ブラッド・ピットの飲酒再開、専門家「明らかにリスクはある」それでも断定できない理由
ブラッド・ピットが、7年間の禁酒を経て再びアルコールを飲むようになったことを明かした。現在は量を抑えているというが、その告白をめぐっては依存症からの回復を経験する人々の間でさまざまな反応が広がっている。一方、専門家からは「回復は一直線ではない」との見方も出ている。
ブラッド・ピット、7年間の禁酒を経て再び飲酒
62歳のブラッド・ピットは、米『エスクァイア』のインタビューで、7年間の禁酒を続けた後、再び飲酒するようになったと告白。「以前より節度を持って」飲んでいると説明し、「数杯は飲める。でも、たくさんは飲めない。プロとして節度を持たなければならない」と語った。
ピットは2016年以降、アルコールの問題と向き合い、12ステップの回復プログラムに参加。以前には、アルコールを断つことで人生が変わったことや、俳優仲間のブラッドリー・クーパーから支えられたことを明かしていた。
今回の発言を受け、オンライン上では「飲酒をコントロールできるという考えは依存症の再発時によくあるもの」といった厳しい反応も見られた。特に、断酒を基本とする回復プログラムやコミュニティからは、再び飲酒することへの懸念が示されている。
専門家「回復は一直線に進むものではない」
しかし、米『ハリウッド・リポーター』が話を聞いた専門家の見方は、より慎重で複雑なものだ。
20年以上にわたり依存症の問題に携わってきた臨床ソーシャルワーカーのジョー・シュランクは、ピットが「節度を持って飲んでいる」とする発言について、一定の警戒は必要だとしながらも、必ずしも回復の失敗を意味するわけではないと指摘する。
シュランクによれば、依存症からの回復は人によって異なり、長期間の禁酒後に飲酒量を抑えられるようになる人もいるという。依存症からの回復には、必ずしも生涯にわたる完全な禁酒だけが唯一の方法ではないとの考えを示した。
「回復は時間とともに変化していくもので、スペクトラムのようなものだ」とシュランクは説明。ピットについても、飲酒量そのものだけを見るのではなく、家族との関係など、生活全体がどうなっているかを考える必要があると語った。
「回復が一直線に進むわけではない」というシュランクの指摘は、依存症からの回復をめぐる考え方の一つを示している。長期間うまくいっていた人が再び問題を抱えたとしても、それまでの変化がすべて無意味になるわけではなく、その後どう対応するかが重要だという。
スタンフォード大の依存症研究者も「リスクはある」と指摘
スタンフォード大学で依存症研究に携わるキース・ハンフリーズ教授も、ピットのケースについて断定はできないとしながら、禁酒から節度ある飲酒へ移行できる人には一定の傾向があると説明する。
ハンフリーズ教授によれば、過去のアルコール依存が重度ではなかったこと、教育や仕事、人間関係などの社会的基盤が安定していること、深刻な精神医学的問題を抱えていないことなどが、その後に飲酒量をコントロールできる可能性と関連しているという。
ただし、これらはあくまで傾向であり、飲酒を再開しても問題が起きないことを保証するものではない。ピットについても「明らかにリスクはある」としながら、そのリスクがどの程度なのかを外部から判断することはできないとの立場を示した。
アルコールは「少量でも無害」とは言い切れない
一方で、シュランクはピット個人の回復とは別に、アルコールそのものが健康に与える影響についても注意を促している。
世界保健機関(WHO)は2023年、健康への影響という観点から「健康に影響を及ぼさない安全な飲酒量は存在しない」とする見解を示した。
また、飲酒量の「適量」という概念自体も、国やガイドラインによって定義が異なる。「適量」という言葉だけで飲酒量を判断することには注意が必要だ。
ピットが今回明かした飲酒再開が、本人にとってどのような結果をもたらすのかは現時点では分からない。専門家の見解からも、重要なのは「禁酒できていたか、飲酒したか」という二択だけではなく、その後の生活や健康、周囲との関係を含めて回復の経過を見ることだといえる。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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