カンヌ受賞のジャファル・パナヒ監督、禁錮1年と出国禁止命令維持──イラン当局に控訴へ
イランの著名映画監督ジャファル・パナヒに対し、同国の裁判所が禁錮1年と2年間の出国禁止命令を維持したことが明らかになった。パナヒ監督は、今年のアカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた『シンプル・アクシデント/偶然』で知られる存在。監督側は判決を不服として控訴する意向を示している。
ジャファル・パナヒ監督への有罪判決が確定、出国禁止へ
パナヒ監督は、「体制に対するプロパガンダ活動」を行ったとして有罪認定を受けていた。今回、テヘラン革命裁判所は監督側の異議申し立てを退け、従来の判決を全面的に支持した。
監督の弁護士モスタファ・ニリ氏によると、判決には禁錮1年に加え、2年間の出国禁止措置が含まれている。また、その期間中は政治団体や社会団体への参加も禁じられるという。
イランメディアの報道によれば、当局はパナヒ監督が政府に批判的とみなされる映画を制作したことに加え、政治犯や治安関連の受刑者への支持表明、反政府デモへの賛同、「女性・命・自由(Woman, Life, Freedom)」運動への支持、トラック運転手によるストライキ支援声明への署名や拡散などを問題視したとしている。
弁護士によれば、判決に対する控訴期限は20日間となっている。
『シンプル・アクシデント/偶然』制作の背景
『シンプル・アクシデント/偶然』は、パナヒ監督がイランの悪名高いエヴィン刑務所に86日間収監された後、初めて手掛けた長編映画である。
監督は2010年にさかのぼる反政府活動関連の容疑で拘束されたが、ハンガーストライキと控訴審の結果、当初の容疑は取り消され釈放された。
収監中に知り合った政治活動家のメフディ・マフムディアンと共同で脚本を執筆した本作は、自身を拷問した人物だと信じる男性を誘拐した元政治犯が、復讐するべきか、それとも赦すべきかを仲間たちと議論する姿を描いたドラマである。
カンヌ最高賞受賞後も続く圧力
『シンプル・アクシデント/偶然』は昨年のカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞し、大きな注目を集めた。その後、フランス代表としてアカデミー賞国際長編映画賞部門に出品され、同部門にノミネートされたほか、パナヒ監督とマフムディアン、共同脚本家のシャドメフル・ラスティン、ナデル・サエイヴァルには脚本賞ノミネートももたらした。
一方で、共同脚本家でもあるマフムディアンは今年2月、政府によるデモ参加者への弾圧を批判したことで再び拘束された。17日後に釈放されたものの、映画関係者や活動家に対する当局の監視は依然として続いている。
パナヒ監督はアカデミー賞授賞式への参加後、3月30日にイランへ帰国していた。今回の判決により、今後の国際映画祭への参加や海外での活動に大きな影響が及ぶ可能性がある。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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