【カンヌ国際映画祭2026受賞結果】C・ムンジウ監督が『Fjord』で2度目のパルムドール!日本から岡本多緒が女優賞の快挙
現地時間5月23日、第79回カンヌ国際映画祭の授賞式が開催され、最高賞であるパルムドールをはじめとする各賞の受賞結果が発表された。
▼カンヌ国際映画祭2026、パルムドールはC・ムンジウ監督の『Fjord』が受賞

今年のコンペティション部門で最高賞のパルムドールに輝いたのは、ルーマニア出身のクリスティアン・ムンジウ監督による初の英語作品『Fjord(原題)』だった。本作は、ノルウェーの小さな村に移住したルーマニア人の敬虔な夫婦が、児童虐待の疑いをかけられる姿を描いた人間ドラマ。主演をレナーテ・レインスヴェとセバスチャン・スタンが務めている。
ムンジウ監督にとって今回の受賞は、2007年の『4ヶ月、3週と2日』に続く2度目のパルムドール戴冠となり、カンヌの歴史にその名を刻む快挙となった。また、本作の北米配給権は、これまで数々のパルムドール受賞作をヒットさせてきた気鋭の配給会社Neon(ネオン)が映画祭の開幕前に獲得しており、『ANORA アノーラ』など近年アカデミー賞作品賞受賞作を輩出している同社の先見の明が改めて証明された形だ。
【動画】2度目のパルムドール受賞を果たしたクリスティアン・ムンジウ監督
授賞式後の記者会見では、今年のコンペティション部門で審査員長を務めた韓国のパク・チャヌク監督が登壇。「パルムドールは私自身がまだ手にしたことのない賞なので、本当は誰にも渡したくなかったんです」とジョークを交えつつ、自身の過去作を引き合いに出しながら「しかし、私に他の選択肢はありませんでした」と語り、受賞作の圧倒的なクオリティを称賛した。
▼グランプリはロシアの現状を描いたサスペンス、監督賞は2作品が分け合う

次点にあたるグランプリには、アンドレイ・ズビャギンツェフ監督の『Minotaur(原題)』が選ばれた。本作はクロード・シャブロル監督の映画『不貞の女』をベースに、現代のロシアを舞台にして再構築した緊迫のサスペンス。ウクライナでの戦争へ従業員を送り出すよう求められる会社役員の苦悩と、妻の浮気への不信感が交錯する作品だ。
ズビャギンツェフ監督はステージ上でのスピーチで、ロシアのプーチン大統領と現在進行中の戦争について直接言及。「今、何百万もの人々がアートに求めているのは、この無意味な殺戮が早く終わることだけです。この惨状を止められる唯一の人物は、ロシア連邦大統領、あなただけだ。世界中がその決断を待っています」と、強い口調で終戦を訴えた。

最優秀監督賞は、ペネロペ・クルスとグレン・クローズが出演するスペイン映画『La Bola Negra(原題)』を手がけたハビエル・カルボ&ハビエル・アンブロッシのデュオ、そして1949年の戦後ドイツに帰国した小説家トーマス・マンの姿を描いた『Fatherland(原題)』のパヴェウ・パヴリコフスキの2組が同時受賞した。
▼濱口竜介監督『急に具合が悪くなる』V・エフィラ&岡本多緒が女優賞に輝く

主要演技賞では、日本勢の快挙が注目を集めた。最優秀女優賞は、濱口竜介監督作『急に具合が悪くなる』で主演を務めたフランスのヴィルジニー・エフィラと日本の岡本多緒が揃って受賞。ステージに登壇した2人は、感極まった表情で涙を浮かべながら喜びを分かち合った。
【動画】『急に具合が悪くなる』主演ヴィルジニー・エフィラ&岡本多緒がW受賞
最優秀男優賞は、ルーカス・ドン監督が第一次世界大戦の塹壕における愛を描いたドラマ『Coward(原題)』の新人俳優、エマニュエル・マキアとヴァランタン・カンパーニュのふたりに贈られた。
▼バーブラ・ストライサンドへの名誉パルムドール授与

今年の授賞式は、映画界のレジェンドであるバーブラ・ストライサンドへの生涯功労賞(名誉パルムドール)の授与で幕を開けた。ストライサンドは膝の負傷のため現地出席が叶わなかったが、本人の依頼によりフランスの名優イザベル・ユペールが代理で登壇。ユペールは、ストライサンドが映画や音楽で残した偉大な功績だけでなく、LGBTQ+コミュニティやマイノリティへの長年の支援活動を讃えた。
近年のカンヌ国際映画祭の受賞作は、その後の賞レース、とりわけアカデミー賞の国際長編映画賞などで高い実績を残しており、今回受賞した各作品も今後の映画賞での動向に大きな期待が寄せられている。
▼カンヌ国際映画祭2026 主な受賞結果一覧
- パルムドール(最高賞) 『Fjord』クリスティアン・ムンジウ監督
- グランプリ 『Minotaur』アンドレイ・ズビャギンツェフ監督
- 審査員賞 『The Dreamed Adventure』ヴァレスカ・グリーゼバッハ監督
- 監督賞 ハビエル・カルボ、ハビエル・アンブロッシ(『La Bola Negra』) パヴェウ・パヴリコフスキ(『Fatherland』)
- 脚本賞 エマニュエル・マール(『A Man of His Time』)
- 女優賞 ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒(『急に具合が悪くなる』濱口竜介監督)
- 男優賞 エマニュエル・マキア、ヴァランタン・カンパーニュ(『Coward』ルーカス・ドン監督)
- カメラ・ドール(新人監督賞) 『Ben’Imana』クレマンティーヌ・ドゥサベジャンボ監督
- 短編パルムドール 『Para Los Contincantes (To Opponents)』フェデリコ・ルイス監督
■ある視点部門(Un Certain Regard)
- ある視点賞(最優秀作品賞) 『Everytime』サンドラ・ウォルナー監督
- 審査員賞 『Elephants in the Fog』アビナシュ・ビクラム・シャー監督(初長編作品)
- 審査員特別賞 『Iron Boy』ルイ・クリシー監督
- 最優秀男優賞 ブラッドリー・フィオモナ・デンベアセット(『Congo Boy』ラフィキ・ファリアラ監督)
- 最優秀女優賞 マリーナ・デ・タビラ、ダニエラ・マリン・ナバロ、マリアンヘル・ビジェガス(『Siempre Soy Tu Animal Materno』ヴァレンティナ・マウレル監督)
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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