本木雅弘『黒牢城』初日舞台挨拶で名司会ぶり発揮「公開され、新たな航海に出て、私の後悔が始まる」
第79回カンヌ国際映画祭のカンヌ・プレミア部門に出品された黒沢清監督の『黒牢城』が6月19日、全国351館で封切られた。東京・丸の内ピカデリーで行われた初日舞台挨拶には黒沢清監督のほか、本木雅弘、菅田将暉、吉高由里子、青木崇高、宮舘涼太(Snow Man)、柄本佑、オダギリジョーの主要キャストが顔をそろえた。

『黒牢城』舞台挨拶で本木雅弘が見せた“名司会ぶり”と共演者の爆笑エピソード
本木は「ようやく公開されまして、作品が新たな航海に出ます。そして、ああすれば良かったという私の後悔が始まります」と韻を踏んで第一声。撮影の思い出を聞かれると、「監督の的確で冷静な演出で粛々と進んでいきました。長回しのシーンでは恐ろしい緊張を強いられました」と振り返った。

そのまま本木から話を振られた菅田は、「大変頑張りましたよね、僕ら。OKの後、小さくハイタッチしましたから」というエピソードを披露。再び本木が引き取り、「8~9ページに及ぶ膨大なセリフがあって、僕たちだけでなくカメラマン、照明、美術、衣装が一体となって集中していた。僕たちもドキュメンタリーを切り取られているようで、画面にも緊張が映っている」と補足した。
その後も「司会ではないですけれど」と言いながら、宮舘に「舘さまはいかがでしたか」、吉高に「言い残したことはない」と気遣うなど、演じた武将・荒木村重のようにステージを“支配”する名司会ぶりを発揮。柄本からは、「(話を)回すの、うまいっすねえ」と感嘆の声が漏れた。

米『ハリウッド・リポーター』のレビュー「刀ではなく言葉で斬り合う密室ミステリー」にちなみ、言葉で斬られたエピソードを求められると、本木は「撮影中に監督と話していて、『物語の好みは何ですか』と聞いたら、『主人公をギリギリまで追い詰めて、突き落としてから解放する話が好き』とおっしゃられた。まさに、監督の作品を言い得ている言葉だった」と明かした。
宮舘は、「本木さんに『舘さまは、カメレオン俳優だよね』と言っていただき、ぜひ、そうなれるように頑張る夢ができました」と告白。だが、「これからいろいろな作品と出合う中で、この言葉の意味を確かめながら自分の道を切り開いていこうとおめえ(思い)ます」と最後にかんでしまい、会場と共演者の爆笑を誘った。

吉高は、「転びまくってんじゃん」と笑いながら突っ込んだが、ここでも本木は「今の部分も含めバラエティー担当と思われているが、そういうことが自然にできるのが素晴らしい」としっかりフォロー。黒沢監督は、「本木さんは、配下の者に威厳を示す場面で、カットの後、『ああ、向いていない』とおっしゃった。物凄い衝撃だったけれど、殿様の芝居に向いている人なんていない。肩ひじ張らず素直に言葉を吐ける。大スターってこういうことかと思え、荒木村重もそういう人なんだと思えた」と最大級の賛辞を送った。
『黒牢城』は直木賞、「このミステリーがすごい!」1位などを獲得した米澤穂信の同名小説を映画化。戦国時代、織田信長に反旗を翻した荒木村重が篭城作戦を決行し、捕虜にした軍師・黒田官兵衛(演:菅田将暉)の知恵を借りながら事態の解決を図っていく心理戦が繰り広げられるミステリーだ。

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取材/記事:The Hollywood Reporter Japan 特派員 鈴木元
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