故ヴァル・キルマーの“AI演技”が初公開――遺族も協力した映画『アズ・ディープ・アズ・ザ・グレイヴ』予告編解禁
昨年4月に死去した俳優ヴァル・キルマーの「AI生成演技」が、映画『アズ・ディープ・アズ・ザ・グレイヴ(原題:As Deep as the Grave)』の予告編でついに解禁された。この予告編は、現地時間4月15日(水)にラスベガスで開催されたシネマコンで公開された。
この映画はコエルテ・ヴォーヒーズが脚本・監督を務め、キルマーの娘の許諾を得て、AI生成によるシーンが制作された。このAI生成シーンは、本作の目玉としてお披露目された。
本作は1920年代を舞台に、古代プエブロ人の遺骨を発掘した実在の考古学者、アン・モリス(演:アビゲイル・ローリー)とアール・モリス(演:トム・フェルトン)夫妻を中心に展開する。
AI生成によるキルマーは、カトリック司祭でネイティブ・アメリカンの霊媒師であるフィンタン神父を“演じて”いる。予告編に登場する「死者を恐れるな、そして私を恐れるな」という、どこかメタ的な意味合いを含んだセリフが印象に残る。
『トップガン』(1986年)、『トップガン マーヴェリック』(2022年)、『バットマン フォーエヴァー』(1995年)などで知られるキルマーは、長年にわたる喉頭がんとの闘病の末、2025年4月に65歳で死去した。
『アズ・ディープ・アズ・ザ・グレイヴ』への出演は生前から決定していたが、体調不良により撮影には参加できなかった。制作会社の発表によれば、ヴォーヒーズ監督がキルマーの娘であるメルセデス・キルマーの強力を得て、「キルマーの演技をデジタル技術で再現する」という決断を下した。
本作について、ヴォーヒーズ監督は次のように語っている。
「5年前にヴァルがこのプロジェクトに参加した際、アメリカ南西部の歴史に根ざしたフィンタン神父という役に、すぐに共感してくれました。また、北米初の女性考古学者の一人であるアン・モリスの物語を伝える重要性を、深く理解していました。彼が実際にこの役を演じられなかったことは、非常に残念です」
娘のメルセデスはこのように述べた。「父は、物語の可能性を広げる手段として、新しいテクノロジーを前向きに捉えていました。私たちはこの映画の中で、父のその精神に敬意を表したのです」
近年、ハリウッドにおけるAIの活用は激しい議論を呼んでいる。特に、死後の俳優の肖像権をどう保護すべきかについて、法整備も進みつつある。さらに、AI生成俳優「ティリー・ノーウッド」をめぐる一連のニュースは、全米俳優組合(SAG-AFTRA)をはじめとする業界関係者から批判を招いた。

ただし今回のキルマーのように、遺族の許可を得たうえで注意深く制作を進めるのであれば、実在する俳優の「AI生成演技」を活用する余地があるだろう。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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