マイケル・ジャクソン伝記映画『Michael/マイケル』公開延期の裏側――大ヒットでも評価が割れる理由とは
4月24日(金)、ライオンズゲート製作によるマイケル・ジャクソンの伝記映画『Michael/マイケル』がついに北米で公開された。しかし、本作は当初の構想から大きく変更されており、紆余曲折を経て公開にこぎつけた。
この変更に伴い大量の撮り直しが必要となった。そのため、監督のアントワーン・フークアとプロデューサーのグレアム・キングには、多額の追加報酬が支払われたことが明らかになった。
法的問題でストーリーが大幅改変、『Michael/マイケル』公開延期の理由とは?
映画『Michael/マイケル』は、1960年代のジャクソン5時代から始まり、マイケル・ジャクソンが「キング・オブ・ポップ」として世界的スターへ成長する前夜にあたる、1984年の「ヴィクトリー・ツアー」までを描いている。

当初、本作はマイケルに対する児童性的虐待疑惑に焦点を当てた内容となる予定だった。しかし、実際の告発者とマイケル・ジャクソン財団の和解内容に「今後、商業作品でこの問題を扱わない」という条項が含まれていたことが判明したため、内容の変更を余儀なくされた。
本作は当初、2025年4月の公開を予定していたが、大幅な内容変更に伴い、2026年4月に公開が延期された。なお、ダイアナ・ロス役を演じたカット・グレアムは、「法的な理由」により自身の出演シーンがカットされたことを公表している。
また虐待疑惑を扱うことで、興行収入に悪影響を及ぼす懸念もあったと報じられている。結果として、本作はスキャンダル色を抑え、マイケルの音楽面にスポットライトを当てた音楽映画に仕上がった。
22日間の再撮影で監督とプロデューサーに巨額の追加報酬
この変更によって、虐待疑惑を扱ったカットは全て撮り直すことになり、再撮影は22日間に及んだ。報道によれば、当初の報酬はフークア監督が1,000万ドル(約15.9億円)、キングが600万ドル(約9.5億円)だったという。しかしこの再撮影によって、フークア監督には1,500万ドル(約23.8億円)、キングには1,000万ドルの追加報酬が支払われた。再撮影の費用はマイケル・ジャクソン財団が負担した。
キングの広報担当者は米『ハリウッド・リポーター』に対し、「キングは約7年にわたり、本作に携わってきた。再撮影と新たな予算編成が必要になり、キングとフークア監督は他のプロジェクトや既存の契約を後回しにせざるを得なかった。再撮影による報酬は、新たに編成された予算の一部だ」と説明した。
ヒットの裏で続く批判と論争――評価が割れる理由も“虐待疑惑”
『Michael/マイケル』は公開直後から興行収入を伸ばし、25日(土)の時点で北米興収は9,400万~1億ドル(約149.2億~158.7億円)、世界興収も初週で2億ドル(約317.4億円)規模に上ると予測されている。
こうした人気に加え、本作では1984年までしか描かれていないことから、マイケルのキャリア後半を扱った続編の可能性も浮上している。

一方で、本作は映画レビューサイト『Rotten Tomatoes』の批評家スコアが38%にとどまるなど、批評家による評価はかんばしくない。その中には、マイケルの虐待疑惑を無視した内容が「事実に沿っていない」とする批評が目立つ。
また、マイケルから幼少期に性的虐待を受けたと主張するジェームズ・セイフチャック氏は、本作の公開日にビデオメッセージを公開し、マイケルの疑惑に改めて言及した。
「マイケルの映画が公開され、大々的に宣伝されています。マイケルを称賛する人はたくさんいますが、自分の人生に(加害者としての)マイケルが存在する人にとっては、トラウマを呼び起こす可能性があります。たとえ私たちが真実を告白しても、加害者が称賛されることがあるんです」
さらにセイフチャック氏は「あなたはひとりではないということ、あなたの苦しみを理解してくれる他の“生存者”がいることを知ってほしいのです」とし、同様の経験を持つ人々にメッセージを送った。
『Michael/マイケル』は、日本で6月12日(金)に公開される。
※為替レートは2026年4月26日時点の数値で換算しています。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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