ハリウッドが夢中になる注目の若手俳優10人 ― 次世代のレオ、ブラピは誕生するのか?
10年前とは異なり、今日の若手俳優は大作映画、インディーズ映画、そしてテレビシリーズと、枠を超えた活躍を見せている。
エンタメ業界は現在、ポスト・ストリーミング時代の渦中にあり、観客を映画館へ呼び戻そうと奮闘中。そんな中、興収2億2000万ドルをたたき出した『恋するプリテンダー』の主演俳優シドニー・スウィーニー&グレン・パウエルは、困窮するスタジオにかすかな希望の光をもたらしている。
リストに選出された若手10人は、才能も個性もさまざまな一方で、実際の多様性には欠けている。インクルージョンの推進に反し、ほとんど白人俳優の名前しか挙がらないのは、製作会社がパラダイムシフトに失敗していることが表れていた。
以下、ハリウッドの業界関係者が選ぶトップ若手俳優10人
1. オースティン・バトラー
“業界の人気者”
出演作:『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、『エルヴィス』、『デューン 砂の惑星PART2』、『THE BIKERIDERS(原題)』
現在、大物監督から熱い視線が注がれている32歳のバトラー。バズ・ラーマン監督の伝記映画『エルヴィス』でアカデミー賞にノミネートされて以来、ジェフ・ニコルズやダーレン・アロノフスキーらの新作へのオファーが続いている。
スターとしての神秘性をまとうバトラーに対し、業界内では“ブラット・ピットの足跡をたどるのでは?”という声も上がっている。「皆が彼を主役にしたがっている」と関係者が語るように、容姿や映画での存在感など、典型的なハリウッドの主演俳優の特徴をすべて備えているのだ。
2. ティモシー・シャラメ
“ドル箱スター”
出演作:『インターステラー』、『君の名前で僕を呼んで』、『デューン』シリーズ、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』
昨年、主演を務めた『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』と『デューン 砂の惑星PART2』が大ヒットした28歳のシャラメ。ティーン時代にはクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』に出演し、その後『君の名前で僕を呼んで』でオスカーにノミネートされた。
業界内では、キャリアの歩みが似ている点から、レオナルド・ディカプリオと比較されることもある。現在は、ジェームズ・マンゴールドが手がけるボブ・ディランの伝記映画を撮影中だ。
3. ジェイコブ・エロルディ
“シャイな憧れの的”
出演作:『キスから始まるものがたり』シリーズ、『Saltburn』、『プリシラ』、ドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』
オーストラリア人俳優のエロルディ(26)は、Netflixのヒットシリーズ『キスから始まるものがたり』で一躍有名に。今後の出演作には、ギレルモ・デル・トロ監督の新作『フランケンシュタイン』がある。
エロルディのスターとしてのポテンシャルを確固たるものにしたのは、エメラルド・フェネルがメガホンをとった映画『Saltburn』。195cmの長身で、業界のプロデューサーからはアクションスター向きの体格の持ち主と言われているが、本人はそういった役柄に興味を示していないようだ(新生『スーパーマン』のオファーも断っている)。
4. ポール・メスカル
“アートハウス界のプリンス”
出演作:ドラマ『ふつうの人々』、『ロスト・ドーター』、『aftersun/アフターサン』、『グラディエーター2』
ドラマ『ふつうの人々』でのデビュー以来、メディアの注目を集めているアイルランド出身のメスカル(28)。11月全米公開の『グラディエーター2』(リドリー・スコット監督)で初めてスタジオ作品の主役を務める。
これまでは、ハリウッドの大作ではなく、『ロスト・ドーター』やオスカー候補となった『aftersun/アフターサン』など、アワード受けする作品に出演していた。「どの監督もポール・メスカルを気に入っているけど、観客は彼のことを知らない」と、ある重役は語るが、『グラディエーター2』ではメスカルのスターとしての力が試されることになるだろう。
5. ジェナ・オルテガ
“Z世代を魅了”
出演作:ドラマ『ウェンズデー』、『スクリーム』シリーズ、『ビートルジュース ビートルジュース』(『ビートルジュース』の続編)、『クララとお日さま』
Netflix史上最も視聴された英語シリーズである『ウェンズデー』で、一躍スターの座をつかんだ21歳のオルテガ。それまでは、ドラマ『ジェーン・ザ・ヴァージン』などの子役として知られていた。
『ウェンズデー』のプロデューサー、ティム・バートンとは、新作映画『ビートルジュース ビートルジュース』(9月6日全米公開)で再タッグを組んだ。今後の待機作にはそのほか、タイカ・ワイティティ監督の『クララとお日さま』や、『ウェンズデー』シーズン2がある。
6. グレン・パウエル
“100万ワットの笑顔”
出演作:『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』、『セットアップ: ウソつきは恋のはじまり』、『トップガン マーヴェリック』、『恋するプリテンダー』
俳優だけでなく、プロデューサー・脚本家としての顔も持つパウエルは、主演デビューを果たした2018年のNetflix映画『セットアップ: ウソつきは恋のはじまり』が大ヒット。その後、『トップガン マーヴェリック』に出演し、メディアの注目をかっさらった。
その後も、リチャード・リンクレイターと共同脚本を務めた『Hit Man(原題)』や、シドニー・スウィーニー共演のヒット作『恋するプリテンダー』など、話題作への出演が続く。オファーが次々と舞い込むなか、すでにエドガー・ライト監督のリメイク版『バトルランナー』や、J・J・エイブラムスの新作への出演が決まっている。
7. フローレンス・ピュー
“THE・カメレオン俳優”
出演作:『ミッドサマー』、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』、『ブラック・ウィドウ』、『オッペンハイマー』、『デューン 砂の惑星PART2』
現在28歳のピューは、2016年の『レディ・マクベス』で脚光を浴びた。その後出演したアカデミー賞ノミネート作『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』と、A24のホラー映画『ミッドサマー』は、批評・商業ともに成功を収めた。
ノーラン監督の『オッペンハイマー』や、ヴィルヌーヴ監督の『デューン 砂の惑星PART2』では、アンサンブルキャストの1人として存在感を発揮。また、マーベル作品への出演にも意欲的で、スカーレット・ヨハンソン主演の『ブラック・ウィドウ』のほか、新作『サンダーボルツ』の主要キャストにも名を連ねている。
8. シドニー・スウィーニー
“出演作50本以上のカリスマ”
出演作:ドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』、『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾート』、『恋するプリテンダー』、『マダム・ウェブ』
26歳にして、50本以上の出演歴を誇るスウィーニー。グレン・パウエルと共演した『恋するプリテンダー』では、ロマコメ作品として異例のヒットに導いた。
エミー賞にノミネートされたドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』と『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾート』で話題の的になり、瞬く間にスターの仲間入り。さらに、製作会社・Fifty-Fiftyを立ち上げるなど、プロデューサーとしても活躍している。今後は、エドガー・ライトが監督を務める『バーバレラ』のリメイク版に出演予定だ。
9. アニャ・テイラー=ジョイ
“ジャンル映画界の女王”
出演作:『ウィッチ』、『スプリット』、ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』、『ザ・メニュー』、『マッドマックス:フュリオサ』
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の前日譚『マッドマックス:フュリオサ』で主演を務めたテイラー=ジョイ(28)。ホラー映画『ウィッチ』で気鋭俳優としての地位を確立し、M・ナイト・シャマラン監督の『スプリット』(2017)や、『ザ・メニュー』(2022)といったジャンル映画に引っ張りだこになった。
フュリオサ役でアクション俳優としての実力を証明したテイラー=ジョイは、今後もその路線を辿っていくだろう。新作には、2人の殺し屋の恋を描く『The Gorge(原題)』や、“正真正銘のアクションスター”のクリス・エヴァンスと共演するスリラー『Sacrifice(原題)』が控えている。
10. ゼンデイヤ
“ユニコーン級の逸材”
出演作:『スパイダーマン』シリーズ、『グレイテスト・ショーマン』、ドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』、『デューン』シリーズ、『チャレンジャーズ』
27歳のゼンデイヤは、子供向けのテレビ番組でキャリアを積んだ後、『スパイダーマン:ホームカミング』で映画界に進出。サプライズヒットを記録したミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』や、『デューン』シリーズに出演した。
ドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』でスターへの階段を駆け上がったが、現在は映画俳優として急上昇中。ルカ・グァダニーノの新作『チャレンジャーズ』では主演兼プロデューサーを務めたほか、「ブルガリ」や「ランコム」と高額なコマーシャル契約も締結している。
※初出は米『ハリウッド・リポーター』(5月22日号)。本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。翻訳/和田 萌
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