Meta、AI機能「Muse」をわずか数日で撤回 CAA・SAG-AFTRAの批判受け「的外れだった」
Metaが発表した新たなAI機能「Muse」が、ハリウッド業界からの強い反発を受けてわずか数日で方針転換した。Instagramの公開アカウントをAI画像・動画生成の参照元として利用できる機能について、Metaは「この機能は的外れだった」と認め、提供を停止。CAAやSAG-AFTRAは「明確な同意なく作品や肖像をAIに利用すべきではない」と強く批判していた。
MetaのAI機能「Muse」とは? 問題となったInstagram連携機能
Metaが今週発表した新しいAIクリエイティブツール「Muse」では、AIで画像を生成する際に、Instagramの公開アカウントを「@メンション」で指定し、その投稿内容や作風を参照できる機能が導入された。
しかし、この機能は公開アカウントをデフォルトで参照対象とし、利用されたくないユーザーだけが設定で拒否する「オプトアウト方式」を採用していた。
Metaは現地時間7月10日に声明を発表し、次のように説明した。
「今週、Meta AIで画像を生成する方法の一つとして、参照したい公開Instagramアカウントを@メンションで指定できる機能を発表しました。創造性を高めるツールを提供するとともに、自身のコンテンツを参照できるかどうかを利用者が管理できるようにすることが目的でした。しかし、この機能は『的外れだった』とのフィードバックを受けたため、現在は利用できなくなっています」
発表から数日で機能を停止する異例の対応となった。
CAA・SAG-AFTRAが反発 「明確な同意なしにAIへ利用すべきではない」
この機能に対して真っ先に反対の声を上げたのが、ハリウッドを代表するタレントエージェンシーCAAだった。
CAAは声明で、「氏名、肖像、声、創作物は、AIモデルを含むいかなる第三者であっても、明確かつ文書による同意なしに利用されるべきではない」と主張した。
続いて映画・テレビ俳優組合SAG-AFTRAも、「Instagramユーザーの画像をこの目的で利用するなら、明確で分かりやすい『オプトイン(利用者が自ら参加を選択する方式)』以外は受け入れられない」と声明を発表。
さらに、「AI利用に伴う危険性やリスクに対する世論を完全に読み違えた判断だった」とMetaの対応を厳しく批判した。
Metaはこうしたハリウッド側の懸念を受け、問題となった機能を取り下げる判断を下した。
「オプトアウト」ではなく「オプトイン」が求められる理由
今回の論点は、AIそのものではなく「利用者の同意の取り方」にある。
オプトアウト方式では、利用者が自ら拒否設定をしない限り、自身のコンテンツがAI生成時の参照元として利用される可能性がある。
一方、オプトイン方式は、利用者が明示的に同意した場合のみ利用できる仕組みだ。
ハリウッドでは俳優やクリエイターの肖像権、著作権、知的財産権を巡る議論が続いており、AI活用においても「明確な同意」が業界標準になるべきだとの声が強まっている。
OpenAI「Sora」の事例とも重なるAI業界の課題
Metaの今回の対応は、昨年OpenAIが動画生成AI「Sora」を公開した際の反発とも重なる。
Soraは公開当初、知的財産(IP)保護が十分ではないとの指摘を受け、著名人や人気キャラクターに酷似した生成コンテンツが相次いだことから議論を呼んだ。その後、OpenAIは短期間で仕様を見直し、保護措置を強化している。
AI企業が新機能を先行公開した後、権利者やクリエイターからの反発を受けて仕様を修正する流れは、生成AI業界で繰り返されている。
Metaの「Muse」を巡る今回の対応も、著作権や肖像権、クリエイターの権利保護が、生成AIの普及とともに一層重要な課題になっていることを改めて示した。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
【関連記事】
- AI俳優ティリー・ノーウッドが映画主演デビュー “人間とAIの共演映画”が示す新時代
- 『ソーシャル・ネットワーク』続編始動!主演候補にジェレミー・ストロング、Metaの闇を描く社会派ドラマに
- 新作『ソーシャル・レコニング』米予告編解禁 ジェレミー・ストロングがザッカーバーグ役、『ソーシャル・ネットワーク』の“その後”を描く
- 是枝裕和監督が新作『箱の中の羊』で描く、AI時代の喪失と再生、“人間らしさ”の正体「いずれ人類を超越」
- Netflix・マーベルも炎上――AIが映画・ドラマにもたらすのは希望か?混乱か?ハリウッドで波紋広がる
