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【第83回ヴェネツィア国際映画祭】『ルックバック』『ネルソンさん』『襲名』が独立賞受賞!コンペ部門受賞結果一覧

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第83回ヴェネツィア国際映画祭『ルックバック』『ネルソンさん』『襲名』が独立賞、塚本晋也監督(中央)
塚本晋也監督(中央)、第83回ヴェネツィア国際映画祭にて=現地時間2026年9月11日 写真:© Kazuko Wakayama
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現地時間9月12日(土)、第83回ヴェネツィア国際映画祭が閉幕し、コンペティション部門の受賞結果が発表された。日本からは、是枝裕和監督の『ルックバック』と塚本晋也監督の『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』がコンペティション部門に出品されたが、映画祭の公式賞には届かなかった。

一方で、映画祭から独立した団体や審査員が選出する「公式独立賞(Collateral Awards)」では、日本から『ルックバック』、『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』、そして三池崇史監督の『襲名』の3作品がそれぞれ受賞した。

公式独立賞は、映画祭の公式ラインナップ作品を対象に、映画祭本体とは別の団体や審査員が、それぞれの理念や視点に基づいて作品を選ぶものだ。芸術表現の革新性や若い世代からの視点、社会的・文化的テーマなど、賞によって評価の基準は異なる。

是枝裕和監督『ルックバック』│ヴェネツィア国際映画祭で5つの独立賞に選出

是枝裕和監督の『ルックバック』は、5つの公式独立賞を受賞した。

  • Cinema & Arts(シネマ&アーツ)賞 最優秀作品賞
  • SIGNIS Award(シグニス賞)
  • CinemaSarà(チネマサラ)賞 最優秀作品賞
  • UNIMED Award(ユニメッド賞)
  • Fanheart3 Awards(ファンハート3賞)特別表彰

Cinema & Arts賞」は、映画と音楽、演劇、舞台芸術など、異なる芸術表現の融合に光を当てる賞。「SIGNIS Award」は、人間の尊厳や社会正義、平和などをテーマに優れた作品を選出する賞だ。「CinemaSarà賞」は、18歳の若者たちによる審査で受賞作が決定する。

UNIMED Award」は、地中海地域を中心とした大学ネットワーク「UNIMED(地中海大学連合)」が主催。加盟大学から集まった学生による国際審査員が、文化的多様性や異文化間の対話、包摂性、芸術表現の自由などを体現する作品を選出する。コンペティション部門の21作品を対象に、35人の学生審査員による満場一致で『ルックバック』を選出した。

Fanheart3 Awards」は、イタリアの文化団体「Fanheart3」が主催する賞で、映画やイマーシブ作品とファンコミュニティの関係性などに焦点を当てている。同作は「Honorable Mention(特別表彰)」を受けた。

12分超のスタンディングオベーション!是枝監督、『ルックバック』への“熱い反応”に感謝

藤本タツキの大ヒット漫画を是枝監督が実写化した『ルックバック』。小学校で出会った藤野(演:出口夏希/幼少期:七瀬ふうり)と京本(演:蒔田彩珠/幼少期:岡田六花)がひたむきに漫画に打ち込み、成長していく13年間を描く。

是枝裕和監督が『ルックバック』を語り尽くす
映画『ルックバック』 写真:©藤本タツキ/集英社 ©2026 K2 Pictures・集英社

現地時間9月7日(月)に行われたワールドプレミアの公式上映には、是枝監督のほか、ダブル主演を務める出口、蒔田、2人の幼少期を演じた七瀬、岡田が登壇。上映後には約1,000人の観客から12分を超えるスタンディングオベーションが贈られた。

是枝監督は今回のヴェネツィア滞在について、「とてもいい滞在でした」と振り返り、公式賞には入らなかったものの、上映後の観客やメディアから熱いリアクションが寄せられたことを喜んだ。

さらに、5つの公式独立賞を受賞したことについて、「これまでに経験のない事態」とし、とりわけ10代の審査員が選んだ賞が2つ含まれていたことに「若い人たちが支持してくれた、ということが純粋に嬉しいです」とコメント。

ジャーナリストや批評家から「シンプルに、個人的に好きだ」と声をかけられたことにも触れ、「ヴェネツィア国際映画祭というデビュー作の地で、もう一度出発点に立ち返った気持ちです(※1995年『幻の光』が第52回ヴェネツィア国際映画祭で上映)」と語った。

実写映画『ルックバック』は全国の劇場で公開中。

塚本晋也監督『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』│「金の小獅子賞」受賞

塚本晋也監督の『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』は、公式独立賞の「レオンチーノ・ドーロ賞(Leoncino d’oro/金の小獅子賞)」を受賞した。日本映画が同賞に選ばれるのは今回が初となる。

同賞は、イタリア各地から選ばれた18歳の高校生20人が審査員を務め、コンペティション部門の出品作から受賞作を選出する。若い世代が選ぶ賞であることから、“若者が選ぶ小さな金獅子”とも呼ばれている。

本作は、ベトナム戦争に従軍した元米兵アレン・ネルソン氏の証言を軸にPTSD(戦争後遺症)を描く、事実に基づいた作品。ニューヨーク、ベトナム、タイ、沖縄で撮影を行い、「戦争加害者が抱える傷」という、これまで十分に描かれてこなかったテーマに焦点を当てている。

授賞式で審査員の高校生たちと対面した塚本監督は、まず「この映画を見て、戦争というのは、とにかく実際に行くとこういうものなんだということをまず分かった上で、議論していただけたら」と伝えた。

授賞式後の囲み取材では、「未来を担っていく人たちが、この映画を選んでくれたというのは、大きな希望を感じました」と喜びを語った。

映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』は現在、東京都から沖縄県までの9館で公開中。

実話の戦争映画、塚本晋也監督『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』
『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』 写真:©Mr. Nelson, Did You Kill People? Film Partners

三池崇史監督『襲名』│「Cinema & Arts Award」最優秀作品賞を受賞

三池崇史監督のドキュメンタリー映画『襲名』はアウト・オブ・コンペティション部門に出品され、公式独立賞の「Cinema & Arts Award」最優秀作品賞を受賞した。日本映画が同賞の最優秀作品賞に選ばれるのは初となる。

同賞は、演劇・映画監督のアレッシオ・ナルディンが考案した公式独立賞。音楽や演劇、舞台芸術など、映画と他の芸術表現の融合という側面から評価する。

『襲名』は、日本の伝統芸能である歌舞伎と、映画という表現手法を組み合わせ、市川團十郎家の名跡継承をめぐる姿を記録している。歌舞伎という日本固有の舞台芸術を、映画という表現手法で世界に伝えた点が、評価につながった。

市川團十郎&新之助親子にヴェネツィア熱狂!『襲名』初上映
市川新之助、市川團十郎、三池崇史監督、第83回ヴェネツィア国際映画祭にて=現地時間2026年9月4日 写真:©Kazuko Wakayama

十一代目市川海老蔵から十三代目「市川團十郎白猿」襲名と、息子・勸玄の八代目「市川新之助」襲名という大きな節目を通して、伝統芸能の継承や、父から子へと受け継がれる技芸の意味に迫っている点にも言及。

さらに、市川家の日常や公の場での活動、家族の姿と、舞台上で繰り広げられる歌舞伎の世界を対比させながら、歌舞伎俳優の「個人としての存在」と「舞台上の存在」、そして「社会的な役割」の関係を映し出した点が評価された。

また、三池監督の「洗練された極めて緻密なカメラワーク」も高い評価を獲得している。同賞の授賞理由には、歌舞伎の様式化された発声や所作、化粧、俳優と観客の関係性の美しさが「まさに一枚の絵画のようだ」と評されている。

ドキュメンタリー映画『襲名』は9月25日(金)より全国の劇場で公開される。

【第83回ヴェネツィア国際映画祭】コンペティション部門 受賞結果一覧

最高賞の金獅子賞は、メイ・エル・トーキー監督の『Kvinde Ukendt(英題:Woman Unknown)』が受賞した。今回のコンペティション部門全21作品の中で、唯一の女性監督による作品だ。

第二次世界大戦直後、ナチス・ドイツの占領から解放されたデンマークを舞台に、ドイツ兵と関係を持ったことを隠して生きる女性が、偏見や葛藤と戦う姿を描く。主演のマティルド・アーセルはヴォルピ杯(女優賞)を受賞し、2冠を達成した。

第83回ヴェネツィア国際映画祭 コンペティション部門の受賞結果一覧はこちら。

  • 金獅子賞(作品賞):『Kvinde Ukendt』(メイ・エル・トーキー監督)
  • 銀獅子賞(審査員大賞):『もしもの愛』(イ・チャンドン監督)
  • 銀獅子賞(監督賞):イリヤ・フルジャノスキー監督(『Dau(原題)』)
  • 審査員特別賞:『Naza(原題)』(ユバル・アブラハーム監督/ラヘル・ショール監督)
  • ヴォルピ杯(男優賞):ジョン・マルコビッチ(『ワイルド・ホース・ナイン』)
  • ヴォルピ杯(女優賞):マティルド・アーセル(『Kvinde Ukendt』)
  • 脚本賞:ステファン・ブリゼ(『Un bon petit soldat(原題)』)
  • マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞):マルー・ケビジ(『15/18 (A Place To Heal)(原題)』)

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