ブラッド・ピットの慈善団体の光と闇 再び“ハリケーン・カトリーナ”被災者を窮地に追い込む

イラストレーション: ©CARL BURTON

初出は、The Hollywood Reporter(4月12日号)。購読はこちら(英語版)。

17年前、ニューオーリンズ市を襲った“ハリケーン・カトリーナ”は、人々の暮らしに甚大な被害をもたらした。その後、俳優ブラッド・ピットの慈善団体“メイク・イット・ライト財団”が、復興住宅の建設に乗り出した。しかし蓋を開けてみれば、腐敗・カビや構造上の欠陥が次々に明らかに。2018年には、財団とピットに対し集団訴訟が起こされたが、膠着状態が続いた。

これまで3度の建て直しを経験しながらも、アルバート・マシューズ氏は息子とともに欠陥住宅に住み続けている。91歳の母親がいるマシューズ氏は「悪夢のような日々が続き、非常にストレスが溜まります。母は、ずっと“カトリーナ”の闇の中にいます」と吐露した。

2022年8月、かつて住宅の再建に携わった非営利組織“グローバル・グリーン USA”が、市内ロウアー・ナインス・ワード地区の住民に向け、修繕費用2,050万ドルの補助を発表。当時、ピットは米メディアTMZに向け、こう話した。「この取り決めが、将来的にコミュニティーの結束を固める希望になれば幸いです」

しかし米THRは、 この約束が非難のさなかに破綻したことを知った。またもや、ロウアー・ナインス・ワードで悲劇が繰り返されてしまったのだ。善意に満ち、大々的に宣伝された計画は住民の前で再び崩れ去った。

これまで明かされていなかったケース・ファイルによると、契約の成立後まもなく“グローバル・グリーン”は手を引こうとしたという。“すべての資金を10日以内に提供する”と明記した書類にサインしていたにもかかわらず、支払能力がないことが明るみに。さらに、裁判所から財政的な裏付けの証明を求められていなかった非営利組織は、アンジェリーナ・ジョリーが元夫ピットを自身と子供たちへの虐待で訴えたため、資金調達が困難だったと主張した。民事訴訟に詳しいルイジアナ州立大学教授、ウィリアム・R・コーベット氏は「こんな状況は初めてです。なんと、計画を失敗に追い込んだのは無一文の団体だったのです」と驚きを表した。

一方でピット側は、全責任は約束を反故にした“グローバル・グリーン”にあると主張し、俳優への非難は見当違いだとしている。ピットの代理人は米THRに寄せた文書で「かつてブラッドは“グローバル・グリーン”を支援していました。同組織は、すでに資金は確保したと複数回主張していたのです。資金調達の事実がなかったことは、原告・被告・弁護団にとって寝耳に水でした。そして、約束を反故にした場合は訴訟が継続されるという保証にもかかわらず、支払いが実行されなかったことは誠に残念でなりません」と述べた。

対する“グローバル・グリーン”CEO、ビル・ブリッジ氏は、自身の組織を“ヘビ穴”に落とされた潔白な存在と表現。そして「“グローバル・グリーン”は資金集めに尽力していました。しかし、それがスムーズに進まず、関係者が求めていたレベルに達しなかった時、本来問題を解決すべき当事者たちが犯した失敗のスケープゴートにされてしまったのです」と米THRにメールで回答を寄せた。原告の弁護士、さらに“メイク・イット・ライト”の弁護団からコメントはなかった。

米THRは“グローバル・グリーン”の実態を綿密に調査。そして近年の財政支援の減少やガバナンス上の問題など、同組織内で見過ごされてきた危険信号が明らかになった。1994~2013年の間“グローバル・グリーン”を率い、2017年まで役員を務めたマット・ピーターセン氏は「第一に“グローバル・グリーン”が空約束をしたことが理解できません。家の所有者に責任を押し付け、さらに“グローバル・グリーン”のレガシーに背いたことは全くもって非難に値します」と“メイク・イット・ライト”問題に対し遺憾の意を表した。

ロウアー・ナインス・ワード、2006年 ピットの“メイク・イット・ライト財団”は、被災者に新しい住宅を建設するという名目上、発足した。写真: ©JUSTIN SULLIVAN/GETTY IMAGES

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当初“メイク・イット・ライト”財団の資金源には、映画プロデューサーの故スティーヴン・ビング氏や『アメリカン・アイドル』からの寄付金も含まれた。ポスト・カトリーナの時代で、記事の見出しには“ブラッド・ピットの贈り物”や“ブラッド、ニューオーリンズの建築者”といった輝かしい文言が並んだ。ピットは当時の妻ジョリーとともにフレンチ・クオーターのマンションを購入、そしてロウアー・ナインス・ワード地区内で150もの住宅建設を率いた。壊滅的な被害を受けたロウアー・ナインス・ワードはスパイク・リー監督のドキュメンタリー『When the Levees Broke(原題)』(2006)でも取り上げられた、労働者階級のアフリカ系アメリカ人が多く暮らす地域でもある。

財団の発足から2年後の2009年、ピットは雑誌のインタビューで「やるべき事は分かっていました」と語った。ビル・クリントン元大統領は、ピットとともにプロジェクトに着手、プリツカー賞受賞者の建築家フランク・ゲーリー氏、坂茂氏、トム・メイン氏に協力を求めた。

財団は著名な建築家フランク・ゲーリーらに、ロウアー・ナインス・ワード地区内で100以上のモダンかつ持続可能な住宅をデザインするようオファー。その後、住宅の多くは欠陥やカビといった問題にさらされた。写真: ©MARIO TAMA/GETTY IMAGES

やがて“メイク・イット・ライト”の善行は、ある現実に直面する。2015年、ピットはニューオーリンズの新聞に向け「何も知らずに計画を始めてしまったのです。返済免除条件付き融資のこと、土地の権利のことやその他諸々の事柄について理解していないままだった。とにかく多くの勉強を要しました」と打ち明けた。全109もの住宅が粗雑に建設されたとし、財団とトップを訴えた2018年の集団訴訟では、ピットの免責はされなかった。

原告側の弁護士ロン・オースティン氏は「財団のリーダー達は自身の有名性を隠れ蓑にして、人々の詮索を免れていました。というのも住民は、コミュニティーに関心を示した財団に対し感謝の気持ちでいっぱいだったのです」と当時の状況について見解を述べた。現在“メイク・イット・ライト”は存在しておらず、電話番号やウェブサイトも利用不可になっている。また最近は、納付金の未払いで財団の所有地を複数没収したと報じられた。

1993年にミハイル・ゴルバチョフが設立した慈善団体“グリーン・クロス・インターナショナル”の関連団体である“グローバル・グリーン USA”は、ピットの“メイク・イット・ライト”同様ハリケーン被害の復興支援に積極的に参加。同非営利組織は、ロウアー・ナインス・ワード地区内にエコフレンドリーな家を建設したり(住宅の質に関する不満は出なかった。)、ルイジアナ州のパブリックスクール・システム内でグリーンエネルギーポリシーの作成を援助するといった活動をした。

“150 ピンク・ハウス”プロジェクトは、財団にとって復興のシンボルになるはずだった。建築会社GRAFTがプロジェクトのデザインを担当した。2007年 写真: ©BRENT STIRTON/GETTY IMAGES

長期にわたり“グローバル・グリーン”は、ハリウッド業界との関係を築いてきた。アカデミー賞前には盛大な資金集めパーティーを開き、名誉委員会にはレオナルド・ディカプリオをはじめ、オノ・ヨーコやロバート・レッドフォードら著名人が顔を揃えた。しかし近年、2017~21年の間で36%以上寄付金が落ち込むなど、次第に組織への支援は少なくなっていった。時同じく、同非営利組織は活動を大幅に絞り込んだ。(コロナ禍の影響を指摘していたが、ブリッジ氏は活動内容の縮小について「資金や人員配置の変化のほか、トランプ政権下で財政支援が大幅にカットされたことも影響した」と付け加えた。)

米THRは“グローバル・グリーン”のオペレーション関係者3人に話を聞くことができた。彼らによると、組織は既存の寄付者ベースを維持しつつ、新たなパトロンを獲得することに苦労したという。さらに、制限付きの補助金が全体のオペレーティングに流用されていたことが発覚すると、民間の財団“Kresge”と“JPB”が組織と手を切ったことも明らかにした。JPB財団から回答は得られなかったが、Kresge財団は声明内で「“グローバル・グリーン”の財政・ガバナンス上の問題のため、最初の年で補助金は中止しました。そして新たな補助金は、現在グリーンインフラ教育活動を支援している“グレーター・ニューオーリンズ財団”に支給しました」と伝えた。

2020〜21年の声明で“グローバル・グリーン”は、同組織の財務は独立監査を受けていないと報告。非営利組織をモニタリングする“CharityWatch”は、外部の第三者による精査が行われていないとして、この事実を危険信号だとみなしている。

“CharityWatch”のエグゼクティブ・ディレクター、ローリー・スタイロン氏は「独立監査の欠如は、些細な事ではありません。しばしば慈善団体は、納税申告書内で好ましくない情報を省くことがあります。例えば、重大な金融負債を引き起こすような法的問題を抱えている場合、その旨を監査報告書に含まなければなりません。監査が存在しない場合、結果に対する責任と情報開示が大幅に損なわれてしまいます」と説明した。

財団は著名な建築家フランク・ゲーリーらに、ロウアー・ナインス・ワード地区内で100以上のモダンかつ持続可能な住宅をデザインするようオファー。その後、住宅の多くは欠陥やカビといった問題にさらされた。写真: ©ROD LAMKEY JR/AFP/GETTY IMAGES

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2022年8月、4年間に及ぶ法廷での争いの末、集団訴訟の判事は示談を認めた。そして思いがけないことに“グローバル・グリーン”が、突然2,050万ドルの資金を申し出た。裁判書類によると、非営利組織はロウアー・ナインス・ワード地区に隣接するホーリー・クロスを拠点に置くセンターを通じ、住民の訴えを献身的に解決してきたという。ブリッジ氏は役員会に向け「“グローバル・グリーン”が速やかに資金を提供します」と記述した。またピットは米TMZに対し「ロウアー・ナインスファミリーのために、“グローバル・グリーン”が進んで支援を買って出てくれたことに非常に感謝しています。我々は、ポスト・カトリーナの初期段階から協力し合っていました。そして“グローバル・グリーン”が様々な問題の解決に向けて、尽力してくれることをとても幸運に思います」と語った。

しかしながら、資金が期限の10日間以内に振り込まれなかったことで、その取り決めは瞬く間に泡と化した。“グローバル・グリーン”の弁護士は文書で「このプロジェクトの長期性を考慮すると、随時スケジュールに基づいて少しずつ資金を管理することが、合理的なアプローチのはずだ。全ての関係者が事実性の説明責任を負わなければならない」と異議を唱えた。

結局のところ、同非営利組織は金を持ち合わせておらず、資金集めの途上だったことが明らかに。さらに2022年8月、本人は否定したものの、家族に対するピットの虐待疑惑が浮上。“グローバル・グリーン”の弁護士は「現在、ブラッド・ピット氏に関する好ましくない報道が影響し、企業・個人の支援者の方々からの寄付金が激減しています」と記述した。

ピットの代理人は米THRに「組織の不手際を他人のせいにすることに、がっかりしています。昨年“グローバル・グリーン”は、資金集めにブラッドを利用し続けていました。勝手に彼の名前を使ったオークションを予告したり、ブラッドと会食した役員から20万ドルの寄付金を得ていたのです」と回答を寄せた。(ブリッジ氏は、寄付金は契約関係のコストに充てたと語っている。)

訴訟の際、“グローバル・グリーン”の弁護団は「信頼の回復のため他の“ブランド・パートナー”(セレブリティ/インフルエンサー/スポーツ選手など)を探すことに奔走しています」と記述。セリーナ・ウィリアムズにも声が掛かったが、彼女の代理人が米THRに伝えたところによると、ウィリアムズは機会を見送ったという。

財団の会合前に記者会見するブラッド・ピット 2007年 写真: ©SCOTT J. FERRELL/CONGRESSIONAL QUARTERLY/GETTY IMAGES

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ブリッジ氏は2022年2月、ピット側に接近し援助を申し出た。その提案から8月に判事が示談を認めるまでに起きたことについては不明のままだ。ブリッジ氏は当時の“グローバル・グリーン”でシニア・プロジェクトマネージャーを務めていたメアリー・リッカード氏にメールで以下のように送信していた。

「資金を獲得し、ピット氏も汚名をそそぐことができるだろう」その後、文書で計画の概要について「報道に後押ししてもらいつつ、メディアに対し独占の機会を作り出すことで、再建への段階的なアプローチをする」と説明した。一方4月に辞職し、自身も“グローバル・グリーン”が建設した家に住むリッカード氏は、最初からブリッジ氏のイニシアチブに懐疑的だったという。というのも、当時ホーリー・クロスの建物は水道代や光熱費が未払いで、税金も滞納している状態だった。また米THRに対し「ブリッジ氏は、自己管理こそ苦手でも話し上手な人でした」と明かした。

ピット側は、ニューオーリンズの事業で前CEOと共に活動した経験から“グローバル・グリーン”の申し出を快諾。米THRが入手した文書内で、ブリッジ氏はロウアー・ナインス・ワードでの慈善事業の“資金提供者”について主張し、最終的に“Wells Fargo”や“BlackRock”といった団体を名指した。しかし、これらの団体は資金提供の事実を否定した。“Wells Fargo”は、2018年以来“グローバル・グリーン”への寄付は行っておらず、そして“2022年は一度も会話をしていない”そうだ。

現在ブリッジ氏は「その対話の段階で、我々が保証や財政援助の存在について示唆したことはない。また、ピット氏の関与が必要なオークションなどを求めたこともない」と主張。そして自身の非営利組織は、他の団体に“誠意をもって”、”“支援金を募るため”に“協調的なやり方”で接触したという。

昨年4月ブリッジ氏は、ピット氏と“メイク・イット・ライト”に宛てた手紙に「寛大な支援者の方々から、資金として2,050万ドルを確保しました。これで訴訟のあらゆる申し立てを解決できます」と記した。強調的な表現を用いた理由について、ブリッジ氏は米THRに次のように語っている。「我々の手紙の下書きは、資金に関して“保証する”というを部分を強調するように添削されました。そして、関係者全員が協力し合って達成しうると信じ、添削したバージョンを受け入れたのです」そして未だに資金は持っていないと認めながら、初期の話し合いの関係者はその事実を知っていたと主張。「“グローバル・グリーン”はピット氏の関係者に対し、和解合意で被告と原告から要求されたスピードで資金を集めることは不可能だ何度も伝えました。元々、私たちはその要素については気にするなと言われていたのに、合意を成立させるための形式的なものに過ぎなかったのです」

判事が認めた合意案に関してブリッジ氏は「当時の理事長から合意案の条件については『気にしなくていい』と言われていたので、個人的には安心していました。また、資金集めに取り掛かるために『とにかくサインしろ』と言われました。そして、私たちが拒否していた10日間の期限を守らなくていい、ということだったので仕方なくサインしたのです」と語った。

ピット側はきっぱりとその事実を否定。俳優の代理人は「原告・被告の両弁護団は、数か月にわたって精査を念押ししました。文書は“グローバル・グリーン”によって作成・サインされ、そして裁判所を含むすべての関係者が認めました。裁判所は同非営利組織に、2,050万ドルを10日以内に支払うことを要求し、さもなくば法廷侮辱罪に問われるリスクがあります」と主張している。

ベテランの法律評論家にとっても、誰も“グローバル・グリーン”に資金の証拠提供を求めず、最初の時点で期限日を守れると証明させなかったのか謎だという。集団訴訟に詳しいカリフォルニア大学教授デイヴィッド・レヴィーン氏は「考えが甘いように思います。1万ドルの自動決済なら、そんなことはしないはず」と見解を述べた。

ロウアー・ナインス・ワードの住民ロバート・グリーン氏と彼の家族、“メイク・イット・ライト”住宅の完成後 2009年 写真: ©MARIO TAMA/GETTY IMAGES

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裁判書類によると、非営利組織の契約成立後、家の所有者の数多くが自宅の検査を待つ間に修理をストップした。さらに、過去数年分の修繕費用の返済を求める宣誓供述書の作成ため、仕事を休む人もいた。(ブリッジ氏が登壇した8月後半のミーティングでは100人以上が出席した。)11月の文書で「もしも“グローバル・グリーン”が契約通りの資金を用意していないのなら、家の所有者たちは計り知れないストレス・不安といった身体的にも害のある感情に襲われてしまう」と原告の弁護人オースティン氏は主張した。

ブリッジ氏は裁判所に直接提出した弁明書で、自身の組織は“支持できない”資金に関する10日間の条項にサインする羽目になってしまった合意案に、当初は“善意”で取り掛かったと主張した。また依然として、多額の資金を集めるには、相当な時間を要すると“明言”していたことも強調。さらに、交渉において中心的役割を果たしていたという理事長のヴェレッド・ニシム氏の辞職を伝えた。ニシム氏が資金調達において“リーダー”的存在だったと考慮すると、現状として“ごくわずかな時間内で”同非営利組織が資金を集めることは不可能だった。(ニシム氏は米THRに対し、合意案のプロセスにはほんの少ししか関わっていないと語った。)

そして、ブリッジ氏は以下のように記述した。「これまで“グローバル・グリーン”を、8年間に及ぶ訴訟に関連する負担やリスクのすべてを受け継ぐ第三者だとは、一度たりとも考えたことがありません。むしろ我々は、ブランドやニューオーリンズでの歴史を活用し、住民の方々の利益を最優先して争いに終止符を打てるよう資金を集める善意の媒体として動くつもりでした。最初から、それだけが我々の目標だったのです。しかしながら、様々な誤解の結果、他者のスケープゴートになってしまいました。この不運な出来事の関係者全員との連携において、考えが甘い部分はあったかもしれません」判事は他の関係者にも解決策を提案するように求めたが、ピットや被告側は身を引いた。12月、ピットの弁護人は「ピット氏は資金スケジュールの修正案を示すだけの、情報を持ち合わせていません。それに、現時点ではいかなる態度も取りません」と回答した。

すぐさま判事は“グローバル・グリーン”に2か月で1,000万ドルを確保するように命じた。さらに、同非営利組織は30日ごとに資金集めの状況を報告することも求められた。IRSの書類によると、近年組織への寄付金はわずか数十万ドルのみだったという。3月29日、非営利組織への見込みがなくなったことで判事はピットと“メイク・イット・ライト”に対する集団訴訟を再開させることになった。さらに、10月2日に“グローバル・グリーン”に対し、侮辱罪に関する聴聞を行う予定だ。

3月上旬、原告側の弁護人オースティン氏は、ロウアー・ナインス・ワードの住人に手紙で合意案の進捗状況について知らせた。オースティン氏の見解によれば、最初に“グローバル・グリーン”を保証したのはピット側。またピット自身が、最近の協議会で「多忙のため、資金集めに参加できなかった」と証言したという。

ピットの代理人は、これまで俳優は財団に600万ドル以上寄付してきたと主張し「ブラッドは、自身の寄付や資金集め活動に対しいかなる義務も負っていません。過去15年間にわたり、ロウアー・ナインス・ワードの住民のため時間も資産も捧げてきました。我々は、聴聞会の前に“グローバル・グリーン”が約束を果たす方法を見つけ、住民の方々が必要な援助を受けられることを切に願っています」

フランク・ゲーリー氏がデザインした“メイク・イット・ライト”住宅の所有者、リンダ・サンティ氏は大失態に際しこう語っている。「すべて失敗したことに驚いているかって? ”ノー” すべてが複雑化したことに驚いてる? “ノー” 失望しているかって? “イエス”」

現時点でブリッジ氏は、2,050万ドルの保証書を援助するという後援者が現れたとし“合意案の資金が集まった”と主張している。「我々は、引受けの最終段階にいます」と明かした。さらに、全体的な修繕プロジェクトを援助するため、組織は4月22日の“アースデー”に“GoFundMe”キャンペーンを立ち上げると付け加えた。今後も、住民の問題を軽減するため“ピット氏の関与に関係なく”寄付者を“引き込むことに尽力していく”という。

訴訟が再開した今、終わりが見えない中でも家の所有者たちは住宅を維持しながら待ち続けている。住民の1人、バイロン・ジャクソン氏は語る。「とても楽観的ではいられない。多くの人々が、この滅茶苦茶な家に留まざるを得ないことは非常に辛い」そして一瞬間を置いてから、厳しい声でこう続けた。「これが、あの“アメリカン・ドリーム”なんですね」

※今記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。翻訳/和田 萌

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