思いやりや責任感を兼ね備えた人物であり、そのリーダーシップによって国内外のさまざまな課題に立ち向かっていく。ティ・チャラは単なるスーパーヒーローではなく、国家を背負う王であり、指導者でもあった。

本作のテーマは、エリック・キルモンガー(演:マイケル・B・ジョーダン)の存在によってさらに深みを増している。キルモンガーの怒りは、植民地主義や奴隷制、アフリカ系移民の歴史的経験に根差したものであり、ティ・チャラとは異なる立場から黒人の歴史や未来を提示した。

この2人の対立は、共通の歴史に対する異なる視点を浮き彫りにしている。そして『ブラックパンサー』を単なるスーパーヒーロー映画ではなく、アイデンティティや継承、そしてアフリカン・ディアスポラ(世界に広がる黒人の離散者)について考えさせる作品へと押し上げた。

ブラックパンサー 引用元:Amazon
ブラックパンサー 引用元:Amazon

19.ジャニーン・ティーグス――『アボット エレメンタリー』(2021年~)

演:クインタ・ブランソン

クインタ・ブランソン、『アボット エレメンタリー』より
クインタ・ブランソン、『アボット エレメンタリー』より 写真:Gilles Mingasson/ABC

『アボット エレメンタリー』の主人公ジャニーン・ティーグスは、近年のテレビ界で最も愛されるキャラクターの一人となった。フィラデルフィアの公立小学校で働くジャニーンは、前向きで情熱的な教師だ。しかし、その熱意が先走るあまり、気まずい失敗をしたり、恋愛で空回りしたり、思わぬ騒動を巻き起こしたりすることもある。

そんな彼女の魅力は、決して諦めないポジティブな姿勢にある。どんな困難に直面しても、生徒たちのためにより良い環境を作ろうと努力し続けるひたむきさが、多くの視聴者の共感を呼んでいる。

ジャニーンは、現実の教育現場で働く教師たちの姿を映し出す存在でもある。十分とは言えない予算や設備の中でも、彼女は生徒たちに愛情を注ぎ続けている。『アボット エレメンタリー』は、ジャニーンを通して公教育の実態をユーモアたっぷりに描きながら、次世代を育てるために奮闘する人々への敬意を表している。ジャニーンはその象徴的な存在なのだ。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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