ロビン・ウィリアムズ幻の主演作、ディズニー未映画化企画が再浮上
ロビン・ウィリアムズが俳優として最も演じたかった役のひとつが、再び注目を集めている。きっかけは、キャメロン・ウェストによる回想録『First Person Plural: My Life as a Multiple』の新版刊行だ。かつてウィリアムズ主演で映画化が進められながら、実現には至らなかった企画だ。その背景には、ハリウッドでも稀有な“本気の準備”があった。
ロビン・ウィリアムズが惹かれた“幻の主演映画”
『First Person Plural: My Life as a Multiple』は、キャメロン・ウェストが妻リッキ・ウェストと共著した1999年の回想録。幼少期の深いトラウマを背景に、解離性同一性障害(DID)とともに生きる自身の経験を赤裸々に綴った作品だ。
刊行当時、この本は大きな反響を呼んだ。ウェストは全米のテレビ番組に出演し、書籍はベストセラーに。やがて映画化権は、7桁の契約金でウォルト・ディズニーに売却され、主演にはロビン・ウィリアムズの名前が挙がった。
当時のウィリアムズは『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』でアカデミー賞助演男優賞を受賞した直後。脚本には『フォレスト・ガンプ/一期一会』で知られるエリック・ロスが起用され、極めて有力な企画として進行していた。
ロビン・ウィリアムズが見せた徹底した役作り
キャメロン・ウェストによれば、ウィリアムズは単なる資料読み込みにとどまらず、本人を深く理解しようとしていたという。
夫妻はウィリアムズの自宅に招かれ、長時間にわたって対話を重ねた。ウィリアムズはウェストのすぐそばに座り、彼の感情や反応を間近で感じ取ろうとしていたという。
特に強い関心を示したのは、ウェストの中に存在する別人格だった。
ウェストは、ウィリアムズが「別人格に会いたがっていた」と振り返る。実際にその場で人格の変化を目の当たりにしたウィリアムズは、強い衝撃を受けたという。
さらに印象的だったのは、彼の飼い犬の反応だった。ウェストによれば、犬は人格が切り替わると別人のように反応を変えた。ウィリアムズはその変化を見て驚きを隠せなかったという。
こうした体験を通じて、2人の間には言葉では言い表しにくい理解と信頼が生まれていった。
ディズニーの方針転換で企画は停滞
映画化は一時、実現目前とみられていた。
エリック・ロスは脚本を執筆し、メディアでも企画の存在が伝えられていた。しかし、その後ディズニー社内で経営体制の変化が起こり、プロジェクトを後押ししていた関係者が離脱。企画は次第に勢いを失っていった。
キャメロン・ウェストは、「大きな作品になるはずだった。かなりの金額も動いていた。それだけに心が痛んだ」と当時を振り返っている。
現在も映画化権はディズニーが保有しており、夫妻の自宅にはエリック・ロスによる脚本草稿が保管されているという。
『First Person Plural』新版で再び高まる映像化への期待
解離性同一性障害は、近年になってようやく正確な理解が広がりつつあるが、いまなお大衆文化の中では誤解されやすい題材でもある。
『First Person Plural』が当時注目されたのは、その複雑で人間的な描写にあった。近年ではドラマ『ユナイテッド・ステイツ・オブ・タラ』やマーベル作品『ムーンナイト』でも解離性同一性障害が描かれているが、ウェストの証言はより個人的で、生々しい。
今回刊行される新版には、その後の人生についての記述も新たに加えられている。初版刊行後も複数回の入院を経験し、新たな人格も現れたという。
それでも、キャメロン・ウェストは妻リッキとの関係を「この物語の核はラブストーリーだ」と語る。
そしていま、彼が願っているのは、この企画がロビン・ウィリアムズへの追悼として新たな形でよみがえることだ。
映画ではなく、より長い時間をかけて描けるシリーズ作品としての映像化だ。
「まだ語られていない人生が、たくさん残っている」
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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